守るべきもの -桜×藤堂平助-
似通っているように”見える”のは土方歳三と山南敬助くらいで、 あとはもう、剣の流派もばらばら。 共通していることと言えば、近藤勇に対する思いである。
2014-04-28 22:07:11江戸にいた頃の土方を知らない新選組の隊士たちは、 組を引っ張る土方に憧憬を抱きながらもその容赦ない鬼の部分に畏怖する。 彼らが土方の夢を想像するとしたら、それは新選組の栄華であろうか。
2014-04-28 22:08:09土方は近藤をも凌ぐ頭の切れる男である。 それがなぜ、近藤を頂とし、自分はその下に甘んじるのか。 藤堂にはそこがわかっていなかった。
2014-04-28 22:09:02どちらかというと、山南の方が、右腕としてその手腕を発揮する立場に向いていると思うのだ。 土方が近藤に心酔する理由を悟るには、藤堂はまだ若い。
2014-04-28 22:09:20同い年の斎藤一よりも、 年上の原田左之助や永倉新八とつるんでいる方がしっくりくるのは、 彼らが今、目の前のことに全力だからだ。
2014-04-28 22:10:09明日のことは明日考えよう、 今この一瞬を楽しく、 男らしく生きようという楽天的かつ短絡的思考が、 藤堂の生い立ちや、時勢から解放してくれる。
2014-04-28 22:10:59そして沖田総司の純粋な執着に潜む翳を、 どうにかしてあげられないかと思いながら、 沖田がそれを望んでいないことも承知していた。
2014-04-28 22:12:57藤堂が思うに、 試衛館の仲間たちはうまく均衡が取れていて、 それを支えてくれている縁の下の力持ちに、井上源三郎がいるのだった。
2014-04-28 22:13:17それぞれの役割の中で、それぞれが機能していたから、 「異質」なものの存在に、藤堂の内の均衡が少しだけ傾いてしまった。
2014-04-28 22:13:40土方、原田、永倉あたりが、江戸の頃から女とうまく付き合ってきたのに対し、 実直すぎる藤堂は、どうしてもそちらに気を向けることができなかった。
2014-04-28 22:15:08剣術を面白いと感じている間は、女のことは頭の片隅にもない。 両立できないことを、 原田は「今はそれでいい」と言い、 永倉は「斎藤と比較するな」と言った。
2014-04-28 22:15:34成長を見守られてくすぐったいような、 半人前扱いに唇を尖らせたくなるような、 藤堂にも、どっちつかずの、揺れる時期があったのだ。
2014-04-28 22:16:16