ケンペイ天狗「ブロークン・ブルタル・マシーナリー・プライド」

アナ・イゴール @KNPITNG

しかし本当にこの店の倒壊させたのはガマナサ提督なのか？確かに彼の部下が店に入り、直後店が倒壊するところも目撃されている。しかし……、「重点！着信！重点！」ケンペイが沈思黙考し始めたその時、サイウンに探偵の相棒たる龍驤からの通信が入る。ケンペイは調査の手を止めた。６　#ケンペイ天狗

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「ヌンヌンヌンヌンヌン……ピボッ」一瞬の処理落ちの後、モーターサイウンが小柄な艦娘の少女の３D映像を投影する。「調査の具合はどや？」栗色のツインテールにエンジ色の和装、黒色のミニスカート。軽空母娘の龍驤だ。ケンペイにとっては探偵の相棒でもある。　７　#ケンペイ天狗

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「随分と艤装のデザインが変わったな？」「そうそう！かわええやろ？この依頼で前金が入ったから大改装してもらったんよ！」「そうか」「それだけかい！」「……？それ以外になんと言えば良い？それよりガマナサ鎮守府の情報を」「ハイハイ、アンタに期待したウチがアホやったわ」　８　#ケンペイ天狗

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頬を膨らませながらデータ送信を始めた龍驤に首を傾げた後、ケンペイは目を閉じた。龍驤には感謝しなければ。記憶と正気を失い、いつ深海棲艦に堕ちるか分からぬ自分に対して。それでも対等に接してくれるのだから。だが同時に思う、自分が歩む破滅の道に彼女を巻き込んではならぬ。９　#ケンペイ天狗

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「ほら、送ったで！確認しい！」龍驤の声で思考を断ち切られ、ケンペイはサイウンが映し出す画面を見る。「ガマナサ少将。グンレイ所属。高税、公権力暴力、捨て艦経験アリ」「よくあるブラック提督って奴やな。艦娘虐待はせん分まだマシか？」「ブラック提督に良いも悪いも無い」１０　#ケンペイ天狗

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情報をスクロールさせながらケンペイは目の前の瓦礫の山とデータを見比べる。「艦隊は水母千歳をはじめ中規模艦が主力か。戦艦はいないのだな？」「ああ、おらん」「そうか……ならばおかしいな。この酒場の破壊は明らかに戦艦の手によるものだ。それも相当に火力の高い」　１１　#ケンペイ天狗

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「え？だってガマナサ鎮守府の最大火力はせいぜい重巡やで？」「ああ。つまりガマナサ鎮守府がまだ隠し球を持っているか、あるいは更に上のブラック提督が裏に……例えば、エイトエイツ」ケンペイの言葉に映像の中の龍驤の顔が曇る。「危険な相手かもしれんな……どうする？」　１２　#ケンペイ天狗

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「決まっている。ブラック提督は殺す。それだけだ」ケンペイ天狗は断ち切るように言い、振り返った。「……犯人は実際現場に戻る。ヤマモト・ゴジュロクの諺通りか」そこにいたのはマラソンめいて集団で走る３ダースはいようかというクローンイ級達。「「「イキュー……」」」　１３　#ケンペイ天狗

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「「「イキュ！？ザ、ザッケンナイキュー！！」」」イ級達はケンペイの放つ殺気に気づくと深海スラングを叫び、８インチ砲を構える。「人形共にアイサツはいらぬな……。覚悟せよ」ケンペイはジャケットを脱ぎ捨てるとテング・オメーンを装着、ジュージツを構えた。　１４　#ケンペイ天狗

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同時刻、ワンカップ・ディストリクト南東部。酷い雨が叩きつける駅前の広場で、一人の艦娘を１人の提督と４人の艦娘、そして１ダースのクローンイ級が取り囲む。　１６　#ケンペイ天狗

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「ドーモ……。はじめまして赤城＝サン、私はガマナサ少将です」「ドーモ、ガマナサ＝少将。赤城です」数の上では圧倒的格差。だが、汗を垂らし恐怖に喘いでいるのは取り囲んでいるガマナサ達の方だ。「それでガマナサ＝少将？これは何の真似か説明して欲しいですね」　１７　#ケンペイ天狗

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まだ会敵から30秒も経ってはいない。それにも関わらず白いタイル舗装には既に赤い血と緑のバイオ血液が飛散し、降りしきる雨で混ざりあって濁った茶色を晒している。「アイエエエ！アイエエエ！」腰の抜けたサラリマンがこの場から離れようともがき情けない悲鳴を上げている。　１８　#ケンペイ天狗

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ガマナサにとってこれは計算外の事態だった。アシタカから逃亡中の赤城討伐命令を下された後、千歳の零式水上観測機によって赤城の居場所を発見・包囲したまでは良かった……。だが目の前の逃亡者はアイサツする間もなく艦娘二人とクローンイ級数体を血煙に変えてみせたのだ！　１９　#ケンペイ天狗

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ガマナサは血飛沫でスプレーされた地面をチラリと見た。そしてそれを為した赤城のあまりの異形を。アシタカからの事前連絡では赤城は正規空母だったはずだ。しかし目の前の"腕"は長門型をも上回る巨大戦艦艤装！「……反逆者、赤城＝サンだな。お前を討伐する」声が震える。　２０　#ケンペイ天狗

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ギリ、と赤城の奥歯が鳴った。「どいつもこいつもしつこい……」その仄暗い瞳がグルリとガマナサの艦隊を見回す。千歳、鳥海、五十鈴、霞。弱敵。「私が貴方達に何かしましたか……？」ギシィ、鈍い音を立て数十門の砲塔を備えた巨大質量艤装腕がゆっくりと持ち上がる。　２１　#ケンペイ天狗

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「千歳、クローンイ級を盾に使え。使いきっていい、更に援軍をよこすように手配してある」ガマナサは千歳の肩に手を置き囁く。「ハイ」千歳は頷きカタパルトを構える。「行きなさい！」瑞雲が飛ぶ！「「「ザッケンナイキュー！」」」続いてクローンイ級達が赤城に襲いかかる！　２２　#ケンペイ天狗

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「イキューッ！」１ダースのクローンイ級が一斉に８インチ砲を放ち、その全てが赤城に着弾！「呪われろ……！」だが赤城はそれを全て大質量艤装で受け止め無効化！「呪われろ！」更に触手めいて生える１４サンチ砲を放つ！「アバーッ！」砲撃を受け３体のクローンイ級が死亡！　２３　#ケンペイ天狗

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「瑞雲！」「イヤーッ！」BOMB！瑞雲による爆撃をものともせず赤城が千歳に向け猛進する！「イキュアバーッ！」進路を塞いだクローンイ級が３体大質量艤装に轢き潰され死亡！しかしその隙をついて赤城の背後に回る影あり！「五十鈴におまかせ！」背中めがけてカラテを構える！２４　#ケンペイ天狗

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「五十鈴！無茶は！」「イヤーッ！」「グワーッ！」五十鈴の剃刀めいたケリ・キックが赤城の背骨に直撃する！「やった！？」しかしその瞬間、「五十鈴、逃げて！」「エッ」五十鈴のニューロンが加速し、視界がゆっくりと動く。目の前に、大質量艤装が、迫って、「……！！！」　２５　#ケンペイ天狗

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「五十鈴！？」ナ、ナムアミダブツ！五十鈴は大質量艤装の直撃を受け消滅飛散！「慢心ね…」赤城の光の無い目がガマナサを見やる。氷の手で脊髄を掴まれたような感覚にガマナサは震えた。そして赤城の腕先の41サンチ砲が砲口の向きを変え、「霞！よけろ！」「え、ンアーッ！？」２６　#ケンペイ天狗

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崩れ落ちる霞を背に、赤城が次の目標とばかりに顔を鳥海へと向ける。「ザッケンナイキュアバーッ！」盾となるべく立ちふさがったクローンイ級が３体まとめて１４サンチ砲を受けて死亡！「鳥海！」足止めするべく千歳の瑞雲が殺到、爆撃を開始するが赤城の動きは止まらない！　２７　#ケンペイ天狗

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「イヤーッ！！」BLAM!BLAMBLAMBLAM!赤城の"腕"に触手めいて生えた１６門の１４サンチ砲が鳥海に狙いを定め、次々と砲撃を開始する。「クッ、イヤーッ！」鳥海は側転回避しつつ反撃の主砲を放つが、赤城はこれを身を捻るだけで回避！更に反撃の４１砲５門！　２８　#ケンペイ天狗

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「ン、ンアーッ！？」腹部に戦艦主砲を受けて鳥海が崩れ沈む。指めいて装着された５門の砲口から煙を噴き出したまま、赤城はゆっくりと残る最後の艦娘、千歳へと向いた。「こ、こんな……」「知っていますか……？貴方達のような人のことを慢心、と言うんですよ……？」　２９　#ケンペイ天狗

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「な、何がどうなっている……」目の前に展開された信じがたい状況にガマナサは悲鳴めいて呟いた。既に１ダースいたクローンイ級のうち９体までがやられている。ガマナサは更に３ダースのクローンイ級を手配してあるが、何かのトラブルかいまだに到着しない！　３０　#ケンペイ天狗