【邪悪の樹】決闘フェイズ――王の樹

『智の剣』陣営 『色欲』(@VIXI_atom) 『醜悪』(@kaituls) 『理の盃』陣営 続きを読む
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【物質主義】(キムラヌート) @Evil_Quim

その様子からいくつかを読み取ることができるだろう。 ひとつは『物質主義』が『醜悪』の無事を喜び、心底『色欲』を案じていること。そうすることが許されない立場だと認識していること。 そして、『殺す』覚悟はあっても、かつての知己に『苦痛を与える』覚悟などできていないこと。

2014-08-29 23:51:15
『醜悪』カイツール @kaituls

『色欲』の苦々しい眼差しに、『醜悪』は気づかない。 『色欲』のように、あらゆる可能性を考えることなく、ただ、目の前の『事実』に喜ぶ。 「もう会えないかと思ったよぉ。元気だった?」 口から零れる言葉はどれも明るく弾んで、嬉しげに。ふと、『物質主義』に浮かんだ翳りに、首を傾げる。

2014-08-30 02:58:43
『醜悪』カイツール @kaituls

『色欲』を案ずる声。そうして、それ以外の翳り。資格がない? 何のことだろうか。首を傾ぐ。 『醜悪』は、その意味を察せなかった。彼の中で、『物質主義』の立ち位置は全く変わっていないのだ。 『智の剣』の屋敷にいた、仲間。 やさしくて、物知りな『物質主義』。 それが揺らぐことはない。

2014-08-30 03:00:38
『醜悪』カイツール @kaituls

「『物質主義』、どこか痛いの?」 彼にしては落ち着きがない声音に、『醜悪』はただ、そう思った。資格がない。に対する疑問はもう、彼の中から失せてしまったようで。 双頭から下り、一歩踏み出す。ゆらり、と体が傾く、それでも一歩。覚束ない足取りで、彼は『物質主義』に歩み寄る。

2014-08-30 03:01:07
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

「いくな!!」 かつての仲間と思わしき人影に近づいていく『醜悪』を引き止める為、声を荒げる。 自分の姿にどうやら動揺しているらしいその人影に、『色欲』は嘲笑をもらした。

2014-08-30 10:29:44
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

「……やぁ『お客さん』。この腕は自分でやったのさ。君の『お仲間』のおかげで使い物にならなくなったからね」 可能性は二つあった。 一つは、相手がかつての仲間の姿を騙っているだけの場合。 もう一つは、……屋敷にやってきたあの2人の異性、彼がそれと同じ存在だという場合。

2014-08-30 10:30:17
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

…自分にはもうそんな資格がない。そんな口をたたけるということは、恐らくは後者なのだろう。 己の屋敷に現れた異性達同様、彼もまた敵のもとへと下ったのだ。 「…なんで、なんて野暮な事は聞かないよ、意味がないもの」

2014-08-30 10:30:50
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

静かに、目を伏せる。 その胸に燻るのは、怒りでも、悲しみでもなく、諦めにも虚しさだけだった。 「過程がどうであろうとも、結果は結果でしょう?此処は争い合う場所で、生憎僕らの前にいるのは君だけだ。僕は君を許せない。………これだから、大人は嫌いなんだ」

2014-08-30 10:32:16
『醜悪』カイツール @kaituls

『色欲』の声にびくりと肩を跳ねさせ、その場に立ち止まる。 静かな『色欲』の語りに耳を傾けながら、紫紺はそれでも『物質主義』を見つめていた。 君のお仲間。それが示しているものは、『智の剣』ではなく。 そこで漸く、『醜悪』も状況を理解した。目を瞬かせる。

2014-08-30 11:22:01
『醜悪』カイツール @kaituls

「そっかぁ」 吐き出した言葉は、静かに溶けた。落胆の色もなければ、喜びを示す色もない。ただ、『事実』を受け入れた声音が響く。 それでも、彼の紫紺は変わらず柔らかなまま、『物質主義』に向けられていた。立ち止まってはいるものの、警戒した様子など全くないのだ。

2014-08-30 11:23:27
【物質主義】(キムラヌート) @Evil_Quim

『色欲』の制止に反応したのは『醜悪』だけではなかった。 心配してくれた『醜悪』に応ずるように笑い、歩を進めていた『物質主義』もびくりと身を竦め立ち止まる。 その距離は凡そ、ヒト1人分。『醜悪』か『物質主義』が手を伸ばせば届く距離。撫でることも、叩くことも、殴ることも可能だろう。

2014-08-30 12:34:08
【物質主義】(キムラヌート) @Evil_Quim

白衣から覗く指先がうろうろとさまよって、『醜悪』の腕、服の裾に伸ばされる。彼が拒絶しなければ、迷い子がするように衣服の端を掴まれるだろう。 手を伸ばせば届く距離。相手に触れること。それが意味することを『物質主義』は意識していない。

2014-08-30 12:35:48
【物質主義】(キムラヌート) @Evil_Quim

「『お仲間』……まあ確かに、『理の盃』ではあったんだろうけど」 不服そうに呟く。「知らぬ」存在と一括りにされるのは心地が悪い。 『色欲』にとってはさして違いはないだろうと無理やり納得する。敗者だろう『彼女』が敵陣営のままというのは、つまりそういうことなのだろう。

2014-08-30 12:42:18
【物質主義】(キムラヌート) @Evil_Quim

「あと…もてなしてくれるつもりだったなら悪いけど、僕は『お客』にはなれないかな」 その呼称が挑発というか皮肉のようなものだろうと認識した上で言葉を返す。 「ここは『王の樹』というらしいから」 どこかの誰かが楽しむための悪趣味な闘技場。お客様と呼ぶならば、それこそがふさわしかろう。

2014-08-30 13:01:09
【物質主義】(キムラヌート) @Evil_Quim

虚しさの混じる響きに、ぱち、と目を瞬く。大人と呼ばれたのは初めてだ。 「君が愛しているような、きれいな「子供」じゃなくてごめんね?」 『理の盃』に下ったことも同じ陣営が『色欲』を手酷く傷付けたらしいことも謝らない彼が、いくつも歳が離れた『色欲』にそれだけは神妙に詫びた。

2014-08-30 13:17:32
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

「お客さんだよ、君は。もう『外の人』だもの」 ずい、と前に進み、『物質主義』の手を阻む様にして、『醜悪』と彼の間に腕を出す。 ――ああまたか、またなのか。 遣る瀬無い気持ちで、色欲は言葉を紡いだ。

2014-08-30 17:38:29
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

「……別に、君にそんな神聖なものを求めたつもりはないよ。君は子供と言うには少し大きすぎるし。僕の観点で言えばの話だけど」 別に、彼に特別信頼を置いていた訳でもない。『色欲』は仲間と言う存在に酷く疎く、今己の傍らにいる『醜悪』ですら、完全に信用してはいなかった。

2014-08-30 17:39:02
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

信用だの、信頼だの、そんなものが芽吹く前に散々踏みにじられてきた人生であったので、『物質主義』に対しても、来るべき時が来てしまっただけの事、としか捉えていない。 それが全く悲しくないと言えば嘘になるが、仕方のない事をぐだぐだと悩む程甘ったれてはいないつもりだ。

2014-08-30 17:39:37
『醜悪』カイツール @kaituls

『醜悪』は『物質主義』の伸ばされる指に手を伸ばすことはないものの、振り払らおうとはしなかった。 ——と、『物質主義』との間に腕が割って入る。自身の腕ではない。『醜悪』は目を緩め、腕の主——『色欲』に耳を傾け、思考した。 此処までかな。唇をゆっくりと開き。 「……目的を果そっかぁ」

2014-08-30 18:51:51
『醜悪』カイツール @kaituls

話し過ぎたねぇ。と、呟きながら、自身の前にある『色欲』の腕に手を置いた。僅かに力を込める。『物質主義』の禍罪を知らない程、無知じゃない。『色欲』の腕は今、失うには惜しい。だから自身と『物質主義』を阻むそれを、下ろさせたかった。 息を吐き、一度空を見上げて、樹々を見回した。

2014-08-30 18:52:05
『醜悪』カイツール @kaituls

緑が溢れ、青が滲み、一部が紅に染まる大地はどこまでも静かだった。静寂が、痛いくらいに満ちている。 「ねぇ『物質主義』」 静寂を破る声は常と変わらず、穏やかで。 「君は、殺すのと殺されるの。死ぬのと死なすの。——どっちがいい?」 紫紺が、笑む。 此処はどちらかが死なないと帰れない。

2014-08-30 18:52:19
【物質主義】(キムラヌート) @Evil_Quim

伸ばした指先が何かにぶつかって止まる。何かの革でできたリボンが結ばれた血の赤を透かす薄い肌。 「その理屈で言うと、僕のお客さんは君等2人になるのかな」 言いながらついと手を引っ込める。 この場を支配するものは『理の盃』でも『智の剣』でもない。今はまだ。

2014-08-30 19:20:36
【物質主義】(キムラヌート) @Evil_Quim

「なるほど、育ちすぎた瓜は食べられないものだしね」 硬くて美味しくないよ、と若干ずれた理解。 『醜悪』の問いかけには言葉を返さず笑みをもって応える。 二人から距離を取ったのは自衛のためか躊躇いゆえか。 「ねえ、こんな話を知っている?」 足元の赤い草を摘み見えるように差し出した。

2014-08-30 19:22:25
【物質主義】(キムラヌート) @Evil_Quim

「昔むかし、ある王様がこんなことを言いました」 まずは茎を銀に変える。 「太陽が2つもいらないように、」 三ツ葉のひとつを金に変え、残るふたつは鈍色に。 「王もこの地に1人でいい」 金になれなかった葉は形を失い地面に落ちた。

2014-08-30 19:24:10
【物質主義】(キムラヌート) @Evil_Quim

「ここは『王の樹』だからね。僕等もたったひとりの『王様』を決めようよ」 言外に「2人」の勝者を作る気はないと告げる。 『物質主義』の足元、揺れる花々が一瞬で鈍色に融けた。

2014-08-30 19:24:22