蚊に刺されるとなんで痒くなるの?細胞と抗体と痒みを感じるメカニズム

人間が痒みを感じるメカニズムが解明されたら、蚊に刺されの痒みを解消することができるのでしょうか???
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Y Tambe @y_tambe

@Butayama3 「異常を来した自分の細胞」の例のもう一つが、がん細胞。元々、免疫ってのは「自己と非自己を見分けて、非自己を排除する」仕組みなんだけど、ウイルス感染細胞も、がん細胞も元々は「自己」だし、抗体とか白血球では殺せない(ウイルスの粒子自体は抗体で中和可能)から(続

2014-09-16 18:10:11
Y Tambe @y_tambe

@Butayama3 承前)そういうのを処分するために働くのが、いわゆる「キラーT細胞」。で、こいつらは、マクロファージみたいな「異物の情報を伝える」ための細胞から抗原提示受けるのではなくて、普通の細胞(赤血球だけ除く)から抗原提示受けるので、そこらへんも仕組みが違ってる。

2014-09-16 18:12:32
Y Tambe @y_tambe

@Butayama3 細胞が死ぬときのパターンの一つで、「アポトーシス」っていうヤツ。細胞には、元々「自殺のためのタンパク質」が備わってる(=プログラムされた細胞死)。もちろん普段はスイッチオフになってるのだけど、スイッチが入ると細胞核とか必要なタンパク質を分解して、死に向かう。

2014-09-16 18:17:40
Y Tambe @y_tambe

@Butayama3 んで、「異常を来した自己」に加えて、もう一つキラーT細胞が排除の対象にするのは「自分以外のヒトの細胞」。臓器移植が難しいのが、このせいというか。抗原提示に関わる分子(ここではMHC-I。マクロファージによるのはMHC-II)は、ヒトHLAと同じもの。

2014-09-16 18:23:58
Y Tambe @y_tambe

「蚊に刺されると痒くなるのは自己防衛である」というのは、果たして本当なのか。合目的的な解釈としては可能かもしれんけど、ではシラミに噛まれて痒くなるのもそうなのか? だとしたら、痒い部分をかくことが発疹チフス感染のリスクを高めるのはどうしてか。リケッチアがさらに先手を打ってる?

2014-09-17 19:53:41
にしbot @pt_k1ta6

リケッチアは細菌の1属。細菌よりも小さく、生きた細胞の中でしか増殖できないことから細菌とは区別される。媒介は節足動物。ツツガムシ病気、発疹チフス、紅斑熱など。ミトコンドリアとの近似性が指摘されている。#卒業試験 pic.twitter.com/9MRe3DyrOj

2014-09-17 00:18:31
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Y Tambe @y_tambe

一応、典拠は見つけた。JAMA Dermatology 2003の総説。"harmful external agents, including parasites and plants"への"self-protection"の記載あり archderm.jamanetwork.com/article.aspx?a…

2014-09-17 20:03:46
Y Tambe @y_tambe

んー、しかしBrain 2014 ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23794605 では、介せんとか、回虫症とか、ホンマモンの寄生虫症が例示されてるけど、蚊とかに関してはあまり記述がないなあ。

2014-09-17 20:10:50
ぶたやま@「ぶたやまかあさんのやり過ごしごはん」発売中 @Butayama3

もしかして、「かゆみ」とかアレルギーって、まだよくその仕組みがわかってないのかな。

2014-09-18 06:22:07
病院坂のデムパ💉PPMMPPP💉 @Poison_R

@Butayama3 免疫学はまだまだ未解明なことがたくさんある。研究はものすごく進んでるんだけどね。以上、元免疫学徒の言い訳でした。

2014-09-18 06:28:33
Y Tambe @y_tambe

@Butayama3 「痛み」に比べると、かゆみの研究は随分と遅れてますね。ただ、昨日少し論文漁ってみた感じでは、かゆみを伝える神経のメカニズムとかも最近になってわかってきてる模様なので、どこまでを「よく仕組みがわかってない」というかにもよる、という感じになってきた。

2014-09-18 06:30:55
ぶたやま@「ぶたやまかあさんのやり過ごしごはん」発売中 @Butayama3

@y_tambe  なるほど、わかってないところがわかると、色々すすみますね。

2014-09-18 06:36:13
Y Tambe @y_tambe

IgEの本来の役割について、寄生虫感染への防御という考え方がある。IgEは、他の抗体とは違って、マスト細胞の表面にくっついていて、抗原を認識すると、そこからヒスタミンが遊離する。じつはIgEは、もともと寄生虫感染防御のためだった、という説があるのだけど(続

2014-09-18 06:47:28
Y Tambe @y_tambe

承前)じつはヒスタミン自体が、ある種の寄生虫に対して毒性を発揮できることも知られている(ただ、おそらく抵抗性を獲得したものも現在は多い)し、またヒスタミンが気道とかに作用して咳を生じたりすることは、そこをうろついてる寄生虫を「物理的に」振るい落とすためとも言われてる(続

2014-09-18 06:51:03
Y Tambe @y_tambe

承前)そう考えると、「かゆみ」によってそこを「掻く」という行為も、そうした物理的に振るい落とすための防御的行動の一つ、と考えることはできそう。ただまぁ、今我々を悩ます寄生虫とかは、そういう防御線を乗り越えてきたものばかり、ということなのだけど。

2014-09-18 06:53:24
noricorino 🌻 @noricorino

@y_tambe @Dr_yandel マラリア原虫はそれを逆手に取って、掻いて傷口が広がることで、3割ほど侵入率が上がるのだそうです。

2014-09-18 07:32:36
Y Tambe @y_tambe

@noricorino @Dr_yandel さっきつぶやいた発疹チフスリケッチアや、サシガメが媒介するシャーガス病とかは、もっとそこへの依存が高いです。虫体内では中腸で増え、唾液腺に出ないので、吸血だけだと伝染しない。吸血後お腹いっぱいになった虫が近くで糞をする、その中に菌が。

2014-09-18 07:38:47
Y Tambe @y_tambe

「かゆみ」が不快感を伴うことも、そこらへんを考えると妥当だし、感染防御というか「寄生防御機構」の側面があるものと考えることは十分に可能だな。

2014-09-18 06:59:31
Y Tambe @y_tambe

で、寄生虫、とくに「かゆみ」を引き起こすような体外寄生虫を考えてみる。蚊、ノミ、シラミ、コダニ類などが、かゆくなるヤツの代表か。マダニは普通、かゆくはならないのけど、こいつはもともと一生に2−3回しか吸血しないから、一人が何度もさされるケースが少ない(回数増えると、かゆくなる?)

2014-09-18 07:03:44
Y Tambe @y_tambe

蚊とかノミとかは、あきらかに移動能力の高さが「排除」を免れるのに役立ってるよなあ。それに比べるとシラミの運動性の低さはどうよ、という気分になるけど、あいつらはもともと不器用な生き方してるからなあ。

2014-09-18 07:06:52
Y Tambe @y_tambe

シラミほど、宿主特異性が高い寄生虫もそうそういないというか。ノミとかはいろんな動物から吸血するけど、ヒトにつくシラミは、ヒトからしか吸血しない。それどころか、頭につくアタマジラミと、体幹部につくコロモジラミ、陰部につくケジラミで完全に棲み分けしてるくらい。

2014-09-18 07:12:34
Y Tambe @y_tambe

マダニとか蚊とかは、いろんな種類の感染症を媒介するけど、シラミが媒介するものは少なくて、発疹チフス、塹壕熱、シラミ媒介性回帰熱、の三種類くらいだったりする。特に発疹チフスの病原体の発疹チフスリケッチアはヒトとシラミが宿主の生活環ができてる(ムササビにも感染するという説あり

2014-09-18 07:17:21
Y Tambe @y_tambe

もともとシラミ自体が、ありえないくらいにヒトの生態に依存してるもんだから、そのシラミに媒介を完全依存してるリケッチアが「シラミの糞に混じって出て、かゆみで掻いたときに傷口から侵入」なんて戦略を採るように進化したと考えても、まぁおかしくはないか。

2014-09-18 07:20:24
Y Tambe @y_tambe

吸血性の節足動物だと、媒介可能な病原体の種類の多さでは、多分マダニがトップクラスで、蚊がその次くらいかな。マダニの場合は、一生に2回または3回だけしか吸血せず、しかも途中で失敗すると子孫を残せないから、吸う方もまさに命がけな分、絶対に失敗しないよう(続

2014-09-18 07:25:33