rsbs日誌#39

レズボス日誌。第三九巻 ツイ鎮SS
2

艦これ二次創作SS。
胡散臭い女提督と脛に傷持つ艦娘たちの狂った御伽噺なり。
一部性的表現並びに残虐的表現を含むため未成年の閲覧を禁ず。

瑞鳳編。
「鳳は舞い降りた」

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﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 …ざざん、ざざん…と細波の音色が風に乗ってやってくる。島にある小高い丘から、青い青い海を一望できる場所。そこには大きく、艶やかな黒い石と…名を刻んだ石が並んでいた…石を拝む少女の前には灯された線香が僅かに、香りと…細く…青白い煙を晴れ渡った空へと伸ばしていた…

2014-12-23 16:15:03
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#rsbs日誌 少女はずっと、祈り続けていた。細く長い線香は優にその半分を淡い淡い灰へと燃え尽き、添えられた花は潮風にひらり、ひらり…と幾らかの花びらを弄ばれ、散っていた。「…ヒスイ。ヒスイや」胡乱な声が、少女を呼びかける。少女はゆっくりと目を開き、そして顔を上げた。

2014-12-23 16:17:38
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#rsbs日誌 潮風に濡れ烏のやうな黒髪を弄ばれ、眩しい太陽を嫌うやうに黒いサングラスで紅い紅い瞳を隠した、第二種軍衣を着た少女が、『ヒスイ』と…祈り続けていた少女を呼んだ。「そろそろゆこう。他の者たちも待っておる」淡い亜麻色の髪を揺らし、少女は立ち上がった。

2014-12-23 16:25:29
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#rsbs日誌 金色の琥珀に程近い瞳で、『ヒスイ』は白い軍衣の少女を見つめた…「…すみません。もうひと時…もう少しだけ…『ヒスイ』で居させて下さい。提督…」少女の懇願に、提督…と呼ばれた軍衣の少女は…ゆっくりと頷き返した「良かろう。もう暫しだけじゃがな…じゃが…必ず帰っておいで」

2014-12-23 16:27:49
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#rsbs日誌 提督は踵を返し、背を『ヒスイ』へと向けた。「待って居るよ…『ヒスイ』…わしの艦娘よ」ただそれだけを述べると、提督は丘の上を…嘗てあった惨劇を語り継ぐ、慰霊碑の丘を去っていった。『ヒスイ』は今一度、黒い墓石を眺める。潮風が弄ぶ髪を、そっと細いリボンで結った。

2014-12-23 16:30:04
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#rsbs日誌 『ヒスイ』は立ち上がる。懐から札を取り出し、それを燐寸で燃やした。燃えた札から艤装が展開され、少女に纏わり付く。矢筒から一本の矢を取り出し、彼女は弦に番えた。そして…目一杯、弦を引く。空高く矢の先を向けて。青空の彼方にある太陽に向けて「破ッ…!」パァン、と爆ぜた

2014-12-23 16:33:31
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#rsbs日誌 弔いの矢が放たれる。鏑矢が、鋭い音を奏でながら空を登っていく。何処までも何処までも高く登り、音を海へ…空へと響かせていく。白と朱色の弓道着が独りでに、松葉色の迷彩色へと彩を変えた。それはまるで彼女の意思を表すようでもあったし、不退転の思いの様でもあった。

2014-12-23 16:39:40
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 高く高く打ち上げられた鏑矢は、やがて白い灰となって空の彼方に潰えた。『ヒスイ』はそれを見届け、丘を下る。慰霊碑を背にして。待ち続ける仲間達の下へと向かう為に。…丘の下には、幾人もの艦娘が、そして背の低い、妖艶な気配を漂わせる提督が待っていた。「おかえり…」

2014-12-23 16:41:50
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#rsbs日誌 提督の、優しい一声に『ヒスイ』は頷いた。「『ヒスイ』改め…航空母艦瑞鳳、お待たせしました」何よりも鋭い眼光と、他の者が持ち合わせぬ輝く琥珀色の瞳で、瑞鳳は寸分の狂いも無い敬礼を返して見せた。「ではゆこう。再びこの丘を登るのは、また来年にじゃな…」

2014-12-23 16:44:19
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#rsbs日誌 提督を含む全員が、丘の上の慰霊碑へと敬礼を送る。そして…ゆっくりと踵を返し、港に停泊する高速巡洋戦艦、グロースブラーゼンへと向けて足を運び出した。ヒスイ…否、今はもう瑞鳳と言う名を背負った少女が最後にちらりと、背中の向こうの丘を一瞥し…独白する。「…さよなら」と

2014-12-23 16:46:31

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﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 …目を見張る程の過去でもなくば、そう近い過去と言う程でもない頃…

2014-12-23 16:49:14

…――――――…

﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 ある日の事じゃ…我々は、本土の南…九州近海に足を運んでおった。とある島で療養をするべく、な…其処で湧き立つ温泉は不思議な事に艦娘の傷の治療に効果があった。何故、その温泉にその様な効果があるのかはとんと判らず終いであったが…気分転換には都合が良かった。

2014-12-23 16:53:22
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 ある時はその温泉の湯を持ち出してはどうか?と言う話も持ち上がった物じゃったが…不思議な事に、一度島から離れると湯の効果は失われたのじゃった…お陰で、こうして知る人ぞ知る、艦娘が湯治する温泉島…となった。港には遠方や近隣からやってくる船や飛行機が浮かんでおった。

2014-12-23 16:55:56
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 「いやぁ…相変わらず、ここの湯はいいのう…」艦娘に混じり、湯治に興ずる提督がアイスクリンをあむりあむりと食べながらに呟いた。他の娘らもそれぞれがそこいらに開かれている出店で出された物を美味しそうに食べていた。「一体何故、ここの湯はこんなに効くのでしょうねぇ?」

2014-12-23 17:01:38
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 榛名のほやほやとした言葉に、赤城も頷く。「工廠でも中々治せない体の妙な痛みも、ここの湯に浸かると不思議と痛みが消えますからね…」しゃくりしゃくりとミカンカキ氷を摘みながら赤城は応えた。「若しかしたらじゃけどもなぁ」提督が榛名に一口、アイスクリンを分けながら呟く。

2014-12-23 17:03:31
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 「この島の近くにほれ…種子島があるじゃろう?種子島と申せば鉄砲伝来じゃ。鉄砲と申せば重火器の先駆けじゃ。即ち戦艦の主砲の源じゃ。名に因んだ効果が、この島の温泉には出ておるのかもやしれん…」「それならば、種子島で湯が沸くべきではないのですか?」赤城は首をかしげる。

2014-12-23 17:06:35
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 「知らぬよ。出てしまったものは出てしまったのじゃろう。この島の温泉に」提督の苦笑に赤城は釈然としないながらも、まぁいいか…と深い事を考えるのを止めた。「あ…提督さーん!」その折、艦隊の面々に声をかける少女が一人居った。和弓を揺らして小走りに駆け寄る姿が一つ。

2014-12-23 17:08:41
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 「おう。ヒスイかや」少女は近寄る少女に見覚えがあった。この島で生まれ、この島で育った、防人となるべく研鑽に励む少女。名をヒスイ…と言う。「艦娘の皆さんもお久しぶりです!湯治ですか?」「はい。そうですよ」榛名の返事にヒスイと言う少女は自分の事の様に喜んだ。

2014-12-23 17:10:22
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 「是非、ゆっくりしていって下さいね。うちの島は温泉と、ミカンと海の幸くらいしか目ぼしい物は無いですけれど」「そんな事ないよー。美味しい物と美味しい温泉。幸せだよね?提督」むしゃりむしゃりと焼きモロコシを食べていた川内が笑顔で答えた。「うんむ。その通りじゃな」

2014-12-23 17:11:54
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