英連邦の無軌道小話3つ~AT突撃戦車のやりたい事・“ロンソン”火炎放射器の由来・カナダのInglis 20mm機関砲
@futaba_AFB 言われてみるとなんでタイヤメーカーが……と思ったのですが、グッドイヤーは戦間期に規制食らったツェッペリンと提携して飛行船関連に参入したのが入り口になってる en.wikipedia.org/wiki/Goodyear_… ……んですかしら?
2015-01-03 22:39:29@futaba_AFB この経緯でいくとグッドイヤーは、モリンズやスチュワート・ワーナー・アレマイトよりはまだ少しヘンシェル寄りかもですね。それでもやっぱり総力戦を感じるものがありますが
2015-01-03 23:06:49カナダのInglis 20mm機関砲
1941年夏の英国は20mm機関砲の不足が致命的で、「撃墜した独軍機のカニバライズ」まで考えていたとかなんとか……?
2015-01-04 12:59:22機関砲不足から「ステンみたいなエリコン」を作ろうという計画も動き出して、これは最終的にはPolstenに行き着く……のだけど、それはそれ。英軍の機関砲不足は、同時にカナダに回す余裕などない事を意味する。そこでカナダ独自の20mm機関砲開発計画が出てくるんですね
2015-01-04 13:05:41そしてカナダとしては、こういう機関砲を欲しがった ・エリコンに似たもの ・可能な限り全長を縮めて車両への搭載を容易に ・その上で良好な弾道は維持すること ・迅速な銃身交換 ・ベルト給弾(給弾方向変更可能) ・高発射速度(700~800rpm) なんとまあ、常識的かつ大変な要求で
2015-01-04 13:12:53そして42年春ごろにはInglis社がカナダ独自の20mm機関砲を開発することになる。同社は元々蒸気機関を製造していたのですが、第一次大戦から砲弾製造なんかも始めていたそうで。また戦間期にはBren軽機関銃の製造も始めてて、カナダの企業としては割と兵器製造には通じてる方かしら
2015-01-04 13:22:07カナダ独自の20mm機関砲は当初エリコン系統で行く予定だったけど、Inglisはイスパノ系でいくことにする。これに伴い使用弾薬も20x110RBから10x110に。これは薬莢長こそ同じなんですが、太さやらリム周りの形が違うんですね
2015-01-04 13:29:46エリコン系からイスパノ系に変更した理由は幾つかあるようで。曰く ・構造は複雑だが高発射速度を得やすい ・イ薬莢形状の関係で抽筒しやすい ・イスパノ弾薬の方が若干強力 ・エリコンは弾薬に塗油が必要だがイスパノは不要 どうも機関砲には疎いので、本当にそうだかは私にゃわかりませんが
2015-01-04 13:39:23イスパノ薬莢のほうがエリコンよりもテーパーが強くてエリコンよりも抽筒容易だという話なんですが、図をみるに胴の部分のテーパーはほぼ同様で municion.org/20mm/Hs404.htm municion.org/20mm/20x108.htm 肩の部分が問題なんですかしらね?
2015-01-04 13:41:31ともあれInglisは9月には試作砲の最初の試験に漕ぎ着け、10月には12門を製造。試作は43年に入っても続けられ、、弾倉周りの不具合も修正や構造強化などを実施。4000発射撃試験を満足行く結果で終え、7月には単装・4連装砲架とともに英国とアメリカに送られて試験されることに
2015-01-04 13:49:21弾倉の話が出てくるの、ベルト給弾化はひとまず44年に持ち越されたため。これは50発, 100発弾倉が用意された。それと4連装砲架はちょっと面白くて、トレーラーの構造が独軍2cm4連装Flakのもののコピーだったりする。砲架の首から上は米国製の12.7mm4連装銃塔に似てるけど
2015-01-04 13:53:12英国での試験では、Inglis 20mm機関砲は幾らかの給弾不良を起こすものの、メンテナンスは容易で、そして発射速度は高さ、銃身交換の簡単さも賞賛された。砲架の試験は43年秋まで続き、米マクソン社製銃塔(M16ハーフトラックと同系のアレ)より軽くてバランスが良く優秀と評価される
2015-01-04 14:02:07ただしInglis 20mm機関砲自体の前途はあまり明るくなく。まずこの頃にはPolstenのほうも物になってきてて、こちらはさらに安価で製造容易なために注目されつつあった。そしてInglisはイスパノ弾薬を使うので、エリコン弾薬を使うPolstenと一緒には生きられない
2015-01-04 14:08:43このため、とりあえずInglisの砲架はPolsten用に用い、またカナダ独自のSkink対空戦車の武装もPolstenに変更することに。Inglis 20mm機関砲自体の開発は継続されたものの、量産に関する作業はストップされてしまう
2015-01-04 14:10:46それでもInglis 20mm機関砲の英国での試験は続けられる。イスパノ系なのでエリコンに比べて小さな可動部品が多く複雑な構造ではあるものの、最も優秀な20mm機関砲であることはしぶしぶ認められる。そして、やはり即時採用はしないものの、ともかく開発は継続すべしとされる
2015-01-04 14:16:4944年8月頃、弾薬共通性が問題でInglis 20mmを使えないのなら、これをイスパノ弾薬からエリコン弾薬を使うように変えてしまえばいいという話も持ち上がる。簡単なようで意外に面倒が噴出しそうな作業だけども、この作業は11月末には完了する
2015-01-04 14:22:19エリコン弾薬仕様のInglis 20mmの試験は45年1月に始まる。ここでは致命的な問題もなかったようで、カナダ製および英国製弾薬で毎分600~700発の発射速度が記録される。奇妙にも米国製弾薬では発射速度が上がる傾向があったらしく、最大で毎分848発に達した
2015-01-04 14:27:00そのあとも発火機構やら何やら諸々の改良が続き、45年11月には英国で1万発射撃試験を成功裏に終える。具体的に作動不良がどれくらい起きたかは不明ですが、ともかく「僅か」であったとか。米国での試験も同様に良好な結果に
2015-01-04 14:33:52しかし45, 46年にもなると、対空火器はさらに大口径にシフトしつつあった。最早英国は新しい20mm機関砲などに興味を失っていたし、米国も同様だった。Inglis 20mmの残った試作砲はカナダに返され、将来の兵器開発において必要になった時に利用できるよう保管される事となった
2015-01-04 14:39:14そういうわけでカナダのInglis 20mm機関砲は、最も優秀な20mm機関砲と評されつつも、英国の20mm弾薬体系に今一つマッチせず、そのために時期を逸して犠牲となった……と評する人もいるようです
2015-01-04 14:44:04件のカナダ製Inglis 20mm機関砲を積んだ対空自走砲がこちら。ガスチューブがあるんで、確かにエリコンでなくイスパノ系であるなあと判ります。砲架は米国Maxon社製12.7mm4連装銃架とシルエットは似てますが、実際わりと別物 pic.twitter.com/ZWSO3dR7nF
2015-01-04 14:50:53