すばる長編

クラゲ @04kurage

#100-6 ② 心配そうにしてくれる彼女 それが嬉しくて 何や付き合ってるみたいやけど あれ以来ご飯にも 結局休みの日のデートにも行けず 『いつかで良いですよ』 何て言われてもう期待されてないみたいや 「明日休める保証があればな…」 何て一人呟いてみる

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#100-6 ③ 「たまには休んだらええんちゃう？」 振り返るとニタニタしとる村上がおった 「これじゃ休めんやろ」 「今日次第ちゃう？」 「これは来週でもええし、こっちは俺やったるわ。この前お前に仕事振ってもたでな」 「それはしゃーないやんけ」 「そのお礼や」

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#100-6 ④ 残った仕事の量みたら 確かに今日頑張ればどうにかなりそうで 明後日の土曜日は休めそうや 「マーケティング部の葛西さん」 バッて驚いて村上見るとしてやったりの顔 「この前電車で来たら二人で前歩いとったし」 「お前それ誰にも…」 「言わんわ」

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#100-6 ⑤ ホッとする 「お前が仕事頑張ってるのも、全然遊ばへんのもその子のお陰か」 「うっさいわ」 「30過ぎたおっさんが…」 「それ、お前には言われたくない」 「せやな…まぁ頑張れ」 肩を痛い位に叩いてディスクに戻って行った とりあえず仕事終わったら夜に連絡してみよ

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#100-6 ⑥ でも結局その日も残業で チラッと時計をみたらもう7時回ってて 「あと1時間」 そう思ってパソコンに向かう ガチャ って開いた扉を見ると 「なんで⁈」 彼女が立ってて 『あの…差し入れを…』 牛丼屋の袋を差し出す 「え？わざわざ？」

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#100-6 ⑦ 『あとこれ…』 栄養ドリンク 「ありがとう」 『すみません…お邪魔して…』 「ううん。めっちゃ嬉しいわ」 見ると牛丼は2つ 「これ葛西さんの分も？」 『え？はい…』 「一緒に食べよか」 『でもお邪魔しては…』 「折角やし。冷めるで」 『では…』

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#100-6 ⑧ 彼女がお茶淹れてくれて隣のいすに座る 大学で地元から出てきて初めて牛丼屋に行った時の話 コンビニに初めて行った時の話とかしてくれて いつも家で一人で食べる牛丼より数倍美味しかった 「あ、せや。土曜日休めそうやねん。良かったら出かけへん？」

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#100-6 ⑨ 『でも…ゆっくりお休みしたいんじゃ…』 「どうもないで。やから行かん？」 『はい』 待ち合わせと時間決める 可愛らしい赤い手帳に予定書き込む彼女 「行きたい所また教えて？」 『はい！』 「暗いし送って行きたいんやけどな…」 そうしてまうと土曜日休めんし

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#100-6 ①⓪ 『大丈夫です。すみませんお邪魔して』 「ううん。もうちょっと頑張るわ」 『はい！では土曜日楽しみにしてますね』 手振ると廊下の向こう側で振り返してくれた彼女 こんなん期待しかせんわ… 「そろそろ彼女の気持ちが知りたいな」

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#100-7 ① 土曜日 待ち合わせの15分前に着いたらすでに彼女は居って 「早いな」 『あ、渋谷さん。おはようございます』 って手にはガイドブック 密かにカバンに入れたやつと同じで 恥ずかしくなって 「回る気満々やな」 何て笑ったけど 俺と同じくらいの折り目の数

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#100-7 ② 私服は何時もと変わらん 落ち着いた色の服で ふんわりとしたスカートが彼女に良く似合ってる 下手に待ち合わせは有名な待ち合わせスポットの前やけど 『待ち合わせ場所って言うよりたむろの場所みたいです』 ってタバコ吸うスペースの人の多さとかに笑っとった

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#100-7 ③ 古い方のタワーを目指して 下から見上げて 『十分これも大きいですよね』 ってカメラで見上げて話す 「首取れるで」 『取れませんよ！』 何て会話 展望台へと行くときは下をガン見してる彼女 一部が半透明アクリル板の下ずっとしゃがんで覗いてるから 「わぁ！」

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#100-7 ④ って背中押したら 『もう！何するんですか！』 ってびっくりしてて 『渋谷さんの意地悪！』 何て怒る彼女が可愛かった 『仕返ししてやる…』 ブツブツ言ってる彼女を連れて 今度は魚市場に 『市場も広いんですね！』 少し懐かしそうに眺めてる

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#100-7 ⑤ 「昼飯食ってこか」 ってちょっとええお寿司屋 『ん！美味しいです』 「ガイドブックには無かったやろ？」 『はい！』 「あ、どっか行きたい所はあるん？」 『やっぱり下手ですけどここに…』 って見せられたんは有名な神社 「ほなそこ行って夜ここのタワーな」

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#100-7 ⑥ 何て予定を立てる 黄色い有名な観光バスでもこんなに詰め込まへんって位すでに観光してるけど 「大丈夫？」 って言っても 『楽しいです！』 って笑ってくれてるしそれが嬉しかった 神社で真剣にお祈りしてる彼女の横顔を盗み見る “何祈ってるんかな…”

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#100-7 ⑦ 何て思う 二人おみくじ引いたら お互い小吉で 俺の恋愛の所には “険しい道のり” 何て書いてて 今いいねんけどな… って彼女を見て思う 少しお茶しに人通りの多い通りを歩く 少しキョロキョロするから時々開く距離がもどかしい…

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#100-7 ⑧ 「迷子になるで」 って自然に繋いだ手 『す、すみません…』 顔を少し赤くしたけどそのまま握られた手 そんな態度にこっちまでドキドキする そのまま手を離すこと無く 歩いてる時は繋がる手 それだけで距離が縮まった気がして でも凄い緊張する

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#100-7 ⑨ 『凄い！綺麗ですよ！』 新しい方のタワーには夜景の見える時間に来ることは決めてて そんな下手な感じ恥ずかしいけど あわよくば何て思ったけどそのまま言い出せへん 『綺麗…』 何て見つめてる彼女の少し後ろ “ガキじゃあるまいし” それでも言えんかった言葉

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#100-7 ①⓪ 告白とか出来ん男何てカッコ悪いわ 何て思ってたのに 「これじゃ俺も一緒やんけ」 って一人呟く 『渋谷さんどうしたんですか？』 「え？なんもないで」 『今日は1日凄く楽しかったです！ありがとうございます』 そう言った彼女 今しかないやろ…

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#100-7 ①① 立ち止まると先を歩く彼女の腕が引っ張られて吊られて彼女も立ち止まる 『どうしたんですか？』 「あのさ…」 深呼吸して話そうとした時 “あれー？すばる？” 見ると派手な服着た女が居って “何デート？最近全然連絡しても相手してくれないから寂しいー”

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#100-7 ①② “また私とも遊んでね” 何て一方的に話して去っていった女 名前もよう覚えてないそいつを彼女は見てて 『渋谷さんのお知り合いですか？』 「え？まぁ…」 『すみません…帰ります』 繋いでた手を離して走って行く彼女 「ちょっと待って！」

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#100-7 ①③ 追いかけるけど意外と多い人ごみの中 暗いしすぐに見失ってまう 駅に着いたけどもう彼女はおらんくって 電話もLINEも無視 「はぁ…」 ため息しか出えへんまま帰宅する 何度も送ったLINEは既読にもならへん 俺はその携帯を投げつけた

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#100-8 ① 結局2日まともに眠れずに過ごした週明け 何時もおる車両にはおらんし 駅に降りても姿見えん 時々合間を見て彼女の部署に行ってみるけど タイミングが悪いんか会わんし もしかせんでも避けられてるのは明白やった 「はぁ…」 「お前今週何回目のため息やねん」

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#100-8 ② 「うっさいわ。ほっとけや」 「マーケティング部の葛西さんやろ？」 「…」 「早よ解決してくれんと仕事に関わるねん。イライラして毎日残業されても困るわ」 そう言って村上は出て行く 火曜は更に言って早い電車に乗ったけど会えんし 水曜日は遅くしてみたけどあかんかった

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#100-8 ③ 全然眠れない日が続いてて 木曜日に久しぶりに寝坊した 村上は 「しっかり頑張れ」 って肩叩いてきた 「せやな…」 見るかわからへんけど "明日仕事終わったら時間ちょうだい" って送る 既読になったか確認するのも怖くて とりあえず仕事に集中する