茂木健一郎氏 @kenichiromogi 第1423回【あのようなやさしさ、温かさは、どのような背景から生まれるのか、それ以外に、この世で重要な問題はない】連続ツイート
- riverland_c
- 3595
- 0
- 0
- 2
連続ツイート1423回をお届けします。文章はその場で即興で書いています。本日は、このところときどき思い出していたこと。
2015-02-08 06:48:33このところ、ラッセ・ハレストレム監督の『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』のことを時折思い出す。やさしい映画である。表面的にだけでなく、ほんとうに根っこからやさしい心の映画である。シーンをあれこれと思い出してみると、そこに、人間に対する温かさ、やさしさがあふれていることが伝わる。
2015-02-08 06:50:39冒頭の、イングマル少年がひっくりかえって、それを見てお母さんが笑うシーン。星空に、「あのライカ犬にくらべたら、ぼくは幸せだ」「あの、運動場を歩いていた男に比べたら」というような連想の言葉も、広い世界に対するまなざし、共感が文学的感性で描かれていて、やさしく、温かい。
2015-02-08 06:52:17愛犬のシッカンが療養中のお母さんの寝室に入ってしまって、お母さんがパニックになって泣き叫んで、イングマル少年が、シッカンをかかえ、ベッドの下で耳を押さえて言葉を唱えるシーンだとか、シッカンが死んでしまったとわかって、庭の小屋に閉じこもってワンワンとシッカンのマネをするシーンとか。
2015-02-08 06:54:13寝たきりのおじいさんが、イングマル少年にカタログの文章を読んでもらい、それを聞きながらうっとりと目を閉じているシーンだとか。おばあさんが入ってくると、そのカタログをあわててベッドの下に隠すシーンだとか。みんなでボクシングの試合の実況を聴いていて、熱狂して飛び出してくるシーンとか。
2015-02-08 06:55:44『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』の、人間に対するまなざしや、本当にやさしく、温かい。しかも表面的なやさしさではなくて、人間の弱さ、傷つきやすさ、この世にある不幸、別れ、すれ違いをわかった上でのやさしさである。ハレストレム監督の数々の作品の中でも、やはりこれが一番好きだ。
2015-02-08 06:57:13このところ、この映画をふと思い出すのは、あのようなやさしさ、温かさは、どのような背景から生まれるのか、それ以外に、この世で重要な問題はない、と感じるからだろう。シッカンが死んでしまったとわかって、庭の小屋に閉じこもったイングマル少年がワンワンとほえるシーンは、永遠の名場面である。
2015-02-08 06:59:41以上、連続ツイート1423回「あのようなやさしさ、温かさは、どのような背景から生まれるのか、それ以外に、この世で重要な問題はない」をテーマに、6つのツイートをお届けしました。
2015-02-08 07:00:32