東浩紀氏による昨今の講演や書籍の価格問題ツィートをまとめてみました。

東浩紀氏による昨今の講演や書籍の価格問題ツィートをまとめてみました。
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東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

書籍価格と授業料は一般に安止まりしすぎだと思う。

2015-02-22 12:21:43
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

たとえば講演会参加料いくらが適切か、講師謝礼+場所代+スタッフ代そのほか必要経費を参加人数で割ればすぐ計算できるし、そうすれば1000円とか2000円とか赤字なことはすぐにわかる。15人しか参加しないイベントと300人入るイベントの料金が同じなのが、この世界の不条理なところ。

2015-02-22 13:41:32
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

書籍についても同じことが言えて、2000部しか売れない本と100万部売れる本が同じ値段になっていて、定価決定権は出版社にあり、しかも売れないのは著者の自己責任とか言われても著者は死ぬしかない。出版社は100万部売れる本も2000部売れる本もあるからポートフォリオ組めるけどね。

2015-02-22 13:43:02
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

日本の出版界や講演界は(もしかして教育も)、「少人数相手に適正価格できちんとサービスを提供する」枠組みを作ってこなかったと思うんだよね。学術書や文芸書はマンガの黒字で補填、トークショーは宣伝だから赤字覚悟、みたいな感じで値段不当に安く設定し続けてきたので、一気に崩壊している。

2015-02-22 13:45:20
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

印税10%、単価1000円という一般的な本のイメージは、著者印税を考えると、最低1万部(100万円)、できれば3万部くらい売れることを想定して設定されているものです。しかし現実にはそんなに売れる本はほとんどありません。そのため著者も書籍執筆に時間をかけなくなってきています。

2015-02-22 13:51:01
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

結果として1週間で書いたような適当な本ばかりが現れています。その傾向を加速したのが新書ブームですが、これは著者側の怠惰のせいではなく市場の歪みのせいです。3000部しか売れなくても5000円の設定ができれば150万円入ります。しかし多くの出版社はとにかく値段を下げようとする。

2015-02-22 13:52:51
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

むろんここには、出版社の価格の問題だけではなく、書店のありかた、広告のありかたなどいろいろな問題が関わっていると思います。しかし、ぼくが最近強く感じているのは、まずは「すべての本が安いのが前提であること」を変えるべきだということです。

2015-02-22 13:56:36
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

原則として、世界には100万人に受けるコンテンツと1000人にしか受けないコンテンツがあり、後者は別に価格が高いからそうなっているのでなく本質的にそうで、また後者を支持するひとは他に代替物がないので高価格でも払う、ということがわからないひとには、文化は理解できないと思います。

2015-02-22 14:02:58
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

ぼくが言いたいのは、21世紀風でネット風の言葉で言えば、要は、コンテンツ供給者(著者)に、コンテンツ制作に見合う対価を提供できないプラットフォーム(出版)は、粗悪なコンテンツ(本)しか集めることしか出来なくなるので早晩滅びる、というしごく当たり前の「経済原則」です。

2015-02-22 14:07:12
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

新書初版6000部、定価700円でしかも対談とかの場合、著者ひとりの印税は手取り20万に届かない。これでは雑誌掲載対談の再掲載が限界。まして書き下ろしなんて。いまは多くの著者から見て書籍は「割に合わない」商売になってきている。このままだと出版は質的に衰退すると思います。

2015-02-22 14:12:02
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

そういえば、そもそも印税も崩壊してきている。いまは7%とかも多いんじゃないかな・・

2015-02-22 14:16:24
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

これはたぶん出版社の社内統治にも関係している。著者として付き合った印象にすぎないけど、多くの編集者が部数は気にするけど利益についてはあまり気にしていない。たぶんその情報は社内共有されていないのではないか。編集者の業績が部数のみで図られるのだとすれば、定価を安くするのが合理的。

2015-02-22 14:28:56
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

もし一冊一冊でちゃんと実売だけで利益が出るよう計算し、個別に設定したら、かなり多くの本の定価が跳ね上がるのではないかと思う。むろんそうしたら読者はいっそう少なくなるもしれない。しかしいったんそれをやらないと、小部数出版は健全さを取り戻せないのではないか。

2015-02-22 14:31:21