生成文法と「なぜ」

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もん @kmepth_6

英語学ゼミで散々、文法操作はすべて最短距離で行われる、それが最も合理的だから、ていう論理やったけど、なんで人間の言語が合理的に運用される必要があるのか、なぜ連続循環的に動くのかとかの「なんで?」ていう種の疑問は全く解決されないままだった。というかしちゃいけない空気だった気がする。

2015-03-14 01:16:02
もん @kmepth_6

最も合理的だから、って答えになってるようで実はなってないし。なんで長距離移動を一回でぽんと行わないで短い距離の移動を何回か重ねるのか?生成文法は文法操作の決まり事を知るのには役に立ったけど、理由についてはわからず終い。そもそも生成文法は理由を突き詰める学問ではなかったのだな…

2015-03-14 01:19:05
もん @kmepth_6

生成文法において「なんで?」は抱いちゃいけない疑問というか。そうやって決まってるんだからそれ以上は何もないです!ていう。それがなんかつまらなく感じて来年度は認知言語学系のゼミ志望したけど、認知の基礎知識がないのでちゃんとついていけるか不安過ぎる。

2015-03-14 01:21:48
もん @kmepth_6

人間の言語がどのようになってるのかを解き明かすための諸理論の集まりが生成文法であって、言語の規則や体系を見出したところにその功績があるわけだし目的もそれだったのだから、howに対してwhyを持ち込んでる私がそもそも間違ってるんだな。そういうの考えたいならよそへ行けってやつだな。

2015-03-14 01:26:32
アニ @gorotaku

ええとね、それは生成文法の問題ではなく教員の問題。生成文法における様々な仮説はみな「なぜ?」に対するひとつの答えとして提案されたもの。

2015-03-15 07:44:20
アニ @gorotaku

ただ、それを理解するのって研究史をちゃんと見ていかないといけないから、一年間のゼミでは多分無理。移動の境界性に関する研究なら、40年前から許容される移動と許容されない移動がある、という観察があって、じゃあいわゆる「島」はなぜ「島」なんだ、という疑問が発生するわけよ

2015-03-15 07:48:44
アニ @gorotaku

で、様々なミニマルペアを較べて島になるケースとならないケースを比較していったら、「エスケープハッチ」になり得る位置が埋まってる場合に島になるのだ、という観察が出てくる。つまり、最終的に同じ距離を動くのであっても、「長い移動一回」ではだめで「短い移動二回」ならOK。

2015-03-15 07:50:22
アニ @gorotaku

じゃあなぜ「長い移動一回」はダメなのか?という問いに対して、「人間の統語計算システムは、そもそも「長い移動」にならないような計算の仕方をしている」ってのが最近の理論なわけですね

2015-03-15 07:51:57
アニ @gorotaku

で、Lasnikがアウトプットをフィルターすることを思いついたら、元々の変形規則を無茶苦茶単純にできた。そして、記述的妥当性はむしろ高まった。

2015-03-15 07:55:58
アニ @gorotaku

【誤字訂正】その辺の話、60年代の研究から繋がっていることなんだよね。例えばSyntactic Structuresの複雑な変形規則の集合は、記述的妥当性と説明的妥当性の両方で問題があった。

2015-03-15 07:56:48
アニ @gorotaku

で、この種の「シンプルな規則群が、データをより適切に捉えることができる」という経験が積み重なって、「そうすると人間の文法機能は本質的に『シンプル』なのではないか?」という流れを生むことになった

2015-03-15 07:58:21
アニ @gorotaku

「なんか凄い沢山の規則群を上手く調整して動かそうと苦労していて、一箇所を変えると別のとこがおかしくなってもうイヤーってなってて、誰かがずっぱりシンプルにしてみたら全部上手く行っちゃった」って歴史を知ってるか知らないかで、ミニマリズムのメカに関する印象は随分変わると思う

2015-03-15 08:07:38
アニ @gorotaku

それこそ「なんで」こういう原理が提案され、「なんで」これが正しい方向性ではないかと見做されているのか、そこが多少なりとも見えるようになるわけで

2015-03-15 08:08:36
番長 @zoso_76

正直、生成文法ほど「なぜ」を説明することに応えようとすることを徹底したアプローチはないと思う。(むしろこの徹底が、生成系に反感を持つあるいは胡散臭いと感じる人を生み出しているんじゃあないかと思える程度に)

2015-03-15 13:49:00
番長 @zoso_76

例えば there構文のbe動詞が、threre虚辞とじゃあなくてassociateと一致する理由 (その一方で it 虚辞とは一致する理由) なんて、「there構文はそういうものだから」「It .. that 構文はそういうものだから」といって仕舞えばいいわけで。

2015-03-15 13:49:23
番長 @zoso_76

しかしそこをあえて、Multiple Agree だの  素性の完全性だのの目に見えない装置を持ち出して、メカニカルかつ複雑なストーリー(演繹)の帰結として、画一的に説明しようとする。多分こういう態度・方針が最大の特徴といっていいんじゃあないかな

2015-03-15 13:49:47
番長 @zoso_76

(こういうアプローチが一定の成果を上げてきたのは事実だけど、しかしこれで万事うまくいくという保証は100年後にしかわからないだろうし、もしかしたら、やっぱり「そういう構文だから」という理由しかないかもしれない)

2015-03-15 13:50:13
番長 @zoso_76

もちろんこれは、ずかし先生が指摘するように、真の意味でのWhy、つまり「なぜそういう装置があるのか」「なんで言語はそういうデザインになっているのか」に対する回答ではない。

2015-03-15 13:53:12
番長 @zoso_76

よく「whatへの回答が記述的妥当性」「Howが説明的妥当性」「whyが Beyond the Explanatory Adequacy」と言われるけど、この三番目はあまりに深淵すぎてずっとfar-reachingな問いで、ようやくこの10年になって接近され始めてきた類のもの

2015-03-15 13:56:09
番長 @zoso_76

「ボールは上昇するのではなく落下すること」を記述的妥当性、「重力があるからボールは落下して月は周回すること」を説明的妥当性、「なぜ重力があるか」を Beyond にたとえて述べるのはどうかな、適切かな

2015-03-15 14:02:50