【ニンジャの二次創作】アイ・ハヴ・ナッシング #3

ニンジャスレイヤー二次創作小説です。 報われぬサンシタニンジャの悲哀のお話。 #1:http://togetter.com/li/792898 #2:http://togetter.com/li/800059 続きを読む
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篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

(当アカウントはこれからニンジャの二次創作投下マシーンとなります。これはやさすい漬けのマグロが水槽の中で見た夢であり、本編・公式とは一切関係がございません)

2015-03-30 19:55:20
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

(TLが私のツイートで埋まる可能性は実際高いです。煩わしく感じられたならリムーブ、ミュート等をお願いいたします)(専用の実況タグ #yasasui_nj が用意されております。生暖かい目で突っ込み感想何か実況用にどうぞお使い下さい)

2015-03-30 19:55:52
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

(これまでのあらすじ:マケグミサラリマン・イケジマはトラックにはねられニンジャソウルが憑依。だが、生来の気弱さと運の悪さが災いし、なすことすべて裏目に。金を住みかを失い、どうする、イケジマ!)

2015-03-30 19:56:21
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

兄ちゃん、また来たのか。変わった奴だな。何もない、何も出来ない、しがないただの男だぞ、俺は。ヒック…。ああ……、酒がうまい……。なに?良いツテがある…?金が手に入る……?そんなうまい話がある訳ないだろう、ハハハ。お?なに?なんだ、この札束は…?なんだと? 1

2015-03-30 19:58:18
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

前金だと?何の?試験?ふぅん…、良く分からないが…、そこへ行けばさらに金が手に入る…。ハハッ…。良い話じゃないか…!金もねぇし…、疲れたし…、乗ったぜ。そこへ連れていってくれ。 2

2015-03-30 20:01:44
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

…深夜のネオサイタマのハイウェイをしめやかに何の変鉄もないセダンが走っていく。車の後部座席ではイケジマが疲れと久々の安心感からか、横たわりイビキをかきながら眠っている。イケジマは夢を見る。過去の悪夢の続きを。 3

2015-03-30 20:04:54
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

アパートを追い出されたイケジマはストリートをさ迷い歩き、ビルとビルの隙間めいた路地へ腰を下ろしていた。まるで排泄物のように垂れ流されるビルの排水を横目に見ながら、イケジマは暖まった排ガスが吐き出される排気ダクトの側で一人佇み、物思いに更ける。 5

2015-03-30 20:08:48
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

「おいお前。そこは俺様の席だ」しわがれた声がイケジマへ放たれる。イケジマが目を上げると、ボロボロの身なりの老人がイケジマを睨んでいる。「知らないよ」イケジマは再び眠りに入ろうとするが、頭に衝撃を受け、地面へ倒れ込んだ。 6

2015-03-30 20:12:56
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

こめかみに血管を浮かべた老人が鉄製の義手で自分を殴ったことに気付いたイケジマは無言で立ち上がり、老人を張り飛ばした。「イヤーッ!」「グワーッ!」吹き飛んだ老人は運悪くスシデリバリーのバイクに撥ね飛ばされ、動かなくなる。 7

2015-03-30 20:16:12
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

老人の頭や首筋から大量の血がとめどなく溢れてくる。「俺のせいじゃない」ぶつぶつ言いながらイケジマは老人の懐を探り、酒瓶やタオル、それに小銭を漁る。ほんの少しはこれで持つだろう。いざとなったら腎臓や腕を闇医者に提供すればいい。イケジマは排気ダクトの側に戻り、眠りについた。 8

2015-03-30 20:20:34
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

幾つかの月日が過ぎ、イケジマは屋外で寝泊まりしながら過ごす浮浪者の仲間となり、その日その日をどうにか過ごしていた。ある時は他の浮浪者の懐を奪い、ある時は飲食店の廃棄物を漁る。危ない橋を渡るのはもうゴメンだ。 10

2015-03-30 20:25:04
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

すでに片方の腎臓は売り払い、両手両足もサイバネへと置き換わっていた。度重なる手術と共に、首筋のインプラントもぐちゃぐちゃになっている。最早この肉体で売れるものは無い。 11

2015-03-30 20:29:07
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

だが、苦心して手に入れた金も、サイバネ手足のメンテナンスや食費のために消えてなくなっていく。イケジマはふと思う。いつまでこんな生活を続けなくちゃならない?いつまで?どうすれば?目が回る。「グワーッ!」 12

2015-03-30 20:32:50
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

…気づけばイケジマは車の後部座席から床に転がり落ちていた。なんらかの試験。謝礼もはずむ。屋台で交わしたやりとりをぼんやりと思い出す。車はどこかの施設の前で停まっていた。「お疲れ様です、イケジマ=サン」背の高い男がイケジマへ話しかける。見下すような視線が気に食わない。 13

2015-03-30 20:37:16
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

男に案内されながら、イケジマは建物へ入っていく。ひんやりした空気。鼻を刺すような匂い。時おり響く振動と重低音。思わず身震いする。これは、何か間違った所へ案内されているのでは…?「スミマセンねぇ、狭い所へ案内して。まずは体を洗いましょ」イケジマは上の空で頷く。 14

2015-03-30 21:45:50
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

シャワーを浴び、支給された手術衣に袖を通し、イケジマはぼんやりと自身の体の隅々を眺める。痩せて覇気の抜けた胴体。無機質な手足。別途支給されたザゼンドリンクを飲みながら机に置いてあるオカキを食べる。それにしても、俺はどうすれば良かったのだろう。イケジマはぼんやり思考する。 15

2015-03-30 21:49:25
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

「イケジマ=サン、こちらへどうぞ」男の声がする。恐る恐る声の方へ歩いていく。背を丸めた執事のような男がこちらを睨む。(((なんだ、ここは…?)))イケジマが疑問符を脳裏に大量に浮かべると共に、意識が遠くなっていく。「スン…マセン、眠気、が…」イケジマは倒れた。 16

2015-03-30 21:53:03
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

…配管だらけの天井が見える。「おっ、気づいた。イケジマ=サーン!」「アッハイ、大丈夫です」「フンフン、意識は良好。他に後遺症も無い模様ですね」イケジマは起き上がろうとして、手足が動かないことに気づく。顔を上げると手足が鋼鉄製の拘束具でベッドに縛られている。「これは一体…?」 18

2015-03-30 21:58:03
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

「ニンジャに暴れられると危険ですからねェ、薬を使いました」甲高い声がイケジマの耳へ届く。薄汚い白衣と長髪、ヨロシサンの腕章。眼鏡ごしにギラつく眼光が見える。「リー先生!わざわざこちらへ来なくても」「トリダ君、研究素体を確認するのは義務だ」(((なんだ、こいつらは))) 19

2015-03-30 22:02:43