(専門的補足)一般相対論は、紙1枚で理解できる

http://togetter.com/li/803640の補足をしました。
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Masahiro Hotta @hottaqu

2次元空間の一般相対論では重力波が存在しなかったりと、3次元空間のときに比べて性質がかなり違うけど、『時空の幾何学=重力』という本質は同じ。20世紀の後半には、詳しくその性質が調べられ、現在でも量子重力理論においてよく論じられるモデル。

2015-04-04 06:50:44
Masahiro Hotta @hottaqu

100年前に『時空の曲がり=重力の創発』という理解ができたわけだけど、現在の物理学者達が考えている重力や時空の捉え方は、もう一歩先にいこうとしている。それは標語的に言うと『時空の創発=量子情報』という図式。量子情報は、最近の超弦理論研究でも必須アイテムになってきている。

2015-04-04 06:55:31
Masahiro Hotta @hottaqu

例えば『空間』は量子情報が生み出す幻想であり、宇宙はより次元の低いホログラフィックな世界の量子情報的投影だとかいう考え方が注目されている。一般相対論から1世紀が経つ今、再び時空や重力の見方が大きく変わる時期に来ていると、多くの研究者が思っている。

2015-04-04 06:57:43
Masahiro Hotta @hottaqu

2次元空間(3次元時空)のアインシュタイン重力理論(一般相対論)では、時空曲率を特徴づける4つ脚のリーマンテンソルR^a_{bcd}が、2つ脚のリッチテンソルR_{ab}とスカラーテンソルRの線形和で書けてしまう。これが非常に簡単になっている原因。

2015-04-04 11:04:40
Masahiro Hotta @hottaqu

物質がない場所ではアインシュタイン方程式からR_{ab}とRは零。2次元空間(3次元時空)の場合、これからR^a_{bcd}も零であることが保証されるため、その領域は曲率が零である局所的に平坦な時空になっている。この理論には重力波の自由度がないので、量子重力も考えやすい。

2015-04-04 11:07:19
Masahiro Hotta @hottaqu

この3次元時空の一般相対論は、トポロジーに出てくるチャーン・サイモン項を作用に持つ非可換群ゲージ理論とも(少なくとも古典的には)等価であることも知られている。

2015-04-04 11:09:11
Masahiro Hotta @hottaqu

カルテクの大栗さんは、昔京大基研の笹倉さんと3次元時空の量子重力の研究もされていた。その時にはポンザノとレジェの3次元格子重力模型がISO(3)という非可換群のチャーン・サイモンゲージ場理論と関係していることが明らかに。2次元空間(3次元時空)の一般相対論は数学的にも内容豊富。

2015-04-04 11:15:35
Masahiro Hotta @hottaqu

今度の東北大学春の学校にくるトフーフトさんも、長く2次元空間(3次元時空)の一般相対論を研究されていた。

2015-04-04 11:16:41
Masahiro Hotta @hottaqu

24000viewを超えたまとめ(togetter.com/li/803640)。「空間を2次元に下げて説明するなら、ゴム膜やスポンジに鉄球を置いて転がす例のほうが分かりやすい」という感想が。物質が空間を曲がるという「だいたい」のイメージを得たいならば、確かにそれはいい例えかも。

2015-04-05 04:50:52
Masahiro Hotta @hottaqu

ただ重力点源を含む2次元空間の一般相対論(宇宙項を除く)の一般解は、正確に紙の一部を切り取って貼りつけて作った沢山の円錐形状をもつ曲面に「厳密に」一致するというのが言いたかったこと。2次元空間では重力波や重力ポテンシャルの効果がないので、物質がない領域は正確に平坦な領域になる。

2015-04-05 04:55:47
Masahiro Hotta @hottaqu

2次元空間でアインシュタイン方程式を、嘘も近似も無く、正確に解くと、togetter.com/li/803640に出てくる世界が本当に出てくる。一方、曲がったゴム膜やスポンジ表面の例えは、まともな物質が作る一般相対論の時空解ではない。これが言いたかったこと。

2015-04-05 04:58:39
Masahiro Hotta @hottaqu

2次元空間の一般相対論の分かりやすい特徴は等価原理が見やすいこと。自由落下(自由運動)する物体には重力が働かない(重力が消去される)という原理であり、アインシュタインを導いた重要なアイデア。物質のない領域では平坦なので粒子は確かに局所的に真っ直ぐしか進まない。重力は消えて見える。

2015-04-05 05:03:57
Masahiro Hotta @hottaqu

しかし大域的に見ると重力源の粒子が作る空間の曲がりのために、平行だったはず2つの試験粒子の軌跡も、重力源の両側をそれぞれ進むとその先で交差してしまう。これは2つの試験粒子がそれぞれ重力源に引っ張られたと解釈でき、力が働いたように見える。これが「重力」。

2015-04-05 05:08:42