【お玉さんの読書マラソン】「名探偵図鑑完読作戦」第5部
卑屈な酔っ払いと吉敷竹史とのちょっとした出会いの後、延々と続く今作のヒロインの視点による女友達であるクソ女のエピソードTIME。 一体、いつになったら事件が始まるのだ? このチマチマした思い出話の中にこれから起こる事件のヒントは隠されているのかしら?
2015-04-11 01:24:01作品前半は作者独自の女性観に支配されてるので、合わない人にはトコトン合わないんじゃ? とそんな危惧も浮かぶ。だが、異常なまでの徹底度で細部を積み上げてるので、変なリアリティの発生は認めざるを得ないわけで、こんな現実、何処かで本当にあるのでは? という気にだんだんなってくるんよね
2015-04-11 01:24:32そして中盤、ヒロインが電車に乗ろうとしたときから、読者の中のリアリティがどんどん崩れていくわけなんよ。現実が幻想に侵蝕されていく感覚。 「何を信じればいいの?」 序盤の胃がキリキリするチマチマ展開のお話から一転、吉敷刑事が介入してくるまでの「えっ、何が起こってるの?」な疾走感てば
2015-04-11 01:25:16言い過ぎかもだけど本作は、『夏、19歳の肖像』→『異邦の騎士』のあのラインの系譜に位置する作品ではないのか? と。 それらの作品で見られたアイデンティティの扱いに近似を感じるわけだ。 前二作が青春の青臭さに寄り添っているのに対して、この作品は大人世界を扱ってるのではあるが……
2015-04-11 01:25:41『幽体離脱殺人事件』は大人世界の悪意をヒロインに思いっきり浴びせかけ、彼女のアイデンティティを削りまくる話だ。 『異邦の騎士』とかの悪意にはまだ救いが残っていたけど、この作品にそんなものは「無い」 かなりの傷を追ったヒロインが、それでも最後強くあらねばならぬラストが印象的ね
2015-04-11 01:25:58そんな感じのいいラストで幕を閉じたのなら大円団で良い感じなのに、ラストのラストでだめ押しの地獄を展開する作者の意地の悪さがあまりにステキすぎる。 これぞ社会派推理小説(?)の心地よい後味の悪さ 吉敷刑事がマイク・ハマーみたいな性格だったら確実にアイツを射殺してるだろうね♫
2015-04-11 01:27:05またお話の途中に、謎のおじさんによるちょっと気の利いた小トリックが挟まれたりするわけだから、ヒロインにとってタチが悪い。 あの小トリックも別の作品で見知ったような気がしたが、タイトルが全然思い出せなくて、すでに『幽体離脱殺人事件』独自のトリックだという認識になっちゃってるよ♫
2015-04-11 01:28:03そして この作品でクソ女を徹底的なまで書けてしまったこと。 & 現実と幻想の狭間を描けてしまったこと。 それらがすっげえ良いカタチで次作へと繋がっていくわけなんよねぇ〜♫
2015-04-11 01:29:09というわけで『幽体離脱殺人事件』はおしまいなのであります。 確実に人を選ぶ作品なので「北の夕鶴」や「水晶特急」「灰の迷宮」みたいに素直にオススメは出来ない一品ではありますが……。(吉敷刑事もあまり活躍しないし、ね) 島田荘司の描くクソ女大好きなら、読んで損はないと思いますよ
2015-04-11 01:29:36というわけで、次回はアレです。 僕が島田荘司作品の中で一番大好きな作品であります。(二番目は『ネジ式ザゼツキー』♫) まぁ、ここ数年、絶対的一位の座から揺らぐことはありましたが、今回の再読で「やはりコレが島田荘司と最高傑作」と再認識したアレですね。 ではでは〜♫
2015-04-11 01:30:12さて「名探偵図鑑完読作戦」番外編 みんなでソウカツ「ほぼ日刊吉敷竹史レビュー」 本日はシリーズ十作目『奇想、天を動かす』をお送りするつもりだったのですが、少し考えがまとまらないトコがあったあめ予定を変更し、二つ飛ばしのシリーズ十二作目『ら抜き言葉殺人事件』をお送りします
2015-04-12 22:54:32さて、『ら抜き言葉殺人事件』(1991年2月)ですが、刊行時期を考えると『暗闇坂の人喰いの木』(1990年10月)と『水晶のピラミッド』(1991年9月)の間、御手洗大作路線の狭間で発表された作品なのであります。 何が言いたいかと申しますと……、うんコレ手抜き気味じゃないかな、と
2015-04-12 22:55:01カッパノベルス特有のあの楽しげな挿絵たちも、かなり停滞気味な『ら抜き言葉殺人事件』 pic.twitter.com/e3VGSjkcdx
2015-04-12 22:55:54何だ、この挿絵? 何が起こっているの? さっぱり状況が分からないよ(>人<;) pic.twitter.com/Y4sliWkuC4
2015-04-12 22:56:30吉敷さんは⁇(´Д` )⁇ ヤヴァイ感じの作家さんは⁇(´Д` )⁇ アタマのおかしなクソ女は⁇(´Д` )⁇ pic.twitter.com/DIBEdaYlfB
2015-04-12 22:56:57『ら抜き言葉殺人事件』のあらすじ 「ら抜き言葉」はダメダメ、「一夫多妻制」は素晴らしい。 ついこの間読み返したのにもう印象から消えている犯人と犯罪経緯。 「暗闇坂」と「水ピラ」の間に書かれた作品だよという予備知識が無いと「島田荘司、大丈夫?」 不安と心配でいっぱいになるぞ
2015-04-12 22:57:32うーん、イマイチ、スゥイングしないなぁ〜、と思っていたら柄刀一が「私の愛する本格ミステリ」でセレクトしていたよ『ら抜き言葉殺人事件』 社会的先見性の慧眼の鋭さを評価して票を投じてるけど……、 ゴメン、よく分からない(>人<;) pic.twitter.com/jtKk3CpDHp
2015-04-12 22:58:49相変わらず女性キャラが苛烈すぎるなぁ。クソ頑固な老人キャラがイヤな雰囲気を増長させてくれるなぁ。 とこれくらいの感想しか出て来ないよ。 あまり楽しくないけど、ある部分での島田荘司らしさは平常運転、事件の謎もそこそこ理にはかなっているので決してワースト作品ではないのが、逆にツライ
2015-04-12 22:59:30『奇想、天を動かす』で登場した新主任との軋轢が『ら抜き言葉殺人事件』の段階ではまだ少し微笑ましい。 あんなに吉敷刑事を慕っていた小谷クンが、新主任に染められ険悪な仲になっているのが悲しいけど……。 この人間関係の溝が『飛鳥のガラスの靴』へ『涙流れるままに』へと繋がるのね
2015-04-12 23:00:41というわけで、かなりテキトーな『ら抜き言葉殺人事件』のレビューだったわ。 柄刀一先生が受けた感銘が何だったのか? が読み取れなかったよ、と。 さぁ、次回はきっと「奇想」を(もしかして『飛鳥のガラスの靴』かも) ではでは〜♫
2015-04-12 23:00:58