米国『エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン』編集長が公式ブログで日本のミステリ事情を紹介(2015年4月)

(追記:2015年5月1日深夜) 自作が米国『EQMM』に掲載された際のエピソードを語った光原百合先生のツイートを追加しました。
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※江戸川乱歩「心理試験」はすでに英訳がある。1956年に出版された乱歩の英訳短編集『Japanese Tales of Mystery & Imagination』に収録。

島田荘司 @S_S_Kingdom

Pugmire氏いわく、日本風味は欲しい。「ベイシェンス」や「縛り首」はあまりにカーなので、白人にとってはちょうど我々が外人の書いた乱歩のパスティーシュを読まされるようなものかな。iPSやハイブリッド車も日本型風景と私は思っているけど、英訳時、西洋甲冑を鎧兜に意訳すればよいかな?

2015-04-22 18:25:41
島田荘司 @S_S_Kingdom

コメントくださった皆さんありがとう。参考にします。これはまだ途中だし、米側がOKなら長々やりたいけど、できないかもしれません。横溝さん、泡坂さん、連城さん、綾辻さん、当然探してます。作家の有名度、新人・ベテラン、一切頓着しません。日本風も二の次です。台湾、中国、韓国、OKです。→

2015-04-22 22:27:23
島田荘司 @S_S_Kingdom

あくまで私の信じる論理志向、設計図発想の物差しで、欧米真っ向勝負です。この考え方を理解していただき、自信の推薦作あるなら教えてください。EQMM掲載後はアンソロジーにまとめ、「HONKAKU」とタイトルして友人のNYのLRI出版で刊行の予定です。国内は、これからの交渉になります。

2015-04-22 22:40:36
島田荘司 @S_S_Kingdom

Ellery Queen Mystery Magazine Projectだけれど、以前鮎川哲也先生と作った精選集、全5巻中の私の担当、『奇想の森』から2作をピック。米田三星「告げ口心臓」と、狩久「落石」。ここからもっと選んでもいいと思うけれど、今回はあくまで論理発想構図の重視。

2015-04-30 18:05:47

※アンソロジー『奇想の森』の収録作は以下の18編。

江戸川乱歩「屋根裏の散歩者」
小酒井不木「痴人の復讐」
本田緒生「街角の文字」
地味井平造「煙突奇談」
岡戸武平「五体の積木」
甲賀三郎「蜘蛛」
米田三星「告げ口心臓」
海野十三「振動魔」
構溝正史「蔵の中」
大下宇陀児「偽悪病患者」
久生十蘭「ハムレット」
大阪圭吉「幽霊妻」
大坪砂男「天狗」
青池研吉「飛行する死人」
横内正男「三行広告」
狩久「落石」
吉野賛十「鼻」
坂口安吾「心霊殺人事件」

このうち、江戸川乱歩「屋根裏の散歩者」のみ、すでに英訳がある。2008年刊行の乱歩の英訳短編・随筆集『The Edogawa Rampo Reader』に収録。

自作が掲載された際の光原百合先生のエピソード

K島氏 @blue_airship

《EQMM》編集長ジャネット・ハッチングズが光原百合「十八の夏」を高く評価していることも嬉しい驚きだが、同作を psychological thriller と呼んでいるのには虚を衝かれた。そして「十八の夏」タイプの作品を〈日本のミステリ作家が傑出している分野〉と指摘。>RT

2015-04-30 21:56:41
K島氏 @blue_airship

ちなみにジャネット・ハッチングズは、先代エレノア・サリヴァン亡きあと1991年に《EQMM》三代目編集長に就任。来年で在任四半世紀を迎える。……とまとめると簡単だけど、そうか24年も《EQMM》の編集長をつとめてきたのか。すごいなー。僕、24年もやり切る自信ないなー。

2015-04-30 22:11:32
光原百合 @mitsuharayuri

今の一連のRT,心から恐縮しました。ありがたいことです。「十八の夏」がEQMMに載せていただいたとき、原稿料として小切手が届き、すぐ換金してしまうのが惜しくてそのまま保管していたら、EQMM編集部から「小切手が換金されていないが、何か問題でも?」と丁寧な問い合わせを(続く)

2015-05-01 23:42:27
光原百合 @mitsuharayuri

(続き)いただいて焦ったことがありました。あのメールがジャネット・ハッチングズさんからだったはず。「東洋のうっかり者作家」として記憶されているんじゃないかと思っていましたが、今でもこんなに評価していただいて、嬉しい限りです。

2015-05-01 23:45:13
光原百合 @mitsuharayuri

@blue_airship 確かに「心理スリラー」という呼称はちょっと意外でした。心理の謎を中心にした物語だから、そうなるのかな。アメリカではあまりこういうスタイルのミステリは書かれていないのでしょうか。

2015-05-02 01:08:18
K島氏 @blue_airship

@mitsuharayuri 素晴らしい「十八の夏」は、殺人もパズル的趣向も暴力も描くことなく、ほとんどキャラクターの精神の動きのみを軸にして展開する(大意)……とジャネットさんは書いていますから、おそらくそういうことなのでしょうね。犯罪がまったく描かれないにもかかわらず、→

2015-05-02 01:31:59
K島氏 @blue_airship

@mitsuharayuri ミステリとしての面白さは濃厚、という作風はたしかに日本独特のものではないかと思います。それに、ジャネットさんが「十八の夏」のあのトリックを高く評価していることは間違いありません。……と、書いていて気づきましたが、あのトリックって欧米では割合、

2015-05-02 01:35:24
K島氏 @blue_airship

@mitsuharayuri サイコロジカル・スリラーで使用されることが多いような気がするので、その流れの日本的解釈と捉えているのかも知れません。その日本的解釈はもはやサブジャンルを成していると、そういう意味合いがあるような気もします。

2015-05-02 01:37:02
光原百合 @mitsuharayuri

@blue_airship なるほどー。そういう短編ばかり集めてアンソロジーにして英訳したら、海外で売れそう…というより、一部のツウに非常に受ける渋い本になりそうです。

2015-05-02 01:54:40
K島氏 @blue_airship

@mitsuharayuri いや、けっこういけるのでは……と思いつつ、しかしジャネットさんがまず求めているのは「光原百合のほかの仕事も翻訳紹介されること」みたいですよ!

2015-05-02 02:13:31
光原百合 @mitsuharayuri

@blue_airship それは実現するとありがたいですが! これはどこにお願いまたはお祈りすればいいものか。むしろジャネットさん本人か。

2015-05-02 02:21:54
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

@mitsuharayuri こんばんは。EQMMに作品が掲載された際のエピソードについての光原先生のツイートも、Togetterに追加させていただきました。「十八の夏」、私も大好きな作品です! togetter.com/li/814678

2015-05-02 02:29:53
光原百合 @mitsuharayuri

@Colorless_Ideas  ありがとうございます。マヌケなエピソードですみません(汗)。リンク先を拝読して、かの乱歩がEQMMに掲載を望み、かなえられなかったことを知りました。…申し訳ないというか…。私、ちょっと精進して仕事しないとバチが当たる…。

2015-05-02 02:37:42
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

@mitsuharayuri 乱歩は自作だけでなく、自分以外の日本のミステリ作家の作品もどんどんEQMMに載せたいという夢を持っていました。推協賞受賞作である光原先生の作品がこのように高く評価されていることを、乱歩も喜んでいるのではないかと……私は勝手にそう想像しております(汗)

2015-05-02 02:43:08
光原百合 @mitsuharayuri

@Colorless_Ideas そうなんですか! さすが大乱歩、目指すものが大きいですね。法月さんの作品もハッチングス編集長は高く評価しておられるようですから、乱歩も草葉の陰で喜んでくださっていると嬉しいです。

2015-05-02 02:51:57
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

@mitsuharayuri 乱歩は自分の作品に続いてほかの日本作家の短編の英訳もエラリー・クイーンに送ろうとしていたのですが、自分の作品がクイーンにほぼ「黙殺」されてしまい、計画が頓挫したという悲しい経緯があります(^^; 今から65年前の話です。(乱歩が随筆等で書いています)

2015-05-02 02:55:20
光原百合 @mitsuharayuri

@Colorless_Ideas 涙を禁じ得ないエピソードですね。乱歩は、自分のどの作品をクイーンに見せたのでしょう? よほどクイーンの好みから外れていたのかな…。

2015-05-02 02:57:16
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

@mitsuharayuri 「心理試験」「芋虫」「人間椅子」「二癈人」「双生児」などをクイーンに送った、と乱歩は書いています(探偵作家クラブ会報1951年9月号)。謎の東洋作家からいきなり「人間椅子」のような作品が送られてきたら、クイーンは恐怖を感じたかもしれませんね(苦笑)

2015-05-02 03:03:39