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nazuna228967
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体育館の扉を開けて、鶴丸が嬉しそうに星矢に駆け寄った。沙織も一緒だ。 「鍛えれば地球の裏まで俺たちをワープさせられるぜ、初めてにしては上出来だ」 ふと、紫龍が時計を見やる。 「沙織さん、貴鬼と羅喜がこちらにくるそうなので迎えにいってまいります」 「まあ、随分久しぶりに会えるわね」
2015-06-03 00:33:13![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
沙織が笑顔を見せる。紫龍は服を整えて出かけていった。 「星矢、客人が来るのか?俺たちは隠れているべきか?」 「隠れなくていいぜ、山姥切。俺たちの信頼できる仲間が、弟子と一緒に来るだけだから」 「あ…主さまの仲間なら…やっぱり強い方なんでしょうか」 「大将の仲間だからなあ…」
2015-06-03 00:37:47![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「星矢とはまた別の意味で強い」 一輝が言うと、五虎退が震え上がった。 「ふええ…」 「よしよし…やはり、大将みたいに格闘するんでしょうか」 「むしろ、さっきの手を使わずに物や人を移動させたりする系の特殊能力に特化している」 「ほう」 興味深そうに鶴丸が笑みを浮かべた。
2015-06-03 00:42:38![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「…その方は写しでも差別しないか?」 「こだわるな、山姥切。大丈夫、彼は差別しないから」 不安げに聞く山姥切を安心させるように、星矢が側による。 「なかなかに興味深い人のようだな、会うのが楽しみだぜ」 〜♩ 機械音が鳴り響く。星矢がスマホを取り出す。 「もしもし、紫龍?どうした」
2015-06-03 00:48:03![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
『星矢、落ち着いて聞いてほしい』 「何だ?まさか歴史修正主義者が現れたんじゃないだろうな」 『すまん、その…まさかが起きた。歴史修正主義者だ』 星矢が真剣な表情を見せた。 約数十分前、都内某所の国際空港。到着した紫龍はロビーで新聞を読んでいた。じっくり時間をかけて読み進める。
2015-06-03 00:53:51![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
ふ、と気配を感じて顔を上げると、見慣れた人影が到着ロビーから現れた。片方は金の髪を長く伸ばして紐で結んだ男性、もう一人は小柄な少女。 「ごめん、待ったか?」 「ひさしぶりなのだ!」 少女が紫龍に飛びつき、男が声をかけた。 「いや、今来たばかりだよ貴鬼。羅喜、こんにちは、元気だな」
2015-06-03 00:58:58![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「城戸邸の方角でなにやらざわめく物を感じたから、旅行ついでに様子を見に行こうと思ったんだ」 「ああ、やはり感じたか」 「思い当たることがあるんだね」 紫龍が貴鬼に刀剣男士の話を切り出そうとしたその時… 歴史修正主義者が空港内に現れた。槍を持った歴史修正主義者が人々を襲い出した。
2015-06-03 01:05:32![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「な、なんだあれは」 「みんなにげろ!殺されるぞ!」 人々がパニック状態になり、出口に向けて殺到する。貴鬼が驚いた。 「あれは…サムライゴーストか…?」 「なに?」 「最近海外でよく目撃されてるんだ。見た目が古い時代の侍に似ているからって、一部新聞がサムライゴーストと呼び出した」
2015-06-03 01:09:21![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「貴鬼、こちらではあれを歴史修正主義者と呼んでいるんだ」 「この国にも出現していたのか!」 「貴鬼様、どうしましょう!」 三人が話をする間にも歴史修正主義者は空港を破壊していく。海外からの物資や人の輸送に重要な役割を果たしながら、過去に反対運動により多くの犠牲を出した地ゆえか。
2015-06-03 01:13:48![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「貴鬼、対策はある。しばし待ってもらえないか?」 「ああ」 そして、紫龍は星矢に連絡を入れたのだった。 「…空港なんて行ったことないからイメージできないぞ…」 星矢が頭を抱えていた。先ほどの鶴丸ワープは場所をはっきりイメージできたからできたのである。今回は広く、初見ですらない。
2015-06-03 01:18:13![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「歴史修正主義者がいるなら、車を出してもらってでも行くしかないんじゃないか」 山姥切が言うと、鶴丸が異論を唱える。 「まあ待て、星矢ならよいアイデアを閃くと俺は信じてる」 そしてしばし考え込んだ後、星矢が紫龍に伝えた。 「紫龍の近くに刀剣男士たちをワープさせる」と…。
2015-06-03 01:23:14![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「みんな、今回歴史修正主義者が出現した場所は、ここから離れているから車を出しにくい。だから、ワープを使う」 「行ったことがない場所だ…できるのか?」 「場所がダメなら、知っている人の近くに出るようイメージしたらいいはずだ」 「…驚きだぜ、一発で結論に到達したよ」 鶴丸が言う。
2015-06-03 01:26:35![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「さあ、戦いの準備をしたらワープさせるよ」 「ああ」「は、はい!」「了解」「おう」 四振りが支度をして星矢の前に立つ。星矢が目を閉じて、紫龍、貴鬼、羅喜の傍に刀剣男士がいるイメージをしながら、再び静かに小宇宙を燃やし始めた。四振りの姿がその場から消え去った…
2015-06-03 01:31:21![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
星矢が小宇宙を燃やし始めた頃、ついに三人は歴史修正主義者に見つかり、交戦を始めていた。 「まったく、倒しても倒しても起き上がるじゃないか」 「あれにトドメをさせるのは、刀剣男士のみだ」 「刀剣…男士?」 貴鬼が呟いたとき、空間に歪みが生じ、そこから刀を構えた四人の男が現れた。
2015-06-03 01:37:32![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「来たか!」 「紫龍、生きているか?」 「当たり前だ、あのようなものに倒されるほどやわではない」 安心したように彼を見た山姥切は、槍を構えた歴史修正主義者を見据える。 「気をつけろ山姥切、あれは槍だ。僅かな隙を見抜いて攻撃してくる、刺されたらタダじゃすまぬ、気を引き締めろ」
2015-06-03 01:41:48![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「分かった、鶴丸」 「短刀二人には荷が重い。俺たちが倒しにかかるぞ」 「ああ」 「薬研、五虎退、すまぬが周りの短刀を相手してくれ」 「了解」「わ、わかりました」 「行くぞ!」 山姥切と鶴丸が、槍の歴史修正主義者へ向かい走り出した。そんな二人に向けて、敵は槍を鋭く突き出した。
2015-06-03 01:47:15![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「うおっ」「くっ」 突きの鋭さに思わず飛び退ける二振り。そのまま左右に分かれ、同時に切りつけていく。構えが大きい鶴丸に向けて鋭い突きが向かう、が間一髪鶴丸が回避し、山姥切が歴史修正主義者の腹を薙ぐ。歴史修正主義者が槍を構えなおし山姥切を突くが、貫いたのは彼の布だけだった。
2015-06-03 01:54:03![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「予想外だったか?ガラ空きだぜ!」 槍から布を外そうとした歴史修正主義者の隙をつき、背後から鶴丸が切りつける。一回、二回、三回目で歴史修正主義者が振り向きざまに槍を投げるように突き、避けきれなかった鶴丸の肩を貫いた。 「ぐあっ!」 鶴丸から槍を引き抜こうとする歴史修正主義者。
2015-06-03 02:01:50![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
その動きが急に止まる。いや、正しくは動かそうとしているが動けないのだ。 「これは…」 「今だ、奴を切れ!」 鶴丸が振り向くと、紫龍の傍にいた金髪の男が片手をかざしていた。立ち上る黄金のオーラ。どうやら、星矢が鶴丸をワープさせたときに小宇宙を燃やしていたことと、同じことをしている。
2015-06-03 02:06:28![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「やれ、山姥切!」 鶴丸が叫ぶと、様子を伺っていた山姥切が無防備な歴史修正主義者に一気に詰め寄り、打刀で深々と切り裂いた。その姿が光に包まれていく。 「鶴丸、大丈夫か!」 「つ、鶴丸さん、肩に槍が…ああっ…」 「早く手当てしてもらわなきゃな…」 「大丈夫か?」 「油断しないで!」
2015-06-03 02:10:35![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
鶴丸の元に仲間たちが駆け寄る。紫龍と、羅喜を抱えた貴鬼もやってきた。 「ははっ、すまんな油断したぜ」 鶴丸が左肩に刺さった槍を引き抜いた。すると、その槍が敵と同様、光に包まれて、人の形を成した。ガッシリと逞しい身体、赤く短い髪。 「おいおい、土産ができたぞ、これは驚きだぜ」
2015-06-03 02:16:48![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「土産呼ばわりは失礼だ、写しや贋作以上に失礼だ、鶴丸」 「じ、冗談でもやめてください」 「同意する」 「然り、幾ら冗談や驚きを求める鶴丸、貴方でもだ」 赤い髪の男が身体を起こし、言った。 「何となくわかってきた。木戸邸から感じた妙な力は彼らだね、紫龍」 「ああ、その通りだ」
2015-06-03 02:22:43![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「ならば、彼らを見た以上、私にも協力する理由があるな。彼らを連れて木戸邸にテレポートしよう」 「その方が良さそうだ。先ほど沙織さんから、星矢が彼らをワープさせた後、力の使いすぎで寝込んだとメールが届いた」 「なんだって、星矢が寝込んだ?」 山姥切が紫龍の言葉に動揺した。
2015-06-03 02:26:23![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「慣れないことを一気にやったからだろう。慣れれば寝込まなくなる」 「…驚きを通り越したぜ」 「なんと…この場に主はいないのですか」 「本丸にいるよ。さて、星矢がダウンしたなら、やはり私がテレポートさせよう。本家本元のやり方を見せてあげるよ」 貴鬼がそう言って、小宇宙を燃やした…
2015-06-03 02:30:58![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
一気に空間が歪み、山姥切たちは一瞬で全員木戸邸へ帰還したのだった…。 「星矢、大丈夫か?」 「ごめん、山姥切。ちょっと無理しすぎた」 山姥切の目に飛び込んだのは、ソファで横たわる星矢だった。が、全員の帰還を察知して、すぐに起き上がった。やはり、ちゃんと出迎えたかったのだろう。
2015-06-03 02:34:30