第三回「居留守de絵本市」
レーマンの絵本の中でも『レッド・ブック』が群を抜いて素晴らしいのは、『赤い本』というこの赤い装丁の本自体が、作中のキー・アイテムである赤い本なのかもしれないと思わせる点にある。その意味では、主人公の女の子が赤い本を抱えている絵の描かれた表紙カヴァーをとった状態の方が想像が膨らむ。
2015-05-18 21:33:15この点では、『The Secret Box』も負けず劣らず素晴らしいのだが、こちらでは、「秘密の箱」と題された本の表紙が作中のキー・アイテムである秘密の箱の上蓋の絵で、表紙を開いた中表紙が秘密の箱の上蓋を開いた状態の絵になっているのだ。blaine.org/sevenimpossibl…
2015-05-18 21:40:15秘密といえば、大人にとっては恥ずかしくて誰にも言えないようなことである場合が多いが、幼少期に、自分だけしか知らない秘密を発見し、それを別の子どもと密かに共有することを通じて友情が芽生えるといった経験は誰しも心当たりがあるだろう。そうした経験は、大人から自立する過程の一つでもある。
2015-05-18 18:30:58カオスのあまり紹介の際にこの肝心なことを言い忘れてしまった。第二の言い忘れは、『レッド・ブック』の最後に出てくる自転車に乗った少年は、主人公の女の子のクラスメートだったこと。そして第三は、この2冊への反応の違いから、子どもは時間認識よりも空間認識の発達の方が早いことを学んだこと。
2015-05-18 18:38:10今回はぎりぎりまで選ぶ絵本で迷ってしまい、プレゼンの準備が不十分だったのが明らかな敗因だ。子どもと一緒のプレゼンでカオス状態に陥ったとしても、この三点さえちゃんと伝えられていたら、面白いフリップつきの三木さん親子の素晴らしい紹介といえど、『ものぐさトミー』にも負けなかっただろう。
2015-05-18 18:47:14居留守文庫店主はパット・ハッチンス『ヒギンスさんのとけい』を紹介 屋根裏部屋で時計を見つけたヒギンスさんは、その時計が正しいかどうかを調べるために、もう一つ時計を買ってきます。でも別々の部屋に置いた二つの時計の針は同じ時間を指しません。ヒギンスさんはまた別の時計を買ってきて・・・
2015-05-18 19:43:03ヒギンスさんは「時計の正しさ=他の時計と同じ時間を指すこと」という思い込みに囚われています。「時間は進むものである」という本質を見失っているので、一向に「正しい」という事実にたどり着けません。
2015-05-18 19:45:10この作品は時間という概念を理解し始める小学校低学年くらいの子どもに読んでほしいです。ヒギンスさんの硬直した思考に気づけたら、一気に楽しさが広がるでしょう。 子ども向けの作品ではありますが、「いったい何が正しいのか」「正しさとは何なのか」という哲学的な問いを引き出すことも可能です。
2015-05-18 20:00:07私はこの作品を読んで、比較によってしか確かめようのない「正しさ」の疑わしさについて考えました。絶対的な基準があればいいのですが、それがないところで「正しさ」をどうやって確かめればいいのでしょう? 生真面目に誠実に「正しさ」を追究することだけが正しいわけではなさそうです。
2015-05-18 20:24:32ヒギンスさんは最後まで自分の間違いに気づきません。「間違いに気づいて解決!」というのが「正しい」オチだと思いますが、「正しい」オチを用意していないところが衝撃的です。それがこの作品の大きな魅力になっていると思います。
2015-05-18 20:30:47結局、時計を4つも買ってしまったヒンギスさんの無茶振りにいちいち大笑いしつつも、ヒンギスさんの時間認識に完全に同化していた我が子の反応も無茶苦茶おもしろかったですね(笑)。@irusubunko:この作品は時間という概念を理解し始める小学校低学年くらいの子どもに読んでほしいです。
2015-05-18 21:59:05