ヘイト・デマの常套手段としての「なりすまし」(第一次世界大戦中のユダヤ人のカウンター伝説について)
このまとめ(togetter.com/li/830405)で、第一次世界大戦の東部戦線でポーランド人がユダヤ人に対する悪質なデマを組織的に流布したことに触れたが、アン=スキーが収集したユダヤ人の伝承には、ユダヤ人になりすましてユダヤ人を告発しようとしたポーランド人の話が頻出する。
2015-06-08 22:07:26一連の物語はあくまでユダヤ人側に流布した民間説話や伝説であり、したがって、アン=スキーは虚構として提示しているのだが、ネット上だけでなく路上でさえ、ネトウヨによるなりすまし行為がこれだけ蔓延している事態に鑑みると、そうした説話群も一定の事実の上に成立したのではないかと思えてくる。
2015-06-08 22:13:10たとえば、アン=スキーは、次のようなユダヤの説話を提示している: 「ザモシチのポーランド人が、ユダヤ人を敵に協力した廉で密告し、何人かが逮捕された。…〔軍の〕判事らがまさに死刑宣告を下そうとした時、
2015-06-08 22:23:37女性教師の民間判事の二人のロシア人が現れ、跪いて自分たちの訴えを聞き届けるまで刑を執行しないように懇願した。判事らは同意した。〔民間〕判事と女性教師は「そのユダヤ人たちは無実です」と誓った。「誰が真犯人であるかをお知りになりたければ、私どもについて来てください」と彼らが言うと、
2015-06-08 22:25:07判事たちは伯爵の邸宅に導かれ、地下室に案内された。そこでザモイスカ伯爵夫人がオーストリア軍と電話で内通しているところを発見された。彼女は即座に絞首刑にされた。」 ところが、この説話には、後半の筋が異なる別のバージョンもあったことをアン=スキーは記録に残している。
2015-06-08 22:27:21「判事たちがザモイスカ伯爵夫人の地下室に降りていくと、長い揉み上げを垂らし、長外套(カフタン)に丸帽(ヤルムルケ)を身につけたユダヤ人の一団がオーストリア軍と電話で内通しているのが見つかった。判事たちは驚愕した。これでは、ユダヤ人たちが実際に犯人だということではないか。
2015-06-08 22:29:20ロシア人判事は「彼らを尋問してください!」と叫ぶと、ユダヤ人たちは尋問された。すると、彼らが実はポーランド人であったことが発覚した。ポーランド人たちは、捕まった際にユダヤ人に罪を被せるために、あらかじめユダヤ人の変装をしていたのである」
2015-06-08 22:30:36他の「伝説」:「あるポーランド人がドイツ人のスパイを説得して、ユダヤ人の恰好をして塹壕の近くに留まるようにと言った。その後、ポーランド人はこの男を密告した。当局がこの男を逮捕しに来た時、男がドイツのパスポートを所持しているのがわかった。そこで男は自分はユダヤ人ではないと告白した」
2015-06-08 22:42:11アン=スキー:「ユダヤ人の首に絞首台の縄を投げたポーランド人たちは、ユダヤ人を厄介払いするという彼らの直接の目的の他に、ポーランド人の大部分に浸透するとともに、対ロシア秘密同盟に表明された「オーストリア贔屓」という自らの罪を、「ユダヤ人の裏切り」によって隠蔽することも可能にした」
2015-06-04 01:17:05