二つのアナログゲームを組み合わせて、発達障害のあるお子さんの「柔軟性」の獲得」を狙う

様々なアナログゲームを用いて、発達障害のあるお子さんのコミュニケーション能力を高める指導を行なっています。 今回は、ヒットマンガとディクシットという二つのゲームの組み合わせて、発達障害障害のあるお子さんの「柔軟性」の獲得を狙った指導アイデアを紹介します。 アナログゲーム療育の詳細はこちら: 「アナログゲーム療育のススメ」 http://www.gameryouiku.com/
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松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

発達障害のあるお子さんにこの二つを連続してプレイしてもらうことで、彼らの苦手な「臨機応変さ」を身につけてもらうトレーニングができます。

2015-06-21 21:27:21
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

ヒットマンガとディクシットは、ともに「与えられたカードに描かれた絵を元に言葉を考える」という手続きは一緒ですが、ヒットマンガの目的が「わかりやすいセリフを考える」ことであるのに対し、ディクシットは「わかりやすすぎずわかりにくすぎないお話を考える」のが目的です。

2015-06-21 21:27:43
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

この二つのゲームを連続してプレイさせることで「手続きは同じだが目的が変化する」という状況を作り、お子さんがその中で、「目的の変化に気付いて行動を修正できるかどうか」をみることができます。。

2015-06-21 21:29:22
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

ヒットマンガで「わかりやすいセリフを考える」というアクションをさせたあと、ディクシットの「わかりにくすぎずわかりやすぎぎない話を考える」アクションをさせると、二つのゲームの目的の違いを説明しているにもかかわらず、前のゲームの目的を後のゲームに引きずってきてしまう子が一定数でます

2015-06-21 21:36:38
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

理由は大きく二つあって一つは注意散漫。事前説明で二つのゲームの目的の違いをきちんと聞けていなかったケースです。「あれ、◯◯君?さっきヒットマンガとディクシットの目的の違いを説明したけど、何が違うんだっけ?」と確認すると答えられません。「次からちゃんと聞いてね」と注意を促します。

2015-06-21 21:41:54
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

ADHDのあるお子さんの場合など、一回の注意ですぐに聞けるようになるわけではなく、何回も同じような失敗を繰り返すことが多いですがその都度指摘を繰り返すことで、少しずつ自己理解が進み、聞き逃しの頻度が減ってきます。

2015-06-21 21:43:15
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

ゲームの目的の変化に対応できないもう一つの理由は、自分なりのルールにこだわっているケースです。ASDのお子さんによくみられます。一度確立された自分なりの行動規範を、ゲームの目的が変化しても、変えたくないという形です。

2015-06-21 21:48:54
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

これは指摘しても直りません。指摘を繰り返せば「おれはこうしたいんだ!」「ほっとけ!」と反発を喰らいます。

2015-06-21 21:49:48
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

この場合の指導者の対応は、何もしないことです。お子さんはゲームの目的にそぐわない行動をしているわけですから、当然負けます。悔しい。

2015-06-21 21:56:23
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

ここがアナログゲームを用いた療育のメリットの一つです。お子さんが課題の目的にそぐわない行動をした場合、通常は指導者が注意や場合によっては叱責をするわけですが、アナログゲーム療育では、ゲーム自体が『負ける』という負の強化子を提供します。ゆえに指導者は注意も叱責もしなくて良いのです。

2015-06-21 21:58:46
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

発達障害のあるお子さんの多くは、学校や家庭で大人から注意や叱責を受ける経験を繰り返しています。療育場面において指導者が同様の高圧的な態度に出ると「お前もか」となって信頼関係が崩れやすいのです。アナログゲームを用いた療育では、そのようなことをせずともよいので、関係を保ちやすい。

2015-06-21 22:05:09
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

この指導員との良好な関係と「ゲームに負けて悔しい」というお子さん自身の気持ちを拠り所として、凝り固まった行動規範を柔軟にするような指導を行なっていきます。

2015-06-21 22:12:03
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

当該のお子さんがゲームに負けたあと、休み時間などに声掛けします。たとえば、「◯◯君、さっきのディクシット、ビリになっちゃって残念だったね。◯◯君が負けた理由、先生見ててわかったんだけど、知りたい?」と聞きます。当然お子さんは聞きたがる。

2015-06-21 22:17:35
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

「さっきヒットマンガやったでしょ。そこでわかりやすいセリフ言って、そこそこうまく行ったでしょ。だから、ディクシットでも同じようにやってみた。だけど◯◯君!ディクシットは『わかりにくすぎずわかりやすすぎないセリフ』を言わないと勝てないんだよ」と、ここまで言えば納得する。

2015-06-21 22:19:15
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

熟練していないスタッフだと、お子さんが課題(ゲーム)の目的にそぐわない行動をした時点で「違うでしょ。そうじゃないってさっき説明したでしょ」と注意してしまう。これだとお子さんは反発する。そうではなく、一回ゲームで負けさせてから、「君が負けた理由教えようか?」と問いかける。

2015-06-21 22:24:03
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

二種類の言葉がけ、どちらもお子さんを課題の目的に沿わせようとしている点では同じだけど、どちらがお子さんにとって受け入れやすいかは一目瞭然です。

2015-06-21 22:25:05
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

注意散漫のケースと同様、こだわりのケースも一回の言葉がけでなくなるものではありません。ヒットマンガとディクシット以外にも「手続きは同じだが目的が異なる」ゲーム同士を組み合わせたカリキュラムを用意し、繰り返し失敗してもらう中で自己理解を深めてもらいます。

2015-06-21 22:32:51
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

たとえば、同じお子さんが2ヶ月くらいしてから別のゲームで、やっぱり目的の変化についていけず凝り固まった自己規範に固執している場面をみることがあります。「あれ?前にもヒットマンガとディクシットやったときに同じような失敗して同じこと先生に言われてなかったっけ?」と言葉がけします。

2015-06-21 22:37:20
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

このように時間を置いて現れた同じ失敗の指摘については、お子さんは受け入れやすいです。多数のゲームをプレイしてもらいながら継続的に関わり続ける過程で、指導者もお子さん自身も障害特性への理解を深めることができるわけです。

2015-06-21 22:40:10
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

その作業を繰り返しつつ、最終的には「今この場で自分に求められていることはなんだろう?」ということを観察を通じて考える力を身につけてもらいたいと思っています。

2015-06-21 22:41:15