不知火に落ち度はない特別編　-川内ボルネオ探訪記（完結）

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

おっしゃ邪魔者登場。階級章は中将な。 だんと、中指押っ立てて存分に噛みついてやらあ。 「あんたらにはウンザリだ。その目は節穴かクソッタレどもが」 うっわ、すっげ今空気がしーんとなってる。 #不知火に落ち度はない

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「ここにいるのは一人で戦いきった英雄が一人と、その面倒を見れなかった間抜けが一人。あとは、失敗の責任を押しつけたいドきたねえ糞どもが山盛りだ！」 いっちゃったー。 俺言っちゃった-。 あっはっはー。首決定なの？ 首決定だよねえ。 #不知火に落ち度はない

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ごらん、モグリがさじを投げてる。 ごらん、ギンブチがすっげー笑ってる。 そして龍田は、こうなるはずじゃなかったって顔だ。 でもって、川内はなんか顔を伏せてるし。 うっしゃ、決定。 面白いからここで、言いたいこと全部いっちまえー。 明日から無職だし！ #不知火に落ち度はない

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「つーわけで、責任取らせてぇなら小娘じゃなく俺に言うべきだろアホどもが。そのそろい揃ったケツで椅子磨く仕事に慣れすぎだバーカ」 うっひょうー。すっげー。 武闘派の人が顔真っ赤にしてるぞ。 「つわけで煮るなり焼くなり好きにしろ。だがな──」 #不知火に落ち度はない

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「そこにいる川内は英雄だ。そんなのに責任おっ被せてすませましょう、なんてのは誇り高い海軍の席にいるべきじゃねえ。とっとと椅子から飛び降りて、金勘定のできる銀行席にでも降りちまえバーカ」 中指おったてたままで、席を出て、川内の所に行く。 #不知火に落ち度はない

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そうして胸のバッチを外す。 いわゆる功労賞ってことで渡された勲章なこれ。 「やってらんねえから連れて帰るわ。糞の巣窟にゃ英雄はふさわしくねえからな」 そうして、勲章を川内の胸に付けてやったあとは、立たせて川内を連れて歩く。 守衛が邪魔が止めに入り── #不知火に落ち度はない

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「ほい、邪魔」 思いっきり蹴飛ばして、ドアを開けさせる。 手加減はしたが、まあ、思いっきり顎蹴ったし、しばらく起きては来るまいて。 そんなわけでどよめく場内の音はほっといて、俺は基地へと帰投した。 後のこと？ ああ知ったこっちゃねえ好きにやれやれ。 #不知火に落ち度はない

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というわけで返す返す思う。 俺のバカ。 俺のバカ。 なんで組織に反逆したの俺。 俺の目的は軍にいないと達成できないんじゃん。 しかし吐いた唾は再度飲めないわけでして。 ドラえもんがいたら殴ってでも止めたと思うわ、本気で。 #不知火に落ち度はない

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そんなわけで、川内を連れてその後うなぎ屋でたらふくウナギを食した後で、俺の所に辞令が届いた。 『勤務地異動のお知らせ』ってやつである。 そこに書かれた異動先は、見たくもなかったブルネイ泊地行き。 おめでとう俺。ボルネオ勤務になりましたよ。 #不知火に落ち度はない

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北上に言ったら大笑い。俺らしいと大爆笑し、スマホで写真を撮りまくり。 後にきたがみったーを見ると「これが上に喧嘩売った上司の顔です」だとさ。 説明が必要なのでその後集会を開いて、俺の人事異動を大発表。 工廠課の野郎どもからはサムズアップいただけました。 #不知火に落ち度はない

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その後基地は誰が担当するのか。 海ぼうずだったらいいなーって思ってたんですが、はい。 そこで飛び出したのが不知火・神通・陽炎ほか二水戦。 そして、那珂ちゃん達ぷらす十七駆逐の皆さん。 誰送ってきても、従う気がないと半分クーデター状態になりました。 #不知火に落ち度はない

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わかる？ ねえわかる？ 司令室にあいつらが詰めて工廠課も巻き込んでの一大基地クーデターですよ。 肝心の上層部が届く前に俺の基地が一気に大炎上ナウですよ。 鎮圧どうすりゃいいんだって、頭を抱えるハメになった。 #不知火に落ち度はない

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その窮状をすくい上げたのは、元マドンナにしてメスゴリラ長門でした。 俺の人事異動が決まったあとしばらく休暇申請出してたんだけどさ。 その後「大尉」っていう階級ひっさげて戻ってきたのよ。 司令用の制服上下整えてさ。 つまり、長門提督になったわけ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「文句があるなら受けて立つ。ただし、一人として無事で帰れると思うなよ」 などと言って司令室に上がり込み、堂々司令の椅子を取ったメスゴリラ改め、ボスゴリラ。 さすがにそれは誰も文句を言えませんでした。 つか、提督になりたかったのお前。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

あとはあれよあれよと言う間に、司令権限は全て長門の手の中に落ちた。 抗議活動の中心であった神通も不知火も、ボスゴリラには勝てなかったというか、あっさり従った。 真のボスは長門だったんだなあ、としみじみ思う。 俺の長い提督生活ってなんだったの。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

なお、川内はあの後無事無罪放免。 俺だけがボルネオにトバされて、何事もない生活が約束されてるそうな。 あと、その後龍田からメールが届いてた。 『後で取り立てるから覚悟しておいてね♥』 あ、はい。やっぱりお前があの後がんばってくれたのね。 #不知火に落ち度はない

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こうして万事丸く収まった。 あとは自分の基地からクルーザーで、まっすぐボルネオまで行くだけである。 おやっさんたちには挨拶をしてあり、素晴らしいコメントが帰ってきた。 「とっとと行って頭冷やしてこい」 どうしよう。涙で前が見えません。 #不知火に落ち度はない

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他にも食堂連中からは、お弁当などをいただき。 那珂ちゃんからはＣＤの在庫を貰い。 北上様からは、なぜかキューピー人形が進呈された。 扶桑・山城組からは髪の伸びる人形が渡されたあたり、処分に困ったものを押しつけられた感ぱねえ。 #不知火に落ち度はない

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そして、お見送りには、神通教官と不知火と何故か磯風が立ってたわけで。 いや、なんでお前がいるのかよくわかんないよ磯風。 「本来は浜風が来る予定だったのだがな」 沈痛な面持ちで、磯風が言う。 なにがあったの君。 磯風らしくねえ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「端的に言うと、同行願い出るために艤装装備で出てこようとした」 は？ 「そうして不知火が察知して、艤装を凍結しました」 え？ 「あとは神通教官が4名を鎮圧しました」 ちょいまち。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「そうして唯一立って歩ける私が代表して見送りに着た」 俺の知らない間になんでそんな面白いこと起きてンのこれ。 「そんなわけで司令は、どうお考えですか」 「いや、どうお考えって……ああ、あれだ。でかした」 そう答えると、深刻なため息が三人から出た。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「司令には失望しました。さっさとボルネオなりどこへなり失せろ」 「辛辣すぎて涙出てくるねえ」 不知火相変わらず容赦ねえな。 「あの……お体にお気を付けて。時折様子を見に──」 「この基地頼むわ、神通。世話かけたな」 あと姉ちゃんと仲良くな。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「それでは新天地でも雑草の如く生き延びろ。元司令。いや無職か」 「一応さ。えっとさ。俺大佐なんだけどね？」 どうして皆俺を無職というのか。 まあ、無職になっても、おかしくないことをしでかしたのだからしかたない。 じゃあ、行くかね。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「あ。そーだ。川内は？」 「あの……大変申し訳ないんですが」 寝てます、とのお答え。 ほんっとフリーダムだねあいつ！！ 絶対的にフリーダムすぎて笑えるね！！ 俺そんな奴のために、いろいろ棒に振ったのね？！ わかってたけどさ！！！ #不知火に落ち度はない