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派遣法改正案、出井智将『派遣新時代』と、出井氏との対話、その後の考察
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ここで考えるべきなのは、法改正されれば「企業にとっての受入制限は、人単位では3年だが、人を代えれば同じ業務を派遣に任せ続けることが実質的にできる」という点だ。
2015-06-28 07:50:24![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
派遣労働者のAさんはその仕事で3年を超えて働き続けることはできない一方で、企業は別の派遣労働者Bさんにその仕事を引き継いでもらうことができる。
2015-06-28 07:52:55![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
一方、現行法では自由化業務の場合、3年という単位を超えてその業務に派遣労働者を受け入れ続けることは(同じ人でも別の人でも)できないため、その仕事を直接雇用に転換させるインセンティブが生じる。そこに、派遣労働者が同じ職場で直接雇用に転換する1つのルートがあったと考えられる。
2015-06-28 07:57:14![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
実際、JILPTの派遣先調査によれば、4分の1の事業所では、過去3年間に通常派遣を経て正社員に転換した例が1人以上ある。 jil.go.jp/institute/rese…
2015-06-28 08:02:27![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
出井氏の新書は、派遣から直接雇用への移行のルートが初めて開けた、という印象を読者に与えるものになっているが、しかし、対話の中で出井氏が認めておられるように、従来、それができなかったわけでも、実績がなかったわけでもない。
2015-06-28 08:04:48![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
しかし法改正されれば、自由化業務も専門26業務も、一人の派遣労働者は同じ仕事に3年しか従事できないのに対し、使用者はその仕事を別の派遣労働者に任せることができる。 だから私は、「直接雇用の申し入れ」という規定が設けられても、直接雇用実現の可能性はかえって遠のくと思う。
2015-06-28 08:07:06(参考)毎日新聞6月19日
「改正派遣法案:衆院通過…3年制限、事実上撤廃」
http://mainichi.jp/select/news/20150619k0000e010209000c.html
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法改正案には、派遣先が「通常の労働者」を雇おうとするときにはその情報を派遣労働者に提供しなければいけない、といった規定が設けられている。しかし、派遣労働者を「通常の労働者」に置き換えるのではなく、別の派遣労働者に置き換えることについては、労働組合の意見を聞けばいいだけだ。
2015-06-28 08:11:10![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
労働組合が反対しても、別の派遣労働者に置き換えることは可能なので、派遣の利用制限は専門26業務についても自由化業務についても、実質的になくなる。
2015-06-28 08:13:04![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
従って、自由化業務について従来、業務単位3年という受入制限が設けられていて派遣労働者がその仕事で3年を超えて働き続けられなかったということと、法改正によって、専門26業務にも人単位3年という受入制限が設けられることでは、3年後に待ち受けている状況が異なるのだ。
2015-06-28 08:14:55![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
専門26業務で働いてきた派遣労働者の声を聞くと、本当は正社員で働きたいが、その希望がかなわないために、やむなく派遣で働いている。その今の派遣の仕事も続ける道が絶たれ、別の派遣を探さなければいけない、それが見つからないかもしれない、という状況に陥るのは耐え難い、という声が多い。
2015-06-28 08:21:44![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
つまり、専門26業務の派遣労働者で派遣法改正に反対している人は、より厳しい状況に陥ることを避けるために法改正に反対しているのであって、その当事者の思いに寄り添うならば、「3年でクビ」に追い込まれるという点でも法改正には反対、という声になるのだろう。
2015-06-28 08:32:18![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
ただ、このあたりの理路は入りくんでいる。ここで、読み手にわかるように説明できたかも、自信がない。現行の派遣法の内容や法改正の内容を知らない人に、なぜその2つは矛盾しないのかを、2、3分でわかりやすく説明せよ、と言われても、たぶん無理だろう。
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ただし、法改正によってすべての専門26業務の人の状況が悪化するかといえば、そうとは限らない。ありすさんが考察しているように、有能な派遣社員であれば、3年で人を代えるよりもその派遣労働者を派遣先が直接雇用する、ということもありうる。 alicewonder113.blog.fc2.com/blog-entry-89.…
2015-06-28 08:48:33![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
しかし他方で、法改正後も派遣先は部署を移動させることによって同じ派遣労働者を派遣のまま使い続けることもできる。そのため、下記の記事にあるように、部署移動させながらなんとか同じ労働者に派遣のまま働いてもらおうとする企業も出てくるだろう。 wpb.shueisha.co.jp/2015/06/25/497…
2015-06-28 08:54:23![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
また、有能な労働者なら直接雇用されるとも限らないと思う。有能であっても、直接無期雇用すれば解雇がしにくい。有期雇用であっても労働契約法の改正によって5年後には無期雇用への転換の必要性が生じる。
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さらに、有能であっても、妊娠・出産の可能性がある女性の直接雇用を企業がためらう可能性もある。派遣労働者であれば、妊娠・出産・育児期の女性を排除して、その前後の女性だけを労働者として活用することが可能だが、直接雇用であれば、法規制によりそのようなことは認められない。
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法改正は企業にとって、全体としてみれば派遣労働者をより使いやすくする内容だと私は考える。出井氏は、派遣元に雇用安定化措置の1つとして派遣先への直接雇用の申込みが規定されていること、派遣がすべて許可制になること、などを大きく評価しているが、光の部分だけでなく全体像に目を向けるべき。
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一方で、法改正に期待を寄せている派遣労働者もいることを考えると、「派遣という不安定な働き方がさらに広がることは避けるべき」という主張は、派遣労働者をその不安定な状況の中に置き去りにするように聞こえてしまう。
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連合のHPを見ると jtuc-rengo.or.jp/roudou/seido/h… 【「常用代替防止」と「派遣労働者の保護」の双方の観点に立脚した見直しを強く求めていく】とあるのだが、「派遣労働者の保護」の内容を見ると、
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「派遣労働者保護を強化するための施策として、均等待遇の実現をはかることに加え、派遣先・派遣元それぞれの使用者責任を強化・徹底すること、集団的労使関係ルールを確立することなどを推進すべきである。また、派遣労働者のキャリアアップ措置などの取り組みも強化すべきである」とあり、
2015-06-28 09:33:23![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
派遣労働者を直接・無期雇用にいかにつないでいくか、という視点が薄い(「派遣先による「労働契約申込みみなし制度」の充実・強化」はあるが)。
2015-06-28 09:34:12