派遣法改正案、出井智将『派遣新時代』と、出井氏との対話、その後の考察

・派遣法改正案の論点は何か ・業務単位の受入期間制限から人単位の受入制限に移行するとはどういうことなのか ・人材派遣業界の関係者は派遣法改正案をどうとらえているのか に関して。 続きを読む
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上西充子 @mu0283

派遣法改正の推進側が、「法改正されれば、こんな風に直接雇用への道が開ける」と積極的にPRしているときに、「いや、そうはならない」というだけでは、派遣労働者を派遣という働き方に押し込め続けたい、という主張ととられかねない。

2015-06-28 09:36:09
上西充子 @mu0283

「派遣就業は臨時的かつ一時的なものであることを原則とする」というのは、常用代替を防ぐということと同時に、派遣就業している人にとっても、より安定的な就業形態への移行の道を開く」ということを意味するものであるべきだと思う。

2015-06-28 09:47:31
上西充子 @mu0283

実際、労政審の報告書「労働者派遣制度の改正について」(2014年1月29日)でも、こう記されている。 mhlw.go.jp/stf/houdou/000…

2015-06-28 09:49:04
上西充子 @mu0283

「労働者派遣事業は、労働市場において、労働力の迅速・的確な需給調整 という重要な役割を果たしている。その一方で、派遣労働の雇用と使用が 分離した形態であることによる弊害を防止することが適当である。すなわ ち、派遣労働者の雇用の安定やキャリア形成が図られにくい面があること から、

2015-06-28 09:50:19
上西充子 @mu0283

(続き)派遣労働を臨時的・一時的な働き方と位置付けることを原則とするとともに、派遣先の常用労働者(いわゆる正社員)との代替が生じないよう、派遣労働の利用を臨時的・一時的なものに限ることを原則とすることが適当である。」

2015-06-28 09:50:45
上西充子 @mu0283

つまり労政審報告書でも、派遣が「臨時的・一時的」というのは、派遣労働者にとって臨時的・一時的であるという意味と、正社員との代替が生じないように派遣の利用は臨時的・一時的なものに限定するという意味の、二重の意味が込められているのであり、前者については、そこからの移行が論点となる。

2015-06-28 09:53:06
上西充子 @mu0283

ただし、どういう仕組みを作れば、臨時的・一時的な派遣労働からの移行が可能になるのか、というのは難しい。

2015-06-28 09:57:20
上西充子 @mu0283

派遣を利用できる業務を限定し(入口を絞り)、継続雇用するなら直接雇用(もしくは直接無期雇用)を義務化する(出口を確保する)、というのが1つの方向性。 中嶌聡さんや菅俊治弁護士が主張しているのはその方向性。 togetter.com/li/836653

2015-06-28 09:58:36
まとめ 派遣法のあるべき改正の方向性とは? 中嶌聡・はたらぼ代表理事と、菅俊治・日本労働弁護団事務局長の見解 6月19日、衆議院本会議にて労働者派遣法の改正案と同一労働同一賃金推進法案(修正後のもの)が可決されました。 これらはこれから参議院厚生労働委員会で改めて議論されます。 論点整理をして、改めて議論を深めるために、お二人の見解をまとめました。 5136 pv 79 1 user 17
上西充子 @mu0283

しかし、現実の派遣法改正の歴史は逆の方向に動いてきている。 派遣が可能な業務を拡大し、派遣が可能な期間を延長することによって、入口を拡大し、出口にあったわずかな義務化の部分(直接雇用申込みみなし制度や40条の5の規定など)も削除・無効化しようとしている。

2015-06-28 10:01:42
上西充子 @mu0283

中嶌聡さんや菅弁護士は、「義務化」しないと実効性がない、という見方。 一方で、入口を広くしてどんどん入ってきてもらって、そしてどんどん出て行ってもらう、という考え方もある。「回転率」を上げていくのか、という問いに同意された出井氏は、そういう方向性を積極的にPRしているのだろう。

2015-06-28 10:07:32
上西充子 @mu0283

ただし、何度も繰り返しになるが、入口を広げ、派遣を使いやすくすることが、出口も円滑にするとは限らない。出口に待っているのは、次の派遣の口だけ、ということも十分にありうる。派遣法が改正されれば、その可能性は高まると私は思う。

2015-06-28 10:09:22
上西充子 @mu0283

だから、派遣という働き方が、本人にとっても、また労働市場全体にとっても、「臨時的・一時的」なものであるためのあるべき方向性を考えるためには、制度のどこをどう変えれば、何がどう変わり得るのか、様々な変化の可能性を考慮に入れながらの検討が必要。

2015-06-28 10:11:35
上西充子 @mu0283

安倍首相や塩崎厚生労働大臣は、法改正が ・正社員になりたい人には正社員の道を開く ・派遣で働き続けたい人には処遇の改善をはかる ものだと、同じ答弁を繰り返し、反対派の主張は矛盾に満ちて支離滅裂だという印象を与えて採決に持ち込もうとしているように見えるのだが、

2015-06-28 10:13:44
上西充子 @mu0283

参議院では、強行採決は避けるべきだし、より噛み合った議論が展開されることを期待したい。

2015-06-28 10:16:48
上西充子 @mu0283

ようやく文章化できました。長いですが、お読みいただきたく。→ 派遣法改正、人を替えれば派遣労働者を使い続けられるのなら、直接雇用への道はむしろ狭まるのでは?(上西充子) - Y!ニュース bylines.news.yahoo.co.jp/uenishimitsuko…

2015-06-29 19:09:10
リンク Yahoo!ニュース 個人 派遣法改正、人を替えれば派遣労働者を使い続けられるのなら、直接雇用への道はむしろ狭まるのでは?(上西充子) - Yahoo!ニュース 派遣法改正案は、業務単位の受け入れ制限を事実上撤廃することにより、企業が同じ業務で派遣を使い続けることを可能にする。派遣労働者の直接雇用は遠のく可能性があるが、国会答弁ではその論点は慎重に回避された。

朝日新聞・澤路毅彦さんの考察

澤路 毅彦 @sawaji1965

労働者派遣法の改正案について。上西先生と出井さんとの対話でかなり論点はクリアになっていると思う。なお、「26業務の廃止」は労働側から賛意が表明されたことがある。『労働者派遣と法』(日本評論社、2013)111ページ。伊須・三浦論文。 twitter.com/mu0283/status/…

2015-06-30 15:21:54
上西充子 @mu0283

まとめを更新しました。その後の考察を追加↓「派遣法改正案、出井智将『派遣新時代』と、出井氏との対話、その後の考察」 togetter.com/li/839571

2015-06-28 10:24:55
澤路 毅彦 @sawaji1965

続き)続き)26業務を撤廃し、同一労働者の同一派遣先への派遣期間を3年とするルールに統合し、キャリア支援策によって正社員化を目指す、という人材派遣協会の提案について、「直接雇用の原則および専門業務偽装が頻発している現状に照らし、検討すべき意見」と肯定的な評価を与えている。

2015-06-30 15:22:39
澤路 毅彦 @sawaji1965

続き)派遣は一時的・臨時的、という原則からすれば、論理的にはこういう結論になる。

2015-06-30 15:23:08
澤路 毅彦 @sawaji1965

続き)実際には専門性が低いのに派遣労働が固定化されているところに、副作用を覚悟の上で規制をかけて、派遣先企業に(ある意味で労働者にも)選択を迫るというのはありうる判断であると思う。「3年ごとに見直してもらうことで派遣への固定化を避ける」という政府側の主張に理由がないわけではない。

2015-06-30 15:24:33
澤路 毅彦 @sawaji1965

続き)選択を迫るという意味では、「5年ルール」で無期転換権を与える労働契約法18条も近い。これには、無期転換寸前で雇止めがおきるとして、労働側にも反対があった。その点で26業務の雇止め懸念について「労働法の改正によって労働者が解雇されることはない」という民主の批判は正確さを欠く。

2015-06-30 15:26:30
澤路 毅彦 @sawaji1965

続き)ただ、直接雇用の有期は雇止め法理が効くため、(不更新条項の問題はあるにせよ)人を入れ替えて有期雇用を続ける、という選択にはハードルがある。ところが、派遣には雇い止め法理が効かない上、「人単位」の規制になれば、派遣先が直接雇用を検討するインセンティブは減る。

2015-06-30 15:27:36
澤路 毅彦 @sawaji1965

続き)こう考えてみると、「26業務の廃止」は、「人単位」とセットになることで、規制強化によって生じるリスクを、派遣労働者だけに押しつける結果になっているように思えてくる。リスクが生じることが問題ではなく、リスクの分担が問題なのではないだろうか。

2015-06-30 15:30:58
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