「千の想いを」~最終章 クライマックス3『到達点』~
- mamiya_AFS
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……。 懲罰房のある建物を抜け出した所で、先頭を進む長門が足を止めた。 後ろにぞろぞろと続く娘達も止められる事となる。 旗艦が見詰める先では包帯だらけの千歳が縛った銀髪を夜風に揺らし、立ち尽くしている。 いまだ彼女が悪者だと思っている娘達の目が険しくなった。
2015-04-25 22:13:14言いながらも長門は前には進まない。 千歳が悪者を演じているのは薄々察してはいたが、何か考えがあるのだろうと今まで見過ごしてきた長門である。状況が状況だけに相手する必要性は感じない。 が、それでも長門の中の何かが停止を訴えていた。
2015-04-25 22:21:12@BIG7_NAGATO1 @tiyodadayo 急がれては困るのです。『今の』長門さんがあの人の前で暴れたら、誰も止められませんから。 申し訳ありませんけれど、引き下がってもらいます。
2015-04-25 22:23:07@titosedesu @tiyodadayo 断る。どうしてもというのなら力づくででも押し留めるんだな。 こちらにも引く訳にはいかない事情がある
2015-04-25 22:27:36罠は無い、と断じて長門が前に出る。 いや、仮にあからさまな罠が見えていたとしても長門は進んだであろう。 陸奥が。 妹が待っているのだから。
2015-04-25 22:32:15@BIG7_NAGATO1 @tiyodadayo そのお気持ちはよくわかりますよ。長門さんが『姉になった』事を心から嬉しく思います。でもごめんなさい、私も『妹達』が1番大切なんです。
2015-04-25 22:34:15後ろで控える娘達ですら退がりたくなるような長門の気迫を前にして、千歳もまた前に出る。何か武器を持っている様子は無い。 もしも重武装をしていたとしても、また、負傷具合の差を除いたとしても、長門を止められるようには誰の目にも見えない。
2015-04-25 22:39:19……。 「よく考えずとも、自分の手で終わらせるべきなのだろうがな」 机の上に無造作に置かれた拳銃を横目に、久瀬が呟く。 「私を処したい者は多かろう」 目線を向けられた最上が目を逸らす。
2015-04-25 22:42:03@tiyodadayo 提督・・・これまでの行動を悔い改め・・・それを背負って生きていくのもまた・・・贖罪の形ではないでしょうか・・・?
2015-04-25 22:44:30扶桑の穏やかな言葉に、ふっ、と自虐的に笑んで久瀬が革張りの椅子に腰を下ろす。 「そうだな。最終的に生き延びたのならば、そうするしかないだろう」 それは、達観と呼べるのだろうか。 死も生も、どちらであっても罪を受け入れる事を選んだ男の笑みは、これまた実に穏やかであった。
2015-04-25 22:48:25@tiyodadayo 長官…… 差し出がましいことを申すようで、心苦しいのですが、それは「贖罪」のように見えて、自己を傷つけて「逃げ」ているように見えてしまいます… もし……、もし長官が悔いているというのでしたら……
2015-04-25 22:49:08@tiyodadayo 今はそれを実行できるだけの「力」もあるはずです それをすることで、自らを傷つける代わり…とはしていただけませんか…?
2015-04-25 22:49:56告げた赤城を、久瀬はしばらく無言で見詰めていた。 「…やはり、天城の妹だな。言葉遣いこそ全く違うが……、芯は同じか」
2015-04-25 22:53:14「天城の遺した手紙には、何と書いてあるのだろうな」 久瀬が呟く。 手紙とは何の事なのか赤城にはわからなかったが、彼の顔が寂しそうだという事だけははっきりとわかった。 天城。 姉ならば、何と言うだろうか。
2015-04-25 23:00:41