近侍当直部屋日誌II
- shositu_mitubot
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みつ「ふいー。たべたたべたー」 長谷「よく食べて大きくなるんだぞ」 みつ「うんうんーそれじゃあ寝るねー」 長谷「待て昼に寝るとまた夜更かしになる」 みつ「んーんー朝まで起きないからだいじょぶ。起こさないでね」 長谷「は?」 みつ「ちょきちょきぎゅっぎゅっしてくるね。おやすみーぃ」
2015-07-08 15:07:13長谷「……まだ起きないのか。光忠。…………座敷はあんなにうるさかったのに、……ここは静かだな。…………なあ光忠。おかえりなさいって言ってくれないのか」
2015-07-08 23:10:31長谷「寝る前に労ってくれないのか。……今日も主命を果たしてきたんだ。出陣もした。敵も討ち取った。……それともお前に夕飯を食わせていないからか。お前を保護するという主命が果たしきれていないということか。なあだめか。お前が眠っていたから食べさせられなかっただけなんだ。なあ、……」
2015-07-08 23:26:31長谷「……俺の部屋にはいつも誰かがいた。うるさかったが。書類を手伝いに来る燭台切や大倶利伽羅、最近は博多。鶴丸が降ってくることもあった。……ここに移ってからはお前がずっといたんだ。……静かだ。…………静かすぎる。…………主命は果たせたんだと言ってくれ。眠れないんだ。光忠」
2015-07-08 23:31:18長谷「俺と食事をして俺と風呂に入って俺に保護されるより、眠る方がいいのか、お前は。……お前に美味いものを食わせて、栄養をつけさせて、たっぷり眠らせて、風呂ではしっかり湯に浸かって温めようと思ったとき、…………まともに生きていける気がしたんだ、俺も。お前と一緒に」
2015-07-08 23:43:40長谷「あいつが死んでお前を弔って、少しは仕事から心が離れたが、人の体を維持するための生活の諸々は、どうしても楽しめなかった。損失する時間のことばかり考えていたんだ。……それが、近頃はお前の顔を見たくて早く戻るようになったんだ。なあ味もよく分からなかったのは俺の方だったんだ、光忠」
2015-07-08 23:50:35長谷「もう分からん。……たった一晩お前が眠っているだけでこんなに動揺するのはおかしいか? お前に何かあれば、……主命が、…………ああ、やっぱり分からん。主命も。お前のことも。……もう、……どうでもいい。…………いいから寝よう、と言ってくれ。寒いから隣にいてくれと。……、」
2015-07-08 23:57:21長谷「もう……早く眠って、……明日になって、……お前に会いたい。…………光忠。共に生きてほしい。俺と……食べて、眠って、……まともな生活をしよう。……おやすみ。…………おやすみなさいと返ってこないのがこんなにつらいとはな。……良い夢を」
2015-07-08 23:59:26長谷「燭台切……!?」 光忠「ん……? んん、……おはよう長谷部くん。……ふあぁ。うんうん、上手くいったみたいだね」 長谷「待て、……何故お前が俺の部屋に、……」 光忠「なぜって、元々ここは僕と君の部屋じゃないか。はじめましてお父さん、お望み通り、本来の姿の燭台切光忠になれたよ」
2015-07-09 08:00:13光忠「まあもって一日かな。ちょっと無理に結び買えたから」 長谷「待て……いや……返せ……俺の光忠を……」 光忠「だから僕が君のだってば。おとうさん僕が分からないのかい」 長谷「あ、あああ……」 光忠「君が言うからがんばったのになあ。ほら、目も見えるようになったんだよ」
2015-07-09 08:07:44長谷「目。右目は」 光忠「どーぞ! 見ていいよ」 長谷「緑……」 光忠「そう。表の子と違うだろう?」 長谷「なぜ緑なんだ。縁のない色だろう」 光忠「……それは……紫色を見すぎたせいじゃないかな」 長谷「……」 光忠「キスしていいよ」 長谷「…………お前は……」 光忠「あ、ため息」
2015-07-09 08:12:53長谷「まずは服を着ろ」 光忠「ああ表の子のをちょろまかして……ん?」 長谷「俺の寝巻きでいいだろう。帯は自分で巻けるか」 光忠「……自分が脱いだばかりのを着せるなんて……驚くよ……」 長谷「俺の匂いが安心するんだろう」 光忠「それは小さくて目も見えなかった頃のことで……むむむ」
2015-07-09 08:19:15光忠「長谷部くん行っちゃうの……?」 長谷「お前の朝飯を持って来ねばならんだろう。確かにお前は俺の光忠だ。ならば主命で保護せねばならんからな。おとなしく待っていろよ」 光忠「うう……喜んだらいいのか寂しがればいいのか……」 長谷「……いってらっしゃいのキスは」 光忠「する!!」
2015-07-09 08:23:56光忠「……ごちそうさまでした。味がするとおいしいものだね。食事が楽しい」 長谷「そうだろうな」 光忠「あれ、感動が薄い」 長谷「お前に味覚が戻ると分かっていれば、梅が枝餅でも作ってやったものを……」 光忠「今からでも遅くない」 長谷「いや、……空いた時間はここにいる」
2015-07-09 09:24:44