「基準(ガイドライン)としての手術適応あり」と「実際の手術の有効性、緊急性」、「過剰診断」の関係

「手術適応として適切だから過剰診断はない」というのは間違い。「過剰診断に配慮しているから過剰診断はない」というのも間違い。手術適応はあくまでも基準(ガイドライン)による線引きだが、実際の手術の有効性(結果的に手術が有効である割合)は腫瘍性質や患者の状態などの要因で連続的に変化するもの。経過観察例から手術が必要な場合が出てくるのと同様に、手術適応(経過観察不可)例にもすぐに手術しなくてもいい場合が含まれます。ガイドラインが不適切だと言っているわけでもないのであしからず
震災
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shun @shun148
早期発見された癌は一般には手術適応だが、甲状腺癌では検査技術の進歩で生命に関わらなさそうな癌がみつかるようになり、経過観察の適応を検討するようになった。経過観察の適応は、万が一大きくなってもそれから手術すれば確実に治せると見込まれるかどうか。少しでも心配なものは最初から手術適応。
shun @shun148
手術適応と経過観察の線引きは、過剰な治療を防ぐことよりも早期発見した癌を確実に治すことが優先されるので、手術適応側にずっと後まで手術する必要のないものが含まれる。全体的におとなしい性質のものが多い甲状腺癌ではその割合が高くなる。
shun @shun148
経過観察を勧める条件は、1㎝以下、エコー所見でおとなしい顔をしている、リンパ節転移なし、被膜や気管に近接していない等で、一つでも欠くと手術適応だろう。線引きはクリアカットだが、今手術しなければ術式や予後などの結果に差が出るものの割合は、リスク因子の増加に従って徐々に高くなる。
shun @shun148
リスク因子と手術適応、手術の必要性の関係を図にするとこんな感じ。手術の必要性というのは、すぐに手術するかどうかで結果にどの程度影響するか、或いは結果が変わるものの割合がどのくらいか。 pic.twitter.com/A03WijULWS
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shun @shun148
手術適応の検討で過剰な治療を防ぐには限界があるし、適応を変えるためのエビデンスの蓄積には時間もかかるので、高精度な検査法よる早期癌の見つけすぎには慎重に。
shun @shun148
少し補足すると、一般的な癌の手術適応あり、無しの線引きは進行癌との間にあるのでこんな感じ。 pic.twitter.com/k2gEW5nciy
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shun @shun148
以前の図を少し補足すると、色をつけた部分が手術適応があるのに過剰診断やもっと後からの診断治療でも結果の変わらないものに相当。 pic.twitter.com/dgnXUMdKkm
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shun @shun148
それに対して、医療過誤のニュアンスを含む過剰治療は、一般的な手術適応から逸脱して治療を行なった場合で、図の左側の斜線部分に相当。(但し、癌であることは確かなので、ガイドラインから逸脱しているとまでは言えないし、インフォームドコンセントの結果の判断であれば手術しても問題ない)

以下の道草クー太郎さんのツイートがわかりやすい

道草クー太郎 @KutaroMichikusa
医師がいくら優秀でも、神様でない限り挙動不詳の小さな小児甲状腺癌のどれが将来害をなし、どれが無害のまま推移するかなんて白か黒かに区分けできるわけがない。だから白か黒か分からない多くの「灰色」を手術適応にしている。潜在的な白が含まれるから灰色と言うんだ。
道草クー太郎 @KutaroMichikusa
その癌の性質について豊かな知見蓄積があるほど「灰色」のものは少なくなる。小児甲状腺癌は知見が乏しい代表的な癌であるために「灰色」のものが多い。知見が乏しいのは発症者そのものが稀な存在だからだ。
道草クー太郎 @KutaroMichikusa
発症者が稀なのに「手術適応」の者が大量に見つかったのは、黒か白か判断しかねる大量の灰色を見つけてしまったからだ。優秀な医師が正しく「灰色」と判断して手術適応になってるだけ。
道草クー太郎 @KutaroMichikusa
癌発症を回避することを「優先すべき安全」と考え、安全サイドに立った判断下では、灰色に含まれる潜在的白は潜在的黒よりも多くなるはずだ。それが「安全サイド」の意味だから。(これは直感的には分かり難いかもしれないが、よく考えれば分かる)
shun @shun148
甲状腺癌は薄灰色を患者の了解を得られた場合に経過観察にしている感じかな twitter.com/kutaromichikus…
道草クー太郎 @KutaroMichikusa
経過観察推奨は白か黒か見極める余裕があるような、比較的リスクの小さそうな癌ですね。仮に終生経過観察するのなら見つけない方が絶対に良い(過剰診断典型)。医大が経過観察を推奨した例が2件ほどあったと思うが、被検査者の意向で手術に至った。
道草クー太郎 @KutaroMichikusa
灰色という診断でもリスク(発症確率×発症した場合の被害の大きさとイメージされるもの)を考えて切らざるを得ないのだから、その限りにおいては正しい手術。同時に、確率の要素がある以上、そのなかには放置しても害をなさずに推移した癌もある。未知度が大きければその割合も大きい。

コメント

kikumaco(8/6,9大阪) @kikumaco 2016年9月16日
おしどりさんはまさに「手術適応だから過剰診断ではない」という理屈を強調していた
PKA @PKAnzug 2016年9月16日
個人的にはこの問題、過剰診断の問題だけで集団検診続行の適否を論じるのは危ういと思うんですよ。私は「早期発見して明確にヤバいの以外はまず経過観察すればいい」「そもそも若年者に見つかる甲状腺癌は将来問題になるものを先取りしてる可能性も十分にある」と思ってて、「過剰診断の問題と相殺し、あるいは上回るに十分なメリットが集団検診にある」という主張は十分に可能だと思ってるんです。
PKA @PKAnzug 2016年9月16日
ただ、それでも私が集団検診は続けない方がいいと思っているのは、コストの問題です。甲状腺診療のスキルを持った医師・検査技師および高精細エコー装置を拘束し続けることによる、金銭および医療リソースのロスは圧倒的で、上記のように考えてる私でも慎重な検討などなしに「止めた方がいい」と判断するレベルです。コストの話は一般ウケが悪いでしょうけど、本件の議論から決して外すべきではない要素だと思います。
NPAGW @NPwrAGW 2016年9月16日
kikumaco@NATROM氏:「鈴木眞一先生は「治療介入を要する状態だった。手術は適切だった」という意味で「過剰診断ではない」と言っている」(https://twitter.com/conAGW_proNuc/status/776170567254745088
NPAGW @NPwrAGW 2016年9月16日
kikumaco ←報道:「(鈴木真一教授)過剰診断や必要のない手術との声が上がっていることに触れ「基準に基づいた治療だった」と強調」 (https://twitter.com/conAGW_proNuc/status/776174399930011649
NiKe @fnord_jp 2016年9月16日
なんでわざわざ自分から『私は過剰診断という概念を理解していない』アピールをしにくるのか?
shun @shun148 2016年9月17日
PKAnzug 問題になるタイプの癌を先取りし尚且つ先取りが有効である場合はあることはあるはずですが、それがどの程度なのかが問題で、甲状腺癌の累積死亡率は50歳で0.001%(1人/10万人)のようなので生死に関わる恩恵を受けた人は先行調査では1人いたかどうかくらいだと思います。それをどう考えるかですね。
NPAGW @NPwrAGW 2016年9月17日
甲状腺癌の累積死亡率(shun148) ←死亡ではなく発症。/PKAnzug 「そもそも若年者に見つかる甲状腺癌は将来問題になるものを先取りしてる可能性も十分にある」
PKA @PKAnzug 2016年9月17日
生死には確かに影響しないのが甲状腺癌ですが、亜全摘で済むか全摘&放射性ヨード治療になるかで、一生もののQOLが変わるんですよ。毎日欠かさず薬飲んで、唾液が出なくて飲み物手放せないの、地味にきついですよ。
PKA @PKAnzug 2016年9月17日
なお、全摘なら内服は確実に必要ですし、放射性ヨード治療やれば程度の差こそあれ唾液腺障害はほぼ必発です。たまにある副作用とかとは訳が違うんですよ。コスト無視でいいなら検診勧めたいくらいには大問題と私は考えています。
shun @shun148 2016年9月17日
そういう全摘や放射性ヨード治療が必要になるタイプの甲状腺癌を2年毎の超音波検診でどのくらい防げるかだと思います。先行調査では亜全摘後再発して全摘になった方もいるようですが、有意に防げるなら不必要に或は10年20年も必要以上に早く子どもが甲状腺を切除される不利益との兼ね合いですね。
二十人のろの夢 @drsteppenwolf 2016年9月17日
亜全摘でどうにかなるような症例は、経過観察でも十分な症例かもしれません。 @shun148 @PKAnzug
shun @shun148 2016年9月17日
drsteppenwolf 経過観察できるものが多いと思いますが、経過観察の結果、手術になってさらに再発すれば経過観察が悪かったと思われてしまうので、手術適応の変更は簡単にはできないと思います。
二十人のろの夢 @drsteppenwolf 2016年9月17日
shun148 これだけ多くのmicroscopicなリンパ節転移が見つかっている現実を考えると、部分切除は有効な手術ではないと考える方が妥当なように思います。
shun @shun148 2016年9月18日
リンパ節転移が多いにも関わらず再発が少なく死亡は更に少ないので少しくらい再発率が上がっても甲状腺機能を残すメリットの方が大きいということだと思いますが、そういう意味では手術を行わずに経過観察を増やす方向にシフトしていくのでしょうね。エビデンスがないと難しいですが。
shun @shun148 2016年9月19日
超音波検診で「早期発見して明確にヤバいの以外は経過観察する」というのはガイドラインを変更するということで、それは福島の知見が積み重なった上でしかできないことではないでしょうか。それまでは、全摘は減ったら意味があるけど減るかどうわからない、増える可能性すらあるのに対して、早過ぎる切除や不要な切除は毎回何十人も見込まれているのではないでしょうか。
二十人のろの夢 @drsteppenwolf 2016年9月19日
shun148 甲状腺癌に関して、外科的医療介入の有効性が問われているのだと考えます。
shun @shun148 2016年9月19日
drsteppenwolf 特に超音波検査などでみつけたものについては手術適応や有効性ついてこれから評価がかわっていくのでしょうね。
林 衛 @SciCom_hayashi 2017年6月7日
甲状腺ガイドラインの腫瘍性質や患者の状態のとらえ方はまちがいだとしゅんさんは考えてる?
TBDD @TBDD_yahoo 2017年7月1日
これはわかりやすい。
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