【放射線】癌死亡数が0.5%上昇するのは"生涯"100mSvであり、"年間"100mSvではありません #放射線のものさし
"年間"100mSvではなく"生涯"100mSvです
癌死亡数が0.5%上昇するとされているのは"生涯"100mSvです。
これはあくまで放射線防護上の目安であり、低線量率長期被曝における確実な見解が存在するわけではありません。
放射性物質を含む食品による健康影響に関するQ&A
http://www.fsc.go.jp/sonota/emerg/radio_hyoka_qa.pdf
- “生涯における追加の実効線量がおよそ100mSv以上で健康影響が見いだされると判断”
- “国際放射線防護委員会(ICRP)では、100mSvの被ばくをした場合、生涯のがん発症数は1.71%上昇し、がん死亡数は0.56%上昇すると推定しています”
低線量率被ばくによるがん死亡リスク - 環境省
http://www.env.go.jp/chemi/rhm/kisoshiryo/attach/201510mat1-01-114.pdf
- “国際放射線防護委員会(ICRP)では、大人も子どもも含めた集団では、100ミリシーベルト当たり0.5%がん死亡の確率が増加するとして、防護を考えることとしています。これは原爆被爆者のデータをもとに、低線量率被ばくによるリスクを推定した値です。”
医療の中の放射線基礎知識 - 北里大学病院
http://www.khp.kitasato-u.ac.jp/hoshasen/iryo/index.html
しきい線量がないと仮定した場合のガンで死亡する確率
0.4% ← 1mSv/年の被ばくを0~生涯継続した場合
0.8% ← 2mSv/年の被ばくを0~生涯継続した場合
1.8% ← 10mSv/年の被ばくを18~65歳まで継続した場合
3.6% ← 20mSv/年の被ばくを18~65歳まで継続した場合
間違えている人のサンプル
森ちゃんェ※100mSV/y = 年間100mSv です。
科学の限界はあります。でも被曝については広島、長崎、チェルノ等の疫学調査と追跡調査でほとんど分かってます。分からない事については「低線量被曝(100mSV/y以下)は影響が低すぎて分からない」が正解です。 @kasoken twitter.com/kasoken/status…
2015-06-24 21:36:15なお、森ちゃんは意図的なデマも流しています。
【いざ!幸福維新】放射能の除染目標が福島復興の足かせに - ZAKZAK
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20130329/plt1303290710000-n1.htm
- “年間100ミリシーベルト以下の被ばくによる健康への影響は疫学的には認められていない”(幸福実現党党首・矢内筆勝氏)
ことば
確率的影響
放射線の影響によって集団の罹患率や死亡率がどのくらい増えるかということを表します。
すでに説明したとおり、生涯100mSvを被曝した集団では癌死亡数が0.5%上昇すると推定されています。
確率的影響のリスク - 環境省
http://www.env.go.jp/chemi/rhm/kisoshiryo/attach/201510mat1-01-112.pdf
- “がんや遺伝性影響といった確率的影響では、同じように放射線を受けた集団の中でも、疾患になる人とならない人がでてきます。”
- “そのため、がんや遺伝性影響の危険性は、何人中何人が病気になるかという確率で表現されます。”
積算線量と線量率
積算線量「一年の間」「一生涯の間」など、ある期間内に被曝した量のことです。
自動車で言えば移動距離(Km)に相当します。
単位時間あたりの被曝量のことで「μSv/h」がこれです。
自動車で言えば速度(Km/hなど)に相当します。
Q&A 用語集 - 除染情報プラザ:環境省
http://josen-plaza.env.go.jp/decontamination/qa_glossary.html
- “トータルとしてどれほどの放射線を受けたかが「積算線量」で、単位は「シーベルト」で表される。”
- “これに対して、単位時間あたりにどれだの線量を受けるかを「線量率」と呼び、単位は、1時間あたりの線量率の場合には「毎時○○シーベルト」と表す。”
その他関連情報
確率的影響のリスクはトータルの積算線量で考えることになっています
放射線の健康への影響は積算線量が決める - 首相官邸災害対策ホームページ
http://www.kantei.go.jp/saigai/senmonka_g8.html
- “放射線の健康影響を考える上では、トータルとしてどれほどの線量を受けたか(積算線量)が重要であり、単位は「シーベルト」で表されます。”
- “健康への影響は積算線量で考えることが大事なのです。”
人体影響の発生機構・確率的影響
http://www.env.go.jp/chemi/rhm/kisoshiryo/attach/201510mat1-01-82.pdf
- “細胞の突然変異で起こる影響は、一つの細胞に突然変異が起こったとしてもそのリスクが増加すると考えられています。”
- “突然変異を起こした細胞は、ほとんどが修復されたり排除されたりしますが、一部の変異細胞が生き残り、その子孫細胞に複数の遺伝子突然変異や遺伝子発現レベルの変化が追加的に起きると、がん細胞が生じる可能性が高まります。”
- “細胞のがん化は、複数の遺伝子に変異が起こり、修復されずに蓄積された結果として生じるため、発がん影響を評価する際には、受けた線量を全て考慮する必要があります。”
急性被曝と低線量率長期被曝の違い
低線量率長期被曝は、急性被曝に比べてリスクは低いとされていますが、はっきりしたことはまだわかっていません。ICRPでは短時間被曝と比べて影響は半分になるとしています。
低線量率被ばくの発がんへの影響 - 環境省
http://www.env.go.jp/chemi/rhm/kisoshiryo/attach/201510mat1-01-94.pdf
- “国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告では(略)、少しずつ被ばくした場合は、一度に被ばくした場合に比べ、同じ線量を受けた場合でも、影響は半分になるとしています。”
低線量率長期被ばくの影響 - 環境省
http://www.env.go.jp/chemi/rhm/kisoshiryo/attach/201510mat1-01-105.pdf
- “高自然放射線地域では積算線量が数100mSvになってもがんの相対リスクの増加がみられません。”
- “信頼区間(グラフ上のエラー・バー)の幅も非常に大きいことから更なる検討が必要ですが、慢性被ばくの場合、急性被ばくよりもリスクが小さくなることが示唆されます。”
生涯100mSvのリスクは野菜不足と同程度
ただし、低線量率長期被曝の場合はもっとリスクが低いものと考えられます。
「野菜不足だって問題視しているのだから被曝も問題視すべき」とも言えますし、「野菜不足を解消すればチャラにできる程度じゃん」とも言えます(レタスをかじりながら)。
がんのリスク(放射線と生活習慣) - 環境省
http://www.env.go.jp/chemi/rhm/kisoshiryo/attach/201510mat1-01-116.pdf
生涯100~200mSvの被曝によるリスクは、野菜不足と同程度とされています。
- “放射線の発がんリスクは広島・長崎の原爆による瞬間的な被ばくを分析したデータ(固形がんのみ)であり、長期にわたる被ばくの影響を観察したものではありません。”
【付録】累積線量早見表(手抜き版)
- ここではすべてセシウム137だと仮定して半減期が短いセシウム134の存在は無視していますので、実際にはこの試算値よりも早く減るものと思われます。
- 除染や自然減衰(*)はないものとして、かなりざっくり試算しています。
- 自然被曝量は含まずに、追加被曝量だけ考えています。
(*)放射性物質が風や雨で流され移動することによる減衰。
現在の年間積算線量 = 20mSv/年 の場合
:年間積算線量:累積線量
現在 : 20.0mSv/年: 20.0mSv
1年後: 19.5mSv/年: 39.5mSv
2年後: 19.1mSv/年: 58.6mSv
3年後: 18.7mSv/年: 77.3mSv
4年後: 18.2mSv/年: 95.5mSv
5年後: 17.8mSv/年:113.4mSv
6年後: 17.4mSv/年:130.8mSv
7年後: 17.0mSv/年:147.8mSv
8年後: 16.6mSv/年:164.4mSv
9年後: 16.2mSv/年:180.6mSv
: : :
30年後: 10.0mSv/年:447.8mSv
現在の年間積算線量 = 10mSv/年 の場合
:年間積算線量:累積線量
現在 : 10.0mSv/年: 10.0mSv
1年後: 9.8mSv/年: 19.8mSv
2年後: 9.5mSv/年: 29.3mSv
3年後: 9.3mSv/年: 38.7mSv
4年後: 9.1mSv/年: 47.8mSv
5年後: 8.9mSv/年: 56.7mSv
6年後: 8.7mSv/年: 65.4mSv
7年後: 8.5mSv/年: 73.9mSv
8年後: 8.3mSv/年: 82.2mSv
9年後: 8.1mSv/年: 90.3mSv
: : :
30年後: 5.0mSv/年:223.9mSv
現在の年間積算線量 = 5mSv/年 の場合
:年間積算線量:累積線量
現在 : 5.0mSv/年: 5.0mSv
1年後: 4.9mSv/年: 9.9mSv
2年後: 4.8mSv/年: 14.7mSv
3年後: 4.7mSv/年: 19.3mSv
4年後: 4.6mSv/年: 23.9mSv
5年後: 4.5mSv/年: 28.3mSv
6年後: 4.4mSv/年: 32.7mSv
7年後: 4.3mSv/年: 36.9mSv
8年後: 4.2mSv/年: 41.1mSv
9年後: 4.1mSv/年: 45.2mSv
: : :
30年後: 2.5mSv/年:112.0mSv
1年後の年間積算線量
1年後の年間積算線量をざっくり試算するには、現在の年間積算線量に 0.977159968 を乗じます。
考え方セシウム137の半減期は30年。
↓
30年で0.5倍。
↓
1年後の倍率 = 30乗すると0.5になる数値。
↓
0.5の30乗根
↓
0.5の1/30乗
↓
約0.977159968