- Eric_Ridel
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人間(1)タイトルは「じんかん」と読む。日本の就職活動に関する言説に接する度に、おどろくことがある。それは、そもそもどのような社会にすべきだとか、人として追い求める価値は何かという視点が全くないことである。
2011-01-28 07:54:32人間(2)企業が「学歴」をどのように評価しているか、新卒一括採用がどのように「機能」しているか(していないか)について、現状追認的な言説は出てくる。その言った舌で、突然後ろを振り向いて、「だから学生たちはそれに合わせなさい」と言うのだ。
2011-01-28 07:55:33人間(3)日本の採用慣行を所与の条件として、どのように行動したら「得」をするかと延々と説く人もいる。私の中で、深い絶望と、「この人たちに何を言っても通じないのだ」という悲しみがわく。このようなディスコミュニケーションは、いかにして生まれるのだろうか。
2011-01-28 07:56:44人間(4)自分たちの置かれた状況から離れて、合理性や理想の視点から「そもそも」と問い直す精神の欠如。これが、日本固有の風土病の一つであり、就職活動をめぐる言説には、そのシンドロームが最も深刻に表れる。だからこそ、多くの若者が涙する。
2011-01-28 07:58:02人間(5)ニュートンによる万有引力の発見や、シャノンによる情報数理の発見につながる思想は、人間(じんかん)を一度離れなければ生まれ得ない。卒業後3年間は新卒扱いするといった小手先の方針で何かをしていると勘違いする国からは、世俗を離れる思想は永遠に生まれぬ。
2011-01-28 07:59:31人間(6)そもそも、なぜ採用に「年齢制限」をするのか。「何年何月何日以降生まれのもの」としゃあしゃあと書く企業は、自分たちのやっていることが、人類普遍の価値観から見て「卑劣」ではないのかと、真摯に自省しないのはなぜか。つまりは、日本人が「世俗」を離れないからである。
2011-01-28 08:01:19人間(7)わが畏友池上高志と私は、時折ある思想が「セクシー」だという言い方をする。好奇をくすぐり、新世界をかいま見せ、魂を揺さぶる思想は「セクシー」である。日本の就職活動の「専門家」の言説は、世俗をついに離れない点において、まったく「セクシー」ではない。
2011-01-28 08:03:05人間(8)我々は等しく理性を与えられているのではなかったか。日本人は、「縮み志向」の中で、そもそも社会設計はどうあるべきかという理念を問い直すことをせずに、ただ現状を追認し、ばあばあと空言するだけの歴史をこれからも繰り返すというのか。
2011-01-28 08:04:29人間(9)哀しいことに、日本の就活を打破したいと激す若者たちにも、「そもそも社会はどうあるべきか」という理念の鍛錬が不足している気配がある。自分たちの都合を言うだけでは、歴史は動かぬ。風土病が、被害者の若者にまで蔓延しているとすれば、それが先行者たちの最も思い罪であろう。
2011-01-28 08:06:27