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■界隈ログ(小伊)3

小伊(シャオイー・マーティン) 16歳/アルビノ/父親がとあるお偉いさん 3章です。
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シャオイー(小伊) @applex002

帰宅した少女と少年はソファに座ってはぁ、と同時にため息を吐いた。「すみません、…なにも思い出せませんでした」煌びやかな会場はそれは心踊る場所で、私用に付き合っていただいた方々もとても素敵な方々だったけれど、本来の目的は叶わなかった。『いえ、シャオが謝ることではありませんよ!』

2016-02-07 21:21:07
シャオイー(小伊) @applex002

『気を落としてはいられませんよ!明日も明後日も、いろいろな方々にお会いしてみましょう!』すく、と立ち上がった執事が力強く頷く。「クリスさん…」そんな少年の姿を見て少女は花開くように微笑んだ。「はい、お付き合い願いますね」『勿論です!』

2016-02-07 21:23:30

007:少女の忘れられない一週間(六日目)


まとめ 友人との会話 552 pv

まとめ 司書さんとの会話 701 pv

008:少女の忘れられない一週間(七日目)

シャオイー(小伊) @applex002

おとぎの国のお姫さま眠るような天蓋のついたベッドを抜けて、これまたお姫さまのお部屋を飾るために作られたような真っ白のカーテンを引く。 もう一枚、すりレースのカーテンから透ける優しい日の光が七日目の朝の訪れを告げていた。

2016-07-16 00:25:36
シャオイー(小伊) @applex002

七日目。 それは、今回の騒動が勃発がしてから少女と少年が取り決めた約束の有効期限。昨日の夜の執事の落ち込み具合を思い出して少女はほんのりと頬を緩めた。 「そんなにこわいお人なんですかね、シャオさんのお父さん」

2016-07-16 00:33:39
シャオイー(小伊) @applex002

顔は厳粛だけど、行き過ぎた子煩悩で娘には砂を吐くほどに甘い。教えてもらったままの人物を想像してみたけれどやっぱり良くわからなかった。 薄手の寝間着にカーディガンだけを羽織って部屋の扉を開ける。憩いの間となっているリビングには既に給仕服に身を包んだ執事の姿があった。

2016-07-16 00:36:16
シャオイー(小伊) @applex002

『おはようございます』 「おはようございます、クリスさん』 少し困ったような柔らかい笑み。彼は昨日の嘆きっぷりが幻だったのではと思える程にいつも通りだった。執事の元気そうな様子にほっとしながらも少女の表情は少しばかり固い。 少女には彼に言わなければならないことがあった。

2016-07-16 00:47:37
シャオイー(小伊) @applex002

『シャオ』 「はい、なんでしょう?」 沈みかけていた意識が浮上する。弾かれたように背を伸ばした少女に、執事は何度か言い淀んでからやっぱり困ったように言った。 『……少し驚かせてしまうかも知れませんが、ぼくに付き合って頂けますか?』

2016-07-16 12:04:15
シャオイー(小伊) @applex002

「それ、なんなんですか?」 彼の申し出に二つ返事を返した少女は、リビングのソファに腰を落ち着けながら目の前で黙々と何かの準備を進める執事に問いかけた。 プラスチックのバケツ。小さな砂時計。二本の細長いチューブの両端についているのは医療用の針、だろうか。

2016-07-16 12:08:05
シャオイー(小伊) @applex002

執事は少女の問いに答える代わりに給仕服の袖を捲る。チューブの先端についた針を手に取ると自身の腕へと突き刺した。とくとく、と。透明な管の中を赤黒い液体がうねりながら進んでいく様子は蛇みたいだ。管の出口に辿り着いた彼の血はポタポタとこぼれ落ち、バケツの中に真っ赤な水溜りを作っていく。

2016-07-16 13:25:43
シャオイー(小伊) @applex002

「……クリスさん?」 『触れないで!』 バケツの中を覗き込む少女に慌てて声をかける。びくりと顔を上げた少女に誤魔化すように執事は苦笑した。 『どんな劇薬よりも禍々しい毒ですから』

2016-07-16 13:31:28
シャオイー(小伊) @applex002

『シャオ。今からシャオに血を分けて貰います。シャオの腕と、ぼくの腕をこれで繋いで』 そう言って執事は二本目のチューブを手に取り、その先端をそっと少女に近づける。 『あの、気分が悪くなったらすぐに言ってくださいね』 「あ、はい」 『あと……ちょっとチクっとします』

2016-07-16 13:46:42
シャオイー(小伊) @applex002

注射を射つ前のお医者さんみたい。思わず笑ってしまった少女だったが、何のためにこんなことをするのかという疑問は拭えない。慣れた様子で真っ白な腕からすぐに目当ての血管を見つけ出した執事は戸惑いながらも一思いに少女に針を突き立てた。

2016-07-16 13:55:52
シャオイー(小伊) @applex002

もう片方の自身の腕にその反対の針を刺した執事は砂時計をひっくり返す。気の長い時計がゆっくりと砂を落とす。なんだか静かになってしまった空気に耐えかねて少女は執事を盗み見た。 同じく沈黙に気まずさを見出していたのかも知れない。ぱっちりと目が合ってしまうと彼は眉を下げて笑った。

2016-07-16 14:11:59
シャオイー(小伊) @applex002

『これはシャオとぼくだけの秘密なんですけどね。ぼくは普通の人間とは少し違ってるんです』 「違ってる、ですか?」 『ぼくには吸血鬼の血が混ざってるんです。放っておくと完全な吸血鬼になってしまう。だからこうやって週に一度、血の入れ替えをするんですよ』

2016-07-16 14:21:51
シャオイー(小伊) @applex002

「不思議。なんだか絵本の中のお話みたいですね」 ふふ、と笑う少女に執事も笑みを返した。いまの彼女にかかれば物事もふんわりしてしまう。 実際はそれほどファンシーな話ではない。自分で自分を抑えられなくなるほどの吸血衝動に駆られて危うく目の前の主人さえ殺しかけているのだ。

2016-07-16 15:02:10
シャオイー(小伊) @applex002

---吸血鬼。読んで字の如く血を吸う鬼。化け物。その脅威は童話やおとぎ話のように優しいものではない。喉を焼くような激しい渇きと、人と対峙するだけで湧き上がる耐えがたい飢え。自分の意志では到底御することなどできない程の渇望に支配される恐怖と、

2016-11-25 00:36:47
シャオイー(小伊) @applex002

その恐怖さえも快楽物質に変えてしまう恍惚感。白く霧がかった思考の中では人を殺すことだって大したことではないように思えてしまう。この血を欲する乾きが満たせるのなら、と。

2016-11-25 00:36:55
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