デビルサマナー　葛葉あきつ丸vs吸血極道　＃４

劉度 @arther456

「ナメとんのかぁ！」拳を払い、同時にアキラの顎へカウンターパンチ！直撃、だが、アキラの右手がテンドウの襟を掴む！「チッ……！」振り払おうとした手を、アキラの左手が抑える。そして、頭突き！「うごっ！？」鼻と前歯に鈍い衝撃！流石のテンドウもこれには怯んで、数歩よろめいた。22

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「ガキ共が……本気で殺されたいらしいな！」憤怒の表情を浮かべたテンドウは、紋付袴を脱ぎ捨てた。龍の首筋に噛み付いた鬼。それがテンドウの背負った刺青だ。「行くぞォ！」テンドウが駆けた。踏み込みだけで畳が爆ぜる！「うおうっ！？」アキラは咄嗟に腕を掲げ、テンドウの拳を防御！23

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服を抜いだ分、テンドウの動きは更に早くなっている。頬へのフック、ボディブロー、喉突き。連撃が次々とアキラを襲う！「ぐっ！」防ぎきれなかったパンチがこめかみに命中！「このヤロウッ！」激昂したアキラは、防御を捨て殴り返す！テンドウも頬を殴られるが、怯まず回し蹴りを放つ！24

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「オアッ！？」またも吹き飛ばされるアキラ。テンドウは追撃――せずに振り向き、手刀を繰り出す！ガシィン！背後から斬りかかったあきつ丸の刀が止まった。「甘いわッ！」今度はあきつ丸が連撃を受ける。素手と刀の勝負だが、ヤクザヴァンパイア化したテンドウの肉体は、生半可な斬撃を通さない！25

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だが、あきつ丸とて葛葉の名を継ぐ者である。人外の拳を防ぎ、躱し、反撃の糸口を見出す力量は備えている。テンドウの腕がマントの裾を掴み、あきつ丸を引き倒そうとする。あきつ丸は踏みとどまらず前転、転がったところを狙ったテンドウの蹴りを避け、流れるように立ち上がり、刀を構える！26

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「はあっ！」「ぐうっ！？」一閃が煌めき、テンドウの太腿から血が吹き出した！「っしゃあ！」アキラがテンドウに駆け寄る。あきつ丸と挟み撃ちだ。あきつ丸も二の太刀を振り上げた。「小賢しいわッ！」テンドウが一喝！激しい闘気が彼を中心に爆発し、アキラとあきつ丸を吹き飛ばした！27

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「うおうっ！？」「わぁっ！」２人の体が畳の上を転がる。あきつ丸は立ち上がり刀を構えるが、敵の強さに冷や汗を流していた。悪魔化した人間ぐらい、余裕を持って勝てると思っていたが、考え直さざるを得ない。切れる手札は全て切らなければいけないだろう。28

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あきつ丸はマントを翻し、ポケットから封筒を取り出した。「アキラ殿！」「何だ！」「少しの間、時間稼ぎをお願いするであります！」「あぁ！？」返事を待たず、あきつ丸は呪文を唱え始めた。『東の果ての海の先より、恐れ多くも申し上げる。我が声、我が祈りを聞き届け給え……』29

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「させるかよ！」テンドウがあきつ丸へ向かう。その背にアキラは飛び蹴りを見舞った！「ぐうっ！？」「てめーの相手はこっちだバカヤロウ！」更にキックを放つが、こちらはテンドウに受け止められた。『我ら、心を同じくして助け合い、困窮する者たちを救わんとす……』30

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テンドウが放った前蹴りが、アキラの腹に命中！アキラは苦痛に耐え、蹴り足を掴んでテンドウを強引に倒す。起き上がる前に馬乗りになり、顔面に向けて拳を振り下ろす。「グハァッ！」『上は国家に報い、下は民を安んずることを誓う。皇天后土よ、実にこの心を鑑みよ……』31

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「この野郎がっ！」拳を避けたテンドウが、アキラの耳を掴んだ。「っでででで！」引っ張られて体勢を崩し、更に顎を殴られ、アキラはテンドウの上から転げ落ちた。テンドウがあきつ丸に向き直る！『義によって立ち、義の下に倒れた者よ、今、再び立ちてその力を振るい給え！』32

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「死ねやぁっ！」テンドウは跳躍、詠唱中のあきつ丸に飛び蹴りを放った！あきつ丸は動かなかった。だが、蹴り足があきつ丸に触れる瞬間、テンドウの体が真逆の方向に吹き飛ばされた。「なっ……ガハッ！？」テンドウの腹に、蹴り飛ばされたかのような衝撃が突き刺さっていた。33

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あきつ丸は、懐から取り出した鏡をテンドウに向けていた。物反鏡。打撃や斬撃といった、魔力に頼らない質量攻撃を相手に跳ね返す、魔法の道具である。テンドウの蹴りも、この鏡によって跳ね返された。高価な上使い捨ての、あきつ丸の切り札だ。34

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「野郎……！」テンドウは立ち上がり、テンドウに向けダッシュしようとした。「……ッ！？」だが、その足が止まった。あきつ丸から、尋常ではない覇気が漂っていたからだ。あきつ丸の手の封筒が裂け、中から漢字が刻まれた木製の札が姿を現した。あきつ丸はそれを天高く掲げた。35

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『我ら、生まれた日は違えども、死す時は同じ月、同じ日を願わん！答え給え！忠義神武の御霊よ！』呪文を唱え終わった瞬間、すさまじい力の奔流が、天井を突き破り、あきつ丸の前に降り立った。やがて力は意思を持ち、人の形を作り、あきつ丸の前に降り立った。36

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それは身の丈９尺にも届く、巨大な男の形をしていた。手に持つ薙刀は更に長く、精巧な龍の彫物が施されている。顔は熟したナツメのように、あるいは返り血を浴びたかのように真っ赤で、豊かな顎鬚は腰にまで届いていた。ただの人の姿であるにも関わらず、纏う気は神々しい。37

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召喚された悪魔が口を開いた。「我が名は関羽。ここに誓いを立て 、貴殿を我が主君とし、身命懸けて御守り致そう」はるか昔、義を貫いた漢がいた。その生き様は後世に伝えられ、信仰を集め、漢を神へと押し上げた。三国志の英雄が、あきつ丸の召喚に応じ、再び現世へと降り立ったのだ。38

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【デビルサマナー　葛葉あきつ丸vs吸血極道】＃４おわり＃５へ続く