トップダウンがかえって革新を阻害する理由

小泉元首相をきっかけに、改革はトップダウンでないと進められないという「誤解」が広がった。しかし真の改革をしたいなら若者に徹底して考えさせ、若者に任せ、責任をとる「ボトムアクティベート」の方が適切ではないか。
6
shinshinohara @ShinShinohara

トップダウンという言葉が流行ってから、下に任せればよいことを上があれこれ言い、上が決断すべきことを下に「うまくいかなかったらどう責任をとるんだ?」と責任転嫁するケースが目立つようだ。2000年代に入ってからの日本企業の低迷は、間違ったトップダウンのせいのような気がしてならない。

2016-10-12 17:40:08
shinshinohara @ShinShinohara

2000年代に入るまでの日本企業は、世界的にみても圧倒的な力を持っていた。パソコンはやや押されぎみだったが、デジカメや液晶テレビ、携帯、USBメモリなど、まだまだ日本が圧倒的な力を誇る製品が数多くあった。バブル崩壊後10年の経済的低迷、円高という逆風の中でも競争力を保っていた。

2016-10-12 17:43:10
shinshinohara @ShinShinohara

狂いだすのはトップダウンという言葉が流行りだして2、3年の頃。小泉旋風が吹き荒れ、世の中「ミニ小泉」が増え出した頃だ。部下の言うことを聞かずにトップの独断で進めることが各所で起きた。私は、日本の競争力を奪ったのはこの、「誤ったトップダウン」のせいではないかと感じている。

2016-10-12 17:46:01
shinshinohara @ShinShinohara

年功序列が続く日本では当然ながら部下の方が若く、上司の方が年かさのことが多い。年嵩の上司がトップダウンをしたらどうなるか?これまた当然ながら「考えが古い」ので、判断がむしろ守旧的になる。革新をしたいなら本来は若い感性をすくいとるべきなのに、トップダウンはそれを不能にしてしまう。

2016-10-12 17:49:09
shinshinohara @ShinShinohara

もちろんトップダウン思考の上司も、若い人の意見をすくいとろうと必死なことが多い。しかし若い人に任せきらず、結局自分の仕事にしてしまう。このとき、若い感性は古い思考のフィルターで歪められ、決済が降りたときには似ても似つかないプロジェクトに成り下がる。若い人は当然やる気を失う。

2016-10-12 17:53:06
shinshinohara @ShinShinohara

上司は若い感性を取り入れたつもり。若い人は、古くさい思考に置き換えられた似ても似つかないものを「若い発想」として受け入れよと言われ、激しく幻滅する。意欲を失う。この時上司はどうやら意欲を失った部下たちが守旧派に見え、トップダウンで叱り飛ばすべき対象に見えるらしい。

2016-10-12 17:58:04
shinshinohara @ShinShinohara

トップダウンにすると、おかしなことが起きる。「斬新な発想」を求められても大概の人は自信がない。だから上司は若い人にアイディアを求める。しかし求めるのはアイディアだけではなく、その案が確実に成功することを部下に保証してほしくなる。「本当にそれでうまくいくのか?!」 どっちが上司?

2016-10-12 18:01:50
shinshinohara @ShinShinohara

日本の場合、小泉流トップダウンよりも「太陽にほえろ」式があっているように思う。部下が懸命になってアイディアを提示、「ボス!」と決断をあおいだら、ボスが「よし、やってみろ!責任は俺がとる。」「はい!」ボスは部下の考えを尊重し、徹底して考えさせる。そして任せる。責任は上司がとる。

2016-10-12 18:06:36
shinshinohara @ShinShinohara

上司は①部下に徹底して考えさせること、②部下に任せること、③結果責任は自分がとること。日本の文化的背景を考えると、この方式が一番うまくいくように思う。複数の部下に徹底して考えさせたものなら、それ以上の案は考えにくい。実行も発案した部下に任せるのがベスト。上司は責任だけとればよい。

2016-10-12 18:09:45
shinshinohara @ShinShinohara

上司はトップダウンをするのではなく、「ボトムアクティベート(部下の活性化)」に意を砕く方がよい。実行も発案した部下に任せれば、理解力も最高なわけだし責任感も強い。成功させたいという意欲も無茶苦茶強い。責任だけ引き取ろうとする上司に決して迷惑をかけたくないとも思う。

2016-10-12 18:12:19
shinshinohara @ShinShinohara

組織を人体になぞらえればよく分かる。まばたきまで大脳新皮質がトップダウンで指令を出していたら、眼球は干からびて失明するだろう。眼瞼反射もトップダウンでやっていたら目に何か飛び込んでも閉じるのが間に合わずに失明するだろう。実は、大脳新皮質が指令できることは「大方針」だけなのだ。

2016-10-12 19:12:33
shinshinohara @ShinShinohara

その大方針も、運動不足で睡眠不足、働きづめで休みなしにしたら、肉体は衰え、やがて破滅する。大脳新皮質は、細胞の一つ一つが活性化するよう、適度な運動、十分な休息、リフレッシュするに足る楽しみ、栄養がとれるよう、大方針を策定する必要がある。

2016-10-12 19:14:56
shinshinohara @ShinShinohara

トップダウンは気を付けないと、ろくでもないことになる。改革をしたいなら、若い人、すなわち部下に任せる方がよっぽど改革になる。古い頭の人間がトップダウンすることほどの弊害(老害)はない。

2016-10-12 19:16:22