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Uroak_Miku
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1)中学英語で「日本人の英語」がどう植えつけられてしまうのかをテーマに本を書いています。マーク・ピーターセンがすでに中学英語教科書のでたらめさを告発した本を出していますが、その原因が国語、それも明治の国語科までさかのぼることまでは彼でも読めなかった。 pic.twitter.com/jgRuHhqcHB
2016-11-20 07:06:18

4)日本人が好む英語学習方略 ―高橋五郎著「最新英語教習法」を読む― 多田洋子 jiu.ac.jp/books/bulletin…
2016-11-20 07:14:05
5)明治の入試問題をいくつか目を通してみました。英語や古文や漢文が出題されると「解釋セヨ」とあります。もう少し後の時代になると「口語ニ訳セ」になるのですが。要するに訳読できるかどうかが「英語力」とか「読解力」とかを測る物差しだったのです。
2016-11-20 07:22:54
6)じゃあ最初から口語であるはずの「現代文」の問題は何に訳したらいいのでしょう?先に述べた話ですが入試に「現代文」が出題されるようになったのは大正になってからで、出題されるのも森鴎外の『舞姫』などの擬古文系でした。大学ではなく高校入試です。旧制高校。今の大学教養課程。
2016-11-20 07:25:04
7)私立大のほうで近代文学(明治以後の小説)の研究者が現れ、それが大学入試にも反映されていったのです大正期に。帝大(今でいう国立大の老舗)は古典にこだわった。「うちは伝統主義だから」と。それがむしろオーラを放った。
2016-11-20 07:27:02
8)口語で書かれたものを口語に訳す問題を出すのはナンセンスだからか「現代文」問題はひねり技の設問が多い。私たちが解かされたああいうのは昭和10年にはもうスタンダードになっていたという。
2016-11-20 07:28:35
10)中学高校でいちいちノートに和訳を書かされましたよね。予習として自力でやってこいと。そういうものだと私も当時思ってはいましたが、違和感もかすかにありました。
2016-11-20 07:31:23
11)和訳(現代語訳)できればそれでよしというわけです。ところが卒業後に「I smoke.を『私は煙草を吸う』と訳すのは一応間違っていないがニュアンスは『私は喫煙者だ』である」と知ってたまげたことがあります。
2016-11-20 07:33:51
12)試みに「私は煙草を吸う」を英訳してみましょう。解釈が二通り生まれます。「私は日ごろから煙草を吸う」つまり「喫煙者です」なのか、「さあこれから煙草を吸うぞ」なのか。この日本語文だけでは判断できない。文脈次第となります。
2016-11-20 07:35:34
13)後者の場合は I'll smoke. と英訳します。'll は will の短縮形…と私たちは学校で習いますが本当は違います。ニュアンスが違う。「さあ~するか」ぐらいの感じで使う。
2016-11-20 07:37:50
14)I smoke.は「俺喫煙者やで」のニュアンスをくみ取らなければいけない。しかしほとんどの中学生はそこがわからないまま直訳するでしょう。「私は煙草を吸う」と。ところがこんな直訳文でも「私は(日ごろから)煙草を吸う」と解釈可能だからバツをつけられない。
2016-11-20 07:41:02
15)訳読主義によってこんな風に行き違い、ぼたんのかけ違いが始まる。いわゆる「日本人の英語」がこうやってはぐくまれていく。
2016-11-20 07:42:31
16)このボタンの掛け違いについて私はよくこうやって説明します。バブルの頃の日本人はアメリカに旅行して帰ってくると「向こうの店員は小銭を出すときいちいちテーブルの上に並べるんだ。暗算もできないって話は本当だったよ」ときまって土産話をしましたが、
2016-11-20 07:44:53
17)あれは「釣り銭ごまかしてないからね」という気配りなのです。今の日本では普通になってしまいましたが、当時の日本人には理解できなかったようです。中曽根康弘首相(当時)が「アメリカ人は知的レベルが低い」と国会で言い放ったりと、見下す空気がありました。
2016-11-20 07:46:51
18)日本人がマスクをして通勤通学しているのを目にした海外メディアが「ああなるほど日本は公害まみれなのでマスクしないと外も歩けないのだ」とアサッテな報道を繰り返したのと同じ。
2016-11-20 07:48:08
19)英語教育における訳読主義は、こうした誤解というかボタンの掛け違いを生み、蓄積していくという弊害をどうしても伴います。
2016-11-20 07:49:49
20)もっとやっかいな問題があります。教科書を作成する側が同種の行き違いに振り回されるのです。具体的に言うと英文をこしらえる前にまず日本語で原稿を書いて、それを英語に直訳したものを教科書に採用するという手順を踏む間に、ニュアンスが変わってしまうのです。
2016-11-20 07:53:01
22)Where are my penciles? と男の子が慌てていて、インド娘が「そこにあるじゃん」とクールに突っ込むやり取りです。この英文、文法的には完璧だけど実際に使ったら相手を怒らせる可能性が高い。なぜかわかりますか。 pic.twitter.com/0HRcphAWEK
2016-11-20 07:56:23
penciles --> pencils

23)「俺の鉛筆どこに隠した!」と聞こえかねないからです。Where とか Why とかの、いわゆる疑問詞は日本語の疑問詞よりかなりきっついニュアンスがあります。だから「鉛筆どこ?」ぐらいの軽い会話では避けるべきです。
2016-11-20 07:59:28
24)Have you seen my penciles?(俺の鉛筆見なかった?)のほうが自然です。ところが中一の教科書でこの文は出せない。なぜなら現在完了形を使った文だから。中三で習うことになっているので中一で出すのはご法度。検定を通らない。
2016-11-20 08:01:16