清水幾太郎『わが人生の断片』読書メモ集

清水幾太郎『わが人生の断片』(全二巻、文春文庫、1985)の読書メモをまとめました。
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荒木優太 @arishima_takeo

「色紙に何か書くように頼まれて、断り切れないような場合は、「経験、この人間的なるもの」と書くことが多い」(清水幾太郎『わが人生の断片』)。私もそうしよう(頼まれたことないけど)。

2017-02-04 08:22:51
荒木優太 @arishima_takeo

過去は死者の世界であるから、観念論で説明されても、唯物論で説明されても、それに異議を唱えはしない。死者は、黙って、一元論的な体系の材料や証人になってくれる。歴史を論じる人は、時々、弱いもの苛めをやっているのではないか、という反省を持つべきである。by清水幾太郎『わが人生の断片』

2017-02-05 16:54:18
荒木優太 @arishima_takeo

同じカントの翻訳でも、立派な出版社から出版されて、大きな小売店の書棚に並べられていると、近寄り難い厳めしいものに見えるが、貧しい夜店にゾッキ本として並んでいると、如何にも気安い感じがする。「カントさん」と私が声をかけたら、「ハイ」と応えてくれるような気がする。by清水幾太郎

2017-02-06 10:34:56
荒木優太 @arishima_takeo

BOOKOFFで漱石を見つけると「セキヤン」と声をかけたくなる現象と一緒だな(違う)。

2017-02-06 10:35:51
荒木優太 @arishima_takeo

ちなみに、私は漱石にBOOKOFFで出会い、漱石をBOOKOFFで揃えた男なので、BFが私に文学を教えたといっても過言ではない。

2017-02-06 10:37:28
荒木優太 @arishima_takeo

「昔は、みな慎ましく「経験」によって生きていたのに、今は、誰も彼も「思想」によって生きているようなことを言う、と或るスペイン人は書いた」(清水幾太郎『ある人生の断片』)。これってオルテガのことなのかな。いかにも書きそうだけど。

2017-02-06 13:39:42
荒木優太 @arishima_takeo

人間というのは、大地から生れ、大地に縛りつけられている存在であるためか、大地が揺れ始めると同時に、人間そのものの最も深い個所が揺れ始める。by清水幾太郎『ある人生の断片』

2017-02-06 13:41:22
荒木優太 @arishima_takeo

最後まで味方である筈の大地が真先に人間を裏切ると、われもわれもと、四方八方に敵が現れて来る。自然が一種の発狂状態に陥る。泣いても笑っても、自然の一部分であるほかのない人間は、これも一種の発狂状態に陥る。by清水幾太郎『ある人生の断片』

2017-02-06 13:45:14
荒木優太 @arishima_takeo

私が求めていたのは、やはり、スタイルなのであった。しかし、スタイルというのは、よく誤解されるように、何でも自由に入れられる袋ではない。言葉で織った袋に似ているけれども、それには必ず既に或る中味が入っている。by清水幾太郎『わが人生の断片』

2017-02-06 16:11:21
荒木優太 @arishima_takeo

清水幾太郎『わが人生の断片』上巻読了。『倫理学ノート』もそうだけど、既に右傾化したあとの文章なんだよな、なのに左寄りの私でも全く飽かさないのはやっぱり文章に力があるからなんだろう(『戦後を疑う』は流石にアレだったが)。羽仁五郎の講演で蓑田胸喜が丁寧な質問したエピソードが印象的。

2017-02-06 16:15:00
荒木優太 @arishima_takeo

「当時から現在に至るまで、日本のインテリがヘーゲル研究のために空費して来たエネルギーの大きさを考えると、私は陰気になれう。あのエネルギーが他の方面に注がれていたら、本人はもとより、日本の文化は大きな得をしていたであろう」(清水幾太郎『わが人生の断片』)。そうだなヘーゲル反日だな。

2017-02-07 11:08:55
荒木優太 @arishima_takeo

「私だけの話でなく、日本人のカント論にしろ、ヘーゲル論にしろ、その大部分は、ドイツ本国の研究者に読まれない安全地帯で書かれているのではないか」(清水幾太郎『わが人生の断片』)。柄谷が大好きな外文学者の悪口。

2017-02-07 11:10:44
荒木優太 @arishima_takeo

「ロンドンの安いホテルでは、紅茶のポット(陶器)は、何時も毛糸で編んだチャンチャンコを着せられていた」(清水幾太郎『わが人生の断片』)。なんとなく想像できるけど、チャンチャンコって、お前…(笑)。

2017-02-08 10:29:48
荒木優太 @arishima_takeo

ふん、何だ、みんな民主主義野郎じゃないか。by清水幾太郎『わが人生の断片』

2017-02-08 15:21:35
荒木優太 @arishima_takeo

経験というものの面白いところは、それが実存的な可能性と科学的な可能性とを有している点にある。by清水幾太郎『わが人生の断片』

2017-02-08 15:35:56
荒木優太 @arishima_takeo

「私は、KRテレビ(TBSの前身)が放映した芸術祭参加番組「Q」というミュージカルに出演していた」(清水幾太郎『わが人生の断片』)。へぇー、映像残ってないのかな?

2017-02-08 15:39:49
荒木優太 @arishima_takeo

清水幾太郎『わが人生の断片』下巻読了。安定の清水クオリティ。安保闘争での大学人への失望は今でも多くの人を引きつけるのでは。あと、所々で(アレントの訳業で知られる)志水速雄が出て来て、ちゃんと気にしたことなかったけど、人に歴史ありなんだなと思った。下巻からは日記の引用が多くなるよ。

2017-02-08 15:50:47