これから毎日羽布張り機を焼こうぜ!~ソードフィッシュと機銃焼夷弾のおはなし
ソードフィッシュの話題が出るにつけ、はて大戦期の機関砲榴弾や焼夷弾って、感度的に羽布に対応してるのかしらと疑問が湧いたりする。第一次大戦期だと羽布対応の超鋭敏信管なんかがわざわざ用意されたりしてますし、なかなか難しいんじゃないかしらって。むしろ危ないのは曳光弾かもとか(無根拠な)
2017-01-08 18:01:45第一次大戦で使われたバッキンガム焼夷弾とかシュワルツローゼ重機の焼夷弾なんかだと、着発式ではなく発射時点で点火されて燃えながら飛んでいくようになってるんですよね。これなら羽布のような柔らかい物でも信管感度問題は起きない。てえと逆説的に、やっぱり羽布対応の着発信管は難しいのかなとか
2017-01-08 18:08:21バッキンガム焼夷弾を実際撃つとこんな感じで、充填された燐が燃えながら煙の尾を曳いていく。焼夷弾としての機能だけでなくトレーサー(曳光というより曳痕)の役割も持ち合わせてるので、焼夷曳痕弾とでも言うのが実態に近いかしらね。ともあれ見た目はロケット弾みたいで格好いいです pic.twitter.com/Y1dSAbwZjV
2017-01-08 18:20:47そもそも小銃口径の弾は複雑な信管を備えるのが難しいので(無いとは言わない)、このへんの炸裂弾や焼夷弾は「強く叩いたら爆ぜる鋭敏ば爆薬が頭に詰まってるだけの弾」とかが少なくないんですよね。すると柔らかい標的に対応した弾は一層難しくなります。大口径になれば信管の工夫の余地もあるけれど
2017-01-08 18:24:09小銃口径で軟標的に対応した炸裂弾は実際これくらい複雑な物になる、という例がこちら。シュワルツローゼ重機関銃用の焼夷炸裂弾。信管の作動方式は説明するまでもなく一目瞭然ですが、8mm径の弾頭にこれを作り込むのは凄い。でも容積の半分近くを信管に食われてて効率はハテナ。そして非常に高価 pic.twitter.com/6fdHdR9Kyo
2017-01-08 18:34:42このアカウントはだいたい半年から1年毎に似たような話を繰り返しますが、聞き覚えのある方は「おじいちゃんったら、またあの話してる」くらいに聞き流してください
2017-01-08 18:36:24@FHSWman 僕の話の時ソードフィッシュを銃撃したのはFw190っぽいのでMG151/20とかだと思うのですがこの場合だと軟標的に対応した焼夷弾ってあったのでしょうか?尾部には燃料類はないので何かが引火させたのは確かだと思うのですが
2017-01-08 18:42:49@futaba_AFB hmm... 実際それらの弾や信管がどうだったのか、考えた事ありませんでした。ちょっと見てみましょ
2017-01-08 19:22:16「ソードフィッシュによるUボートの総撃沈数、および飛行時間当たりの撃沈率から、護衛空母から作戦を行うソードフィッシュが、船団護衛部隊の攻撃能力にかけがえのない貢献をしたことは見て取れる。」
2017-01-08 18:46:03「しかしながら風が弱く合成速力が足りない状況ではフル荷重で発艦できないこと、また構造的脆弱さはその対潜兵器としての効率性を大いに損なった。その低速は視界良好な状態における対潜攻撃の機会をしばしば失わせ、戦争後半には改善されたUボートの対空砲火に抵抗できない原因となっている。」
2017-01-08 18:46:49Flakボートの対空火器強化って何となく「そんなもん追加した所でどうにも……」みたいな諦観で見てしまいがちです。でもソードフィッシュ相手にする場合を考えると、急に「いけるかも!」な気がしてきません?
2017-01-08 18:53:01まずMG151/20で考えるとして、燃やしそうな2cm Brsprgr.L'spur m.Zerl(2cm自爆付曳光焼夷榴弾)から見てみます。こいつはAZ1504信管を備えてて、こんな造り。信管感度は頭部の薄い金属板で調整されてて、これは10mm厚の木製板で反応するようです pic.twitter.com/y3474F4H1P
2017-01-08 20:21:2210mm木板対応の信管感度ってことは、対ソードフィッシュの場合でも鋼管フレームやその他の構造物に当たればまず間違いなく起爆してくれるでしょう。しかし羽布にしか当たらなかった場合は抜いちゃう可能性が高いように思います。なおZA1504信管は通常榴弾(非M弾)でも使われました
2017-01-08 20:25:50一方M弾の場合はどうかというと、2cm M-Gesch.o.Zerl(2cm自爆無爆雷弾)のAZ1502信管はこう。安全機構まわりが大分シンプルですが感度調整を頭部の薄板に依る仕組みはAZ1504と同じで、感度も同様に木板10mm。これもやっぱり羽布は抜いちゃいそうです pic.twitter.com/VphgpB9YMc
2017-01-08 20:28:19焼夷榴弾ではなく純焼夷弾での場合。2cm Brgr L'spur o.Zerl(2cm自爆無焼夷曳光弾)ではAZ1528信管を使うのですが、これはちょっと変わってて13mm機銃弾用信管が入っただけのスペーサー様の物。頭部に薄板があるので感度調整はされてる風ですが、実際の感度が不明 pic.twitter.com/sCw13SoLEJ
2017-01-08 20:34:30それでは独軍の航空機銃弾に羽布に対応した信管が無いかといえば、そうでもないようです。MG131用の13mm Brsprgr.L'spur o.Zerl(自爆無曳光焼夷榴弾)はZ1531信管を使うのですが、これの感度はなんと「2mm厚紙」。これなら羽布でも反応してくれるかも……? pic.twitter.com/edTDgOEE22
2017-01-08 20:39:20同一口径の機銃弾では(徹甲弾以外)信管感度を揃えるような傾向が見られるので、独軍13mm機銃弾の信管感度は焼夷弾、榴弾、焼夷榴弾を問わず2mm厚紙相当で設定されてるんじゃないかと思います。ソードフィッシュの燃やして引き裂くにはMG131が最適かも知れません
2017-01-08 20:47:142cm焼夷曳光弾用のAZ1528では13mm機銃弾の113-1452信管(というか単純すぎるので雷管というか……)を組み込んでましたが、その前に金属板を置いて感度調整をしてるので、元の13mm信管より感度は落ちてる筈。たぶんやっぱり他の2cm榴弾と同じく10mm木板相当なのでは
2017-01-08 20:53:14航空機銃はそれとして、では高射機関砲では? これまたよくわからんのですが、例えば2cm Sprgr.L'spur (Flak)(2cm曳光榴弾(高射))のAZ5045はこう。ちとざっくりし過ぎた図ですが実際の構造はMG151/20用AZ1502とほぼ同様なので、感度設定も同等かも pic.twitter.com/FgpYSrDIVo
2017-01-08 20:58:12つまり高射にせよ空対空にせよ、2cm機関砲でソードフィッシュを撃っても信管が羽布に反応せず抜けて効果がないってのは、確率問題で(つまりフレームやリブに当たらない場合)起こりそうです。ただし骨組みは実際多いし、曳光剤が羽布に着火する可能性はあるし、そして13mm機銃弾なら反応しそう
2017-01-08 21:03:03@FHSWman 羽布でも破けるし、そうなったら破壊が進行するはずなんで十分じゃないかなとか思うんですけどね
2017-01-08 21:08:20@sudo_simoigusa そんな気もしないでもありません。抜けた! 無傷! やったぜ! なんて上手く行くかというとハテナですね
2017-01-08 21:17:33