20170701『現代思想』6月臨時増刊号マルクス特集刊行イベント

2017年7月1日(土)に大阪市立大学にて行われた、『現代思想』6月臨時増刊号マルクス特集刊行イベントでの発表内容や質疑応答のまとめです. 記述はマルクス研究会のKさん.的確な仕事で見事です.
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マルクス研究会 @marx_society

今日のイベントに参加したいけども来られないという方も多かったので、可能な限りTwitterで中継報告していきたいと思います。

2017-07-01 12:56:53
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「マルクスと現代思想――負債、民主主義、自然」はじまりました! 最初は斎藤幸平先生から「エコ社会主義の未来について〜マルクスの新人世〜」というタイトルでの発表です。

2017-07-01 15:11:24
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地球温暖化などエコロジー危機の現況は、自然にたいし人間の活動が覆い尽くした人新生(ANTHROPOCENE)の環境危機と言われてきた。生産力を増大させることで環境危機をコントロールできない状態に至って来た。

2017-07-01 15:18:19
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しかし、エコロジー危機の原因を、人新世のように単純に人の活動が自然世界を覆い尽くした、ということに求めては理解できない。利潤生産のために自然が組織されるという資本主義システムの特異性のなかで起こっていることであり、むしろ資本新世と考えて、資本の分析こそが必要である、と。

2017-07-01 15:21:08
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2000年以降のマルクスの精緻な読解は、単なる訓詁学ではないことが強調されました。人間と自然の間の物質代謝という歴史貫通的なものが、資本の論理によってどのように変容されるかということを、すなわち価値生産と自然の無償性の関連を問うマルクスの問題意識をアクチュアルに汲み取ることだと。

2017-07-01 15:25:31
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ナンシー・フレイザーのマルクス批判のように、資本主義が存続する「可能性の条件」としてジェンダーや自然、国家など、色んな要素をふまえて資本主義を批判する必要がある、というのでは、単に色んなファクターを羅列するだけになりかねない。

2017-07-01 15:27:22
マルクス研究会 @marx_society

資本は自然を無視するのだ、という理解では浅い。むしろ、資本は積極的に利潤生産のために自然に異様な関心をもつ。資本が積極的に変容させようとする側面をみなければならない。資本の論理との関連で、その外部の論理を考えなければならない。

2017-07-01 15:29:32
マルクス研究会 @marx_society

資本主義の利潤の限界という、資本主義の危機としてエコロジー危機を考えるだけではなく、グローバルな「修復不可能な亀裂」が起こっていると認識することが重要。資本蓄積の制約vs持続可能な人間の発展という観点が、反資本主義運動と環境運動を結合させ、新自由主義の乗り越えにもつながるだろう。

2017-07-01 15:33:27
マルクス研究会 @marx_society

斎藤幸平先生による発表は以上です。誤字脱字や若干の内容のズレはご了承ください…

2017-07-01 15:34:58
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次は酒井先生の発表です。タイトルは「能力に応じて、必要に応じてーー赤と黒のはざまでのコミュニズムの再々定式化について」

2017-07-01 15:38:31
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最初にグレーバー『負債論』について紹介。とある意味でグレーバーはかなりマルクスの影響を受けていると考えている。グレーバーはクリエイティブなマルクスの読みをしている一人だと。

2017-07-01 15:46:05
マルクス研究会 @marx_society

『ゴータ綱領批判』の「各人はその能力に応じて、各人はその必要に応じて!」という定式について。グレーバーはルイ・ブランから始まるというが、それは間違いで、エチエンヌ・ガブリエル・モレリーの創作であり、それがブランによって広められ、マルクスが再定式化した、という経緯。

2017-07-01 15:50:36
マルクス研究会 @marx_society

マルクスのコミュニズムは、晩年には限定をともなった未来の話であることや、国家所有ではなく協働と連合の連合の管理に置かれているというとはいえ、「(共同)所有」というタームを軸に展開している特徴がある。グレーバーのコミュニズムの特徴は、コミュニズムを所有から切り離すことにある。

2017-07-01 15:53:08
マルクス研究会 @marx_society

補足:グレーバーのコミュニズムの再定式において、もっとも特徴的な概念は「個人主義的コミュニズム」。かれのコミュニズム概念は必ずしも「コミュニティ」とはかかわらない。コミュニズムに濃淡はあれ、どんな社会でも、一対一の関係では必ずこのミニマムなコミュニズムのモラルが働いている。

2017-07-09 17:30:42
マルクス研究会 @marx_society

補足続:あらゆる社会が個人主義的コミュニズムと交錯し、関連してすべての機構を織り上げているのは確実だ。このように考えれば、個人主義的コミュニズムというモラルは資本主義社会にも程度の差はあれ既に存在しているモラルであり、資本主義秩序の外部で一から創造されねばならないモラルではない。

2017-07-09 17:41:03
マルクス研究会 @marx_society

グレーバーいわく、所有というのは形式的な合法性にすぎない、という。コミュニズムの定義を所有から切り離した「各人は能力に応じて、各人は必要に応じて」ものとし、これを基盤的コミュニズムと呼び、程度の違いはあれいかなる社会にも存在するモラルの原理としてのコミュニズムを考える。

2017-07-01 15:55:52
マルクス研究会 @marx_society

グレーバーのコミュニズムの話がもう一つ重要なのは、贈与の話との区別にある。たとえば、モースの「贈与」、ポトラッチはしばしば交換のオルタナティブとして考えられるが、返礼を前提としているうえで交換である。

2017-07-01 16:01:18
マルクス研究会 @marx_society

コミュニズムを基盤的コミュニズムと考えれば、どんな社会にも存在するモラルの原理であるのだから、資本主義を別の社会へと変革しうるモラルは、いまの社会のうちにすでに存在しているモラルなのだと。

2017-07-01 16:04:46
マルクス研究会 @marx_society

革命的過程における知の役割を徹底的な批判を限定したマルクスだと、変革においては根本的にシステムを転換する主体、プロレタリアートが問題になる。いまの社会にすでに弱々しくも存在するモラルを基盤として実践を考える姿勢は、グレーバーから大いに学ぶべきところだろう、と。

2017-07-01 16:08:29
マルクス研究会 @marx_society

補足:こうしたグレーバーの姿勢はモースの影響が大きいだろう。モースは資本主義批判の普遍的なモラル基盤をさぐることに関心をよせ、資本主義に代わりうる制度の形態を、他者の社会のうちにみようとした。

2017-07-09 17:26:57
マルクス研究会 @marx_society

酒井隆史さんからの発表は以上です。なお、書けませんでしたが途中に面白い小話や、まだレジュメには話すことが残っていました。

2017-07-01 16:11:20
マルクス研究会 @marx_society

次は山本圭さんの発表です。タイトルは「傍流の位置から」で、ポスト・マルクス主義の政治理論がテーマです。

2017-07-01 16:12:29
マルクス研究会 @marx_society

最初に、ラクラウ=ムフの紹介に始まり、ポスト・マルクス主義のマルクス主義批判を整理している。階級還元主義批判→経済還元主義批判(政治的なものの自律性)、ヘゲモニー(グラムシ)概念という流れがあり、ポスト・マルクス主義は「政治学批判」としてマルクスを継承したのだろう、と。

2017-07-01 16:15:54
マルクス研究会 @marx_society

ラクラウ=ムフの「社会的なもの」と「政治的なもの」について。それぞれフッサールの「沈殿化」と「再活性化」に対応している。原初的なものは繰り返され制度化されていくうちに「沈殿化」され、「社会的なもの」になり、原初的なものに出会い直す「再活性化」の契機が「政治的なもの」を構成する。

2017-07-01 16:19:13
マルクス研究会 @marx_society

秩序の学としての政治学は「社会的なもの」を考えてきたが、それにたいしポスト・マルクス主義は、秩序化の学であり、その意味で政治学批判であり、「政治的なもの」に焦点を置くことに特徴がある。

2017-07-01 16:20:57
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