Erotic Love ~ side T ~ 透・中学二年/前半

【R18】 小夜子に告白を受け入れてもらった透。夏休みに入り、二人の時間を作って仲を深めてゆく。 女主人公、小夜子 視点の side S はこちら→ https://togetter.com/li/1177854
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まとめ Erotic Love 〜 side T 〜 透・中学一年 【R18】 中学へ進学した透は、初めて会った先輩に一目惚れ。彼にしては積極的なアプローチを始める。 女主人公、小夜子 視点の side S はこちら→ https://togetter.com/li/1101704 6481 pv 30

 

T-12. 進路

夢乃 @iamdreamers

ゴールデンウィークの中日。これから小夜子さんとデートなのに、空は生憎の曇り模様。午後からは雨もぱらつくと天気予報は言っている。行きは兎も角、帰りは雨になりそう。考えた挙句、駅までバスで行くことにした。博物館と美術館を見て回る計画だから、デート中は大丈夫だろう。 #twnovels

2017-05-17 12:17:26
夢乃 @iamdreamers

ボディバッグに折り畳み傘を入れて家を出る。徒歩十五分にバスで十五分、バスの待ち時間も入れると自転車で行くのとあまり変わらない時間で駅に着く。バスから降りると、いつもの場所に小夜子さんが立っていた。いつもと違うのは、側に二人の男がいること。 #twnovels

2017-05-17 12:18:02
夢乃 @iamdreamers

見覚えはない。誰だ? 小夜子さんの嫌がる様子からすると、しつこいナンパ? 僕は駆け足で小夜子さんに近付いた。 「遅くなってごめん。この人たち、知り合い?」 僕に気付いた小夜子さんは首を激しく振った。 「すみません、彼女、僕の連れなので。急ぐので失礼します」 #twnovels

2017-05-17 12:18:51
夢乃 @iamdreamers

言うが早いか、僕は小夜子さんの腕を取って駅の中に向かった。後ろでは「何だよ、外れか」とかなんとか、声が聞こえる。券売機のところまで来て、やっと落ち着いた。実のところ、僕の心臓は早鐘のようにバクバクしていた。後ろをそっと見て、追ってこないことを確認する。 #twnovels

2017-05-17 12:19:19
夢乃 @iamdreamers

それでやっと安心できた。心臓の鼓動はなかなか治らなかったけど。 「遅くなってすみません。小夜子さん、大丈夫でした?」 「うん。でも驚いた。突然話しかけられて。はぁ、まだドキドキしてる。良かった。透君が来てくれて」 そう言って微笑む小夜子さん。 #twnovels

2017-05-17 12:19:43
夢乃 @iamdreamers

可愛い笑顔。良かった。何事もなくて。 ここでようやく、小夜子さんの姿を落ち着いて見ることができた。今日の小夜子さんは、ピンクのブラウスに同じ色のフレアスカートを合わせて、髪は左右を少し纏めるツーサイドアップ。誕生日プレゼントの髪留めも使ってくれている。 #twnovels

2017-05-17 12:20:08
夢乃 @iamdreamers

背中に流れる軽くウェーブのかかった髪は、いつもより長く見える。考えてみれば、おさげにして身体の前に垂らした時に胸まで届いているんだから、これくらいの長さはあって当然かな。 眼鏡をかけていないのも、普段と違って新鮮。 #twnovels

2017-05-17 12:20:30
夢乃 @iamdreamers

「眼鏡、かけていなくて見えます?」 「ええ。裸眼でも0.6くらいはあるから、普通に生活する分には大丈夫。透君はかけてるのといないの、どっちが好き?」 「えっと、かけてない方が好みです。あと、髪も今日みたいな方が。どんな格好でも、小夜子さんは素敵ですけど」 #twnovels

2017-05-17 12:20:54
夢乃 @iamdreamers

「うふ。ありがと。すぐに判った?」 「勿論。小夜子さんなら、どんな格好してても、判りますよ」 「ありがと」 小夜子さんの頬が少し染まっている。きっと、僕の頬も。 「もう、ホームに行きましょうか。電車の時間まで十分はあるけど」 「ええ」 #twnovels

2017-05-17 12:21:18

夢乃 @iamdreamers

午前中は広い公園の中にある県立博物館に入り、お昼御飯は公園の中のファミリーレストランで摂った。雨は大丈夫そうなので、午後は公園内を散策してから美術館に入ることにした。 「小夜子さん、高校はもう決めたんですか?」 お昼御飯を食べながら、聞いてみた。 #twnovels

2017-05-17 12:22:15
夢乃 @iamdreamers

僕も同じ高校を目指したいし。ところが。 「うん。フェアリス女学院」 え。あの、お嬢様学校の。流石にそこは、僕が入る訳にはいかない。 「共学の学校にした方がいいかな・・・それなら透君も一緒のところに行けるし・・・」 #twnovels

2017-05-17 12:22:48
夢乃 @iamdreamers

押し黙ってしまった僕を気にしたのか、小夜子さんが控え目に言った。しまった。これじゃいけない。小夜子さんの恋人失格だな。 「ううん、構わない。小夜子さんの行きたいところに行くのが一番いいと思う。それに、フェアリスなら学校で男に言い寄られる心配はないし」 #twnovels

2017-05-17 12:23:13
夢乃 @iamdreamers

慌てて笑顔を作って冗談交じりに答えた。小夜子さん、笑ってくれた。良かった。 「私に言い寄る人なんていないと思うよ。そんなに綺麗じゃないもの」 「そんなこと言って。今朝のこと、もう忘れました?」 「あ、そんなこともあったね」 昔のことのように言う小夜子さん。 #twnovels

2017-05-17 12:23:44
夢乃 @iamdreamers

言葉が途切れた。 「・・・あの時、透君が来てくれなかったら、どうなるかと思った」 「うん。僕ももっと早くに行けばよかった。遅れてごめん」 「ううん、私が早すぎたんだし。それに、透君、来てくれたもの」 また沈黙。でも、気まずくはない。 #twnovels

2017-05-17 12:24:11
夢乃 @iamdreamers

小夜子さんの微笑みを見つめているだけもこの上なく幸せな気分。レストランの賑やかな喧騒の中、僕と小夜子さんの周りだけ時が止まっているような気がした。 「・・・そろそろ行こっか」 「・・・うん」 僕たちは席を立ってファミリーレストランを後にした。 #twnovels

2017-05-17 12:24:34

夢乃 @iamdreamers

五月下旬。中間試験が終わると三者面談がある。この席で、僕は、あのデートの日以来考え、悩み、出していた結論を初めて他の人に対して口にした。まだ二年だから言う必要があった訳じゃなかったけど、話の流れで。 「城塔高校への進学を目指します」 #twnovels

2017-05-17 12:25:34
夢乃 @iamdreamers

先生はちょっと呆気にとられたようだった。僕の隣の母さんも。それはそうだろう、城塔高校といえば、県内の公立高校の中でも一、二を争う難度の進学校なのだから。僕の今の成績では、『途轍もなく運が良ければ合格できるかもしれない』レベルだ。 #twnovels

2017-05-17 12:25:57
夢乃 @iamdreamers

「いつ決めたの?」 先生より先に、母さんが聞いてきた。 「つい最近」 「並平、この間の進路調査じゃ『未定』じゃなかったか?」 今度は先生。 「はい、あの時はまだ悩んでいましたから」 頭を掻く先生。 #twnovels

2017-05-17 12:26:22
夢乃 @iamdreamers

「ふうむ、入学してから並平の成績は上がってきているから、この調子で三年後半まで上がり続ければ狙えないこともないが・・・」 ちらりと僕と母さんを見て続ける。 「正直、かなりきついぞ。もっと堅実なところを選んだらどうだ?」 「いえ、もう決めましたから」 #twnovels

2017-05-17 12:27:07
夢乃 @iamdreamers

「なんでまたそこにしようと思ったの? 進学校なら他にもあるし、第一、城塔じゃ家から遠いわよ?」 「まだ将来のことなんてわからないけど、学校案内とか見比べて一番選択を広く取れそうな所を選んだつもり。通学のことは受かってから考えるよ」 #twnovels

2017-05-17 12:27:35
夢乃 @iamdreamers

僕は、用意していた建前を話した。勿論、本当の理由は、フェアリス女学院に一番近い公立の進学校だから。でも、それは言えない。 「まあな、これが最終決定じゃないし、高い目標を目指すことは悪いことじゃない。最終結論はどうあれ、今は頑張ってみるか」 「はい」 #twnovels

2017-05-17 12:28:35
夢乃 @iamdreamers

僕は静かに、けれど力強く、頷いた。 「お母さんも、それでよろしいですね?」 「・・・はい」 母さんは、先生ほどは僕の建前に納得していないよう。それでも、首肯してくれた。尤も、先生や両親が納得しようがしまいが、城塔高校を目指すことに変わりはないけれど。 #twnovels

2017-05-17 12:29:06
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