「経済学的な家族ツイート」まとめ その34

定期テスト・文化祭と、立て続けのイベントに目まぐるしい日々を送る息子たち。そん中、この学校で誰も手をつけてこなかった「イジメ問題」を知ることになる。果たして、息子たちは解決不可能とされてきた問題に終止符を打つ事ができるのか。シリーズ第34弾公開!
0
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な特命調査4:息子「うーん」腕を組んで考える息子たち。生徒会室のホワイトボードにはここまでの聞き取り調査の記録が書き出されていた。息子「みんなそろってこの企画に肯定的だけど、正直・・・」文化委員「一部の人間に仕事を押し付けているようにしか見えない」生徒会役員たち「それ!」

2018-01-03 22:56:25
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な特命調査5:美化委員「みんな何だか口裏を合わせてるような感じだったよね。誰に聞いてもイマイチ要領を得ないような。」保健委員「まあ、あまりクラス運営に口出しをするべきではないかもしれないが・・・」美化委員「何?じゃあ、これで生徒会としてはOK出しちゃってもいいってこと?」

2018-01-03 22:59:19
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な特命調査6:そのとき、生徒会室のドアをノックするべきでは音が響いた。ドアに全員の目線が集中する。息子「どうぞ」ドアが開くと、小柄な女子生徒が姿を見せた。女子生徒「あっ、あの・・・」上目遣いに生徒会メンバー達を見回す。女子生徒「ちょっとご相談したいことが・・・」

2018-01-03 23:02:43
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な特命調査7:女子生徒「特進クラスの企画書の件なんですけど、あれはクラスできちんと話し合われて出た結論ではないんです。」美化委員「どういうこと?」女子生徒はうつむきながらゆっくりと語り出す。「特進クラスは、他のクラスよりもテストの点数に対するプレッシャーが強いです。」

2018-01-03 23:07:55
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な特命調査8:女子生徒「だから、勉強と直接関係ないことには極力時間を割きたくないと思ってる人もたくさんいます。だから文化祭が開催されるとき、『ピアノを弾けばいいんじゃない?』と誰ともなく言い出して、そのまま空気が出来上がっちゃったんです。」

2018-01-03 23:11:57
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な特命調査9:女子生徒「それだけじゃありません。彼は掃除当番や、日直や、その他のクラスの雑用をことごとく押し付けられてるんです。その度合いが余りにも酷いから、私もその人たちに注意したり、先生に訴えたりもしたんですけど、誰も動いてくれなくて・・・」

2018-01-03 23:15:41
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な特命調査10:女子生徒「彼とは小学校の時からの幼なじみで、何とかしたいと思ってたんですけど、何も力になれなくて・・・。彼が押し付けられた仕事を影で手伝おうかなと思って声をかけたら、『心配するな。それよりお前まで目をつけられたら大変だから』って・・・」

2018-01-03 23:18:14
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な特命調査11:話すにつれて、女子生徒の目に涙が溢れてくる。女子生徒「ずっと仲が良かったのに、何だか蚊帳の外にいる感じで、どうしたらいいか分からなくて・・・」美化委員が女子生徒をギュッと抱きしめる。美化委員「もういいよ、分かった。分かったから・・・」

2018-01-03 23:21:24
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な特命調査12:女子生徒「クラスのみんなに話を聞いてるところを見て、もしかしたら何か動いてくれるかも、と思ってたんです。特進クラスはずっとメンバーが変わらないまま、中学の三年間を過ごさないといけません。このままだと彼は・・・。お願いします!彼を、助けてあげてください・・・」

2018-01-03 23:24:49
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な特命調査13:女子生徒が去り、重苦しい空気になる生徒会室。 美化委員「変だとは思ったけど、まさかこんな背景があったなんて・・・」 文化委員「担任たちにも話したけど、って言ってたよな。つまり、教師達はこの状態を知ってて放置してる訳か?」

2018-01-03 23:32:11
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な特命調査14:体育委員「どうする?生徒会長。うちら生徒会にできることは何かないか?」 息子「・・・少し、考えさせてくれ。」 自宅でデスクに向かいながら考え事をする息子。そこへ風呂上がりの父親がビール片手にやって来る。 父「どうした?難しそうな顔して」

2018-01-03 23:37:25
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な特命調査15:息子「ちょっと文化祭で問題になってることがあってね。対策を考えてたんだ。」 父「ほお、それでさっきから腕組みして考えてたって訳か。しかし、それはマズイな。」 息子「何が?」 父「解決法の考え方がだよ。さっきからずっと自分の頭だけで考えてるだろ?」

2018-01-03 23:40:07
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な特命調査16:父はソファに腰掛けて缶ビールを開ける。 父「じっと腕を組んで考えても結論が出ないということは、『今ある材料だけでは解決不能な状態』ということだ。新しく外から情報を仕入れたり、行動を起こさないと事態は前に進まんぞ。」 ビールを飲み干すと身を乗り出す。

2018-01-03 23:44:13
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な特命調査17:父「で、その悩みってのは何なんだ?」 息子は今日起きたことを一通り話す。 父「・・・なるほど。仕事の押し付けねぇ。」 息子「クラスメイトも担任も非協力的で、正直どうしたらいいか全く見えてこないんだ。」 父「息子よ、お前は一つ大事なことを見落としているぞ」

2018-01-03 23:48:09
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な特命調査18:息子「え?どういうこと?」 父「この件、そのピアノ少年はどう思ってるんだ?」 息子「!」 父「この問題では仕事を押し付けられてるピアノ少年と、押し付けているクラスメイトの間の均衡点を探さなくてはいけない。だったら双方の言い分をまず揃えないとダメじゃないか?」

2018-01-03 23:51:50
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な特命調査19:父「ただし、注意しなくちゃいけないのは、あくまでそのピアノ少年の『本音』を聴くことだ。幼なじみちゃんへの言葉みたいに、周りの圧力に気圧された意見じゃあダメだからな。」 息子「でも、面識のない彼から本音をどうやってら引き出せば・・・」

2018-01-03 23:56:55
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な特命調査20:父「そこから先は自分で考えてくれ。」 息子「えっ!」 父「正直、相手から信頼を得て本音を引き出すのに絶対的な方程式はない。その子たちと実際に会えるお前の方がより回答に近いはずだ。」 息子「・・・分かった。やってみるよ。」

2018-01-04 00:04:43
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な特命調査21:市営のコンサートホールにて、ピアノ少年はコンクールの舞台に上がり、ピアノを奏でていた。少年が演奏を終わると、会場は拍手に包まれた。 控え室を出て歩くピアノ少年。すると、目の前に人影が現れた。 幼なじみ「お疲れ様」 ピアノ少年「ああ、来てたのか。」

2018-01-04 00:10:12
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な特命調査22:幼なじみ「演奏、凄い良かったよ。」 ピアノ少年「ありがとう。」 ピアノ少年は幼なじみの後方に目をやる。 ピアノ少年「・・・そちらの方々は?」 息子と美化委員が会釈をする。 息子「生徒会長の◯◯です。ちょっとお聞きしたいことがあるんですが、いいですか?」

2018-01-04 00:14:31
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な特命調査23:喫茶店で向かい合わせに座る息子たち。 ピアノ少年「で、俺がどうして欲しいか聞きたいって訳ですか・・・」 幼なじみ「ここの生徒会の人たちは私の話を凄く親身になって聞いてくれたの。だから、◯◯くんも希望を話せば・・・」 ピアノ少年「信用できないね」

2018-01-04 00:20:06
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な特命調査24:息子たち「!」 ピアノ少年「今までだって、教師たちはこちらの訴えをに対して何もできてなかったんだ。何度もクラス会を開いて話し合ったけど、具体的な対策はなくて、結局は注意だけで終わった。そして、時間が経つとまたぶり返す。喉元過ぎれば熱さを忘れる、ってやつだ。」

2018-01-04 00:25:31
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な特命調査25:ピアノ少年「そりゃあそうだよな。特進クラスはうちの学校の看板だから。成績が上がるならクラス内に生贄は必要だろうって判断なんだろ。クラスメイトだって、しんどい体育の授業をピアノのために休んでる自分のことを疎ましく思ってるはずなんだ。」

2018-01-04 00:29:34
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な特命調査26:ピアノ少年「でも、自分はピアノからは離れられない。親の期待を背負って、毎日何時間も練習して、ようやくここまで来たんだ。今ここで諦めたら、せっかくの夢が途絶えてしまうし、親を悲しませることになる。だから、学校では生贄のままで三年間を終えても・・・」

2018-01-04 00:33:12
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な特命調査27:幼なじみ「やめて!」 ピアノ少年の腕を掴む幼なじみ。目には大粒の涙が溢れていた。 幼なじみ「何でそんな風に一人で背負いこむの?私だって頼ってくれればいいじゃん。クラスメイトだし幼なじみじゃない。特進クラスに入ってから、ずっと辛そうな顔してたじゃん。」

2018-01-04 00:36:42
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な特命調査28:ピアノ少年「ごめん。でも、お前にまで迷惑かけたくなくて・・・」 幼なじみは目を見開き、とうとう涙が頬を伝い出した。 幼なじみ「なんで?なんでなの・・・」顔を覆って泣き始めた。それを介抱しながら美化委員が一緒に席を立つ。 二人残された息子とピアノ少年。

2018-01-04 00:41:15