ジルベール・シモンドン『個体化の哲学』読書メモ集

ジルベール・シモンドン『個体化の哲学――形相と情報の概念を手がかりに』(法政大学出版局、藤井千佳世監訳、2018)の読書メモをまとめました。Gilbert Simondon, L'individuation à la lumière des notions de forme et d'information.
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荒木優太 @arishima_takeo

形相と質料の区別は、おそらく牧人や農民の技術から帰結するのではなく、むしろ陶器職人や粘土からレンガを作る職人のような特定の職人の操作から帰結している。byシモンドン『個体化の哲学』67p

2018-07-15 19:38:43
荒木優太 @arishima_takeo

全体を再構成する可能性は、歓待の一部なのではなくて、歓待の表現なのである。この可能性こそが記号である。byシモンドン『個体化の哲学』82p

2018-07-15 20:09:13
荒木優太 @arishima_takeo

シモンドン。オリジナル版と1964年版の異同がときどき挟み込まれているけど、64版では哲学者の固有名や哲学史との連絡がだいたい削がれている気がする。

2018-07-16 13:26:03
荒木優太 @arishima_takeo

「エピクテトスは『提要』において、船乗りが島を少しのあいだ散策していて出会ったヒヤシンスの球根を偶然採取することと、家族関係とを比較している」(シモンドン『個体化の哲学』148p)。なんか寺田寅彦も似たようなこと書いてなかったっけ。

2018-07-16 15:29:16
荒木優太 @arishima_takeo

科学的思考は差異に基礎づけられた分類によってなされる純粋な帰納ではない。しかしそれはまたきわめて高くつく同一化でもない。それはむしろ、外延と内包の共通基準である、ある測定に従ってリアルなものを配分することなのである。byシモンドン『個体化の哲学』163p

2018-07-16 15:46:35
荒木優太 @arishima_takeo

「波と粒子の相補的概念の「総合」が、実のところ純粋に論理的な総合ではなく、帰納から得られた概念と演繹で得られた概念との認識論上の出会いである」(シモンドン『個体化の哲学』167p)。波かつ粒は弁証法的総合ではなく、「思考の転導的運動」による「関係」。メモ。

2018-07-16 18:03:22
荒木優太 @arishima_takeo

「厳密な転導によって得られた関係は、項同士を特徴づける非対称性を維持する」(シモンドン『個体化の哲学』167p)。「と」(and)による結びつきだね。

2018-07-16 18:05:28
荒木優太 @arishima_takeo

「ギリシア人とラテン系民族は、われわれフランス人のようには可視光スペクトルを切り分けない」(シモンドン)。へぇー。

2018-07-17 16:21:11
荒木優太 @arishima_takeo

プラグマティズムは、存在の基準となる活動の顕現にのみ定位しようとする。これは、操作から区別された存在、つまり内部性があることを想定することであり、行動の外部化がこの内部性を顕わにすることでそれを権威づけ、また表現するのである。byシモンドン『個体化の哲学』197p

2018-07-17 17:10:31
荒木優太 @arishima_takeo

個体は〈存在かつ関係〉である。つまり個体は活動の中心であるが、この活動は転導的なのである。byシモンドン『個体化の哲学』225p

2018-07-18 16:54:00
荒木優太 @arishima_takeo

絶対的非決定論(完全な内的共鳴によって実現される)あるいは、絶対的決定論(クロノロジーとトポロジーのあいだの完全な独立性によって実現される)について語ることができるのはただ抽象においてのみである。byシモンドン『個体化の哲学』235p

2018-07-18 17:08:55
荒木優太 @arishima_takeo

個体はその下に広がる前個体的リアリティーから始まる個体化の途上にある。完全な個体、全体として個体化し、実体的でそのポテンシャルが貧しくか空になった個体というものは、抽象である。byシモンドン『個体化の哲学』236p

2018-07-18 17:13:06
荒木優太 @arishima_takeo

シモンドンがいう前個体的なクロノロジーとトポロジーは、スティグレールがいう暦と地図に対応しているようにみえる。メモ。

2018-07-18 17:16:52
荒木優太 @arishima_takeo

シモンドンは個体化から個体を考えるという主題のもと(個体から、ではなく!)、物理ー生物ー心ー集団(社会)の個体化を連続的に読み込む。が、おそらく、前個体的なものとは、この諸スケールの一つ前のもの単に指すではないのでは。心的と生物的/集団的の二つの前はどう考えればいいのか。メモ。

2018-07-18 17:27:26
荒木優太 @arishima_takeo

個体化論からするとタナトス(フロイト)はどう処理されるのだろう。逆個体化なんだろうか。

2018-07-18 17:28:34
荒木優太 @arishima_takeo

シモンドン第一部読了。振り子がポテエネもってて…って話はまだ分かるんだが、粒子がどうとか波がどうとか、物理学のかなり専門的なところはお手上げだな(でも234頁あたりでまた面白くなってくるから我慢するといいぞ)。

2018-07-18 17:41:30
荒木優太 @arishima_takeo

「新書よりも論文を読め106」を更新しました。今日取り上げたのは、堀江郁智「ジルベール・シモンドンとジル・ドゥルーズの「特異性」の概念――「情報」の形而上学的な問い直しのために」(『東京大学大学院情報学環紀要』、2015)です。シモンドン強化月間ということで。youtube.com/watch?v=PD3iu7…

2018-07-19 12:41:39
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荒木優太 @arishima_takeo

堀江郁智「ジルベール・シモンドンとジル・ドゥルーズの「特異性」の概念――「情報」の形而上学的な問い直しのために」、『東京大学大学院情報学環紀要』、2015。これはウェブで読めるよ。repository-old.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/dspace/handle/…

2018-07-19 12:43:55
荒木優太 @arishima_takeo

質は元来転導的である。なぜならあらゆる質的スペクトルは、互いに同一性はないが無縁でもない諸項を結びつけ、区別するからである。シモンドン『個体化の哲学』259p

2018-07-19 15:26:04
荒木優太 @arishima_takeo

個体は一つの存在ではなく一つの作用である。byシモンドン『個体化の哲学』308p

2018-07-22 17:32:27
荒木優太 @arishima_takeo

個体性の境界を画定するのは求心性とそれに次ぐ遠心性の上方の反復である。その境界は本来機能的であるが、解剖学的でもありうる。というのも、解剖学的境界は情報に臨界的な遅延をもたらすからである。byシモンドン『個体化の哲学』312p

2018-07-22 17:37:35
荒木優太 @arishima_takeo

個体化は生命のリアリティーであるというだけに留まらない。厳密な意味で、個体化は、いわば、緊急の解であり、暫定的で劇的である。しかし、他方で、個体化は直接的にネオテニー化の過程と結びついているので、個体化は進化の根本である。byシモンドン『個体化の哲学』349p

2018-07-24 17:09:27
荒木優太 @arishima_takeo

「分化とは、構造化であり、機能的な特殊化でもある」(シモンドン『個体化の哲学』351p)。これ技術論でも使われる発想だね。

2018-07-24 17:14:55
荒木優太 @arishima_takeo

おそらくこれも。超が欠けている。 pic.twitter.com/LbIzJeUppp

2018-07-26 16:05:25
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