ジルベール・シモンドン『個体化の哲学』読書メモ集

ジルベール・シモンドン『個体化の哲学――形相と情報の概念を手がかりに』(法政大学出版局、藤井千佳世監訳、2018)の読書メモをまとめました。Gilbert Simondon, L'individuation à la lumière des notions de forme et d'information.
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荒木優太 @arishima_takeo

「たとえばタバコモザイクウィルスがそうである」(シモンドン『個体化の哲学』376p)。禁煙ファシズム感があるネーミング。

2018-07-25 15:46:20
荒木優太 @arishima_takeo

シモンドン。何度か個体化と寿命の問題を切り離そうとしている。ここは個体化から個体を考えるというプロジェクトにとって特徴的なのでは。個体はしばしば可死性でしばしば定義されるから。メモ。

2018-07-25 16:02:00
荒木優太 @arishima_takeo

「完全に丸い、あるいは完全に卵形の顔は、幾何学的なよい形を体現しているが、生気を欠いているだろう。このような顔は、それを知覚する主体にとっては、冷たく感じられるだろう」(シモンドン『個体化の哲学』395p)。準安定性が精彩な表情=歪みを与える。

2018-07-25 16:11:06
荒木優太 @arishima_takeo

ポテンシャルのない単なる異質性は生成を促進することができない。花崗岩は、石英、長石、雲母という異質の要素からなるが、準安定的ではない。byシモンドン『個体化の哲学』399p

2018-07-25 16:17:51
荒木優太 @arishima_takeo

個体は死ぬことで、反‐個体となり、符合を変えるが、なお個体的である不在という形での存在において永続する。世界は、現実に生きるリアルな個体からなるとともに、また「個体性の穴」からもなっている。byシモンドン『個体化の哲学』407p

2018-07-25 16:41:59
荒木優太 @arishima_takeo

死者に敵意があるように見えるのは、死者が死者としてではなく、過去の生者として見捨てられたときであり、過去の生者を永続させることは、後世のものに託されている。byシモンドン『個体化の哲学』408p

2018-07-25 16:44:16
荒木優太 @arishima_takeo

感情的なものは、主体において、その場の出会いとその時の情動の前兆であり反響であり、それは行為の前兆であり反響である。byシモンドン『個体化の哲学』412p

2018-07-26 13:53:00
荒木優太 @arishima_takeo

「不安とは、他の主体がいないと不可能な超個体的な個体化を、主体ではない存在との交換に置き換えようとする一種の試みである」(シモンドン『個体化の哲学』420p)。他の情感と違って不安は特別なものらしい。前個体的なものへの飲み込まれ。

2018-07-26 14:00:44
荒木優太 @arishima_takeo

「誘惑とは、自分の努力と緊張が弛緩していき、思考と行為がより低いレベルに転落するだろうと存在が感じるときに、生まれる可能性がある二重人格なのである」(シモンドン『個体化の哲学』468p)。この話好きだよなー。

2018-07-27 14:05:09
荒木優太 @arishima_takeo

身体は過去であり、そして純粋な未来である。精神は近接の過去と近接の未来を一致させる。それは現在にある。精神は存在の現在であり、身体は存在の未来と過去である。現在が、その現在から広がる未来と過去の間にあるように、精神は身体の中にある。byシモンドン『個体化の哲学』475p

2018-07-27 14:15:12
荒木優太 @arishima_takeo

現在は、未来の場とネットワーク状の過去の点の間の転導である。現在を通して、また現在によって、未来の場は網状に組織される。byシモンドン『個体化の哲学』476p

2018-07-27 14:20:12
荒木優太 @arishima_takeo

「フロイトが第一次世界大戦後彼の学説を再考して修正し、試みたように、快の原則と、死の本能の原則と言う二つの原則の間で存在を分割することもできない」(シモンドン『個体化の哲学』509p)。以前メモってた疑問がぶった切られていた。

2018-07-27 16:46:53
荒木優太 @arishima_takeo

「情報は形相と質料の系ではなく、形相と形相の系なのである」(シモンドン『個体化の哲学』514p)。簡潔な説明ありがとうございます。

2018-07-27 18:35:56
荒木優太 @arishima_takeo

「観想的な徳は商人と気のふれた人をとりわけ必要とする」(シモンドン『個体化の哲学』549p)。ウケる。

2018-07-27 19:49:16
荒木優太 @arishima_takeo

シモンドン。最後になって個体化の倫理学とでもいえる話に至って、ま、興味深いわけだが、要するに二極化しがちな規範(カント主義と功利主義/義務論とプラグマティズム/観想と実践)のなかで揺れ動くことができるのが、個体化倫理(倫理のメタ安定性)である、みたいな感じだろうか?

2018-07-27 19:58:38
荒木優太 @arishima_takeo

情報がある限り倫理がある。ここでいう情報とは、諸々の存在の要素の網膜像差を乗り越える意味作用のことであり、内部であるものがまた外部であるようにするものである。byシモンドン『個体化の哲学』555p

2018-07-27 20:00:30
荒木優太 @arishima_takeo

「リアリティの閉ざされた領域、切り離された特異性である絶対的個体の生成を拒否しながら、主体が主体であり続けようにさせるもの、倫理とはそのようなものである」(シモンドン『個体化の哲学』559p)。これ、要は【今の自分絶対化させないまま、でも自分のケツは自分で拭くといいよ】ってこと?

2018-07-27 20:08:18
荒木優太 @arishima_takeo

シモンドンにとってresolutionの対義語はproblematique。メモ。

2018-07-27 20:13:26
荒木優太 @arishima_takeo

シモンドン『個体化の哲学』読了。面白かった。物理学のとこがキツかったけど、でもそこさえ超えちゃえば全然イケる。少なくとも『差異と反復』よりは何いってるか分かる。しかし、コレにしろ差復にしろ、こういうのを博士論文として認めちゃうってのがフランスのアカデミズムのワンダーなとこだよね。

2018-07-27 20:17:39
荒木優太 @arishima_takeo

物理学とか生物学とか情報技術論満載の哲学論文とか出されたら、日本の大学ってどうするんだろうね。こういうの読むと、本職の方はまあ嫌がるだろうけど、ある哲学者の思想の細々した解釈に偏りがちって指摘も分からいじゃないね(別に文句もないからdisってないよ)。

2018-07-27 20:23:34
荒木優太 @arishima_takeo

「専門は〇〇(哲学者固有名)です」みたいな話ね。

2018-07-27 20:24:48
荒木優太 @arishima_takeo

日本だとペギオさんとかは割とシモンドンっぽいことやってるのかなとか思うけど、どうなんだろうね。いや、彼の博論ってどんなんだったかよく知らんけど。

2018-07-27 20:26:29
荒木優太 @arishima_takeo

あと、分からなかったんだけど、個体ではなく個体化を考えるべきだから項(terme)の前提を排しましょう、ってのは分かるんだけど、転導性って二項のあいだじゃないと発生しない(?)んだから、仮にでも項って必要なんじゃないかと思うんですけど、どうなんでしょう。

2018-07-27 20:29:47
荒木優太 @arishima_takeo

もしかして、極性って項に代わる話だったりするの?

2018-07-27 20:32:23
荒木優太 @arishima_takeo

たとえば、信号はただちに情報にはならなくって、右目と左目、異なる角度からの信号(網膜像差)の統合によって像が結ばれる(=情報になる)わけでしょ。

2018-07-27 20:36:53