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「登極」「践祚」「戴冠」「君臣契約」‥‥世界や時代で異なる、君主の即位で重要な儀式について

高御座が京都から東京に輸送されたことを契機に。そういえば「王冠をかぶる」というのは、西洋のおとぎ話が映像化されることが多いせいで一般的ですけど、それほど世界共通ではないですよね。いろいろな儀式や象徴の品が、時代や地域ごとにあるようです。もんけさんのツイートより。
もんけ 民俗学 王座 王権 歴史 西洋史 東洋史 皇室 天皇
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とも@桜月夜/SORA💛💙6💎4D×2 @tomochi0510
高御座のトラック輸送完了されたそうで。 pic.twitter.com/7dwa2JiAZw
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もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh

主にモンゴル帝国史や中世のイスラーム史等。日本や中国、欧州の中世史なんかも。 大凡歴史関係の話しはこちらで

もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
そういえばどなただったか、「日本で戴冠式は…」的な事を仰ってた方が居られたと思うが、恐らく、「戴冠」という行為が即位と同義語として扱われているのはユーラシア世界では欧州だけの伝統だと思う。 日本でも中国でもイスラーム世界でも、「即位」と「冠を戴く」事それ自体とは直接は繋がらない。
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
特に日本の場合が分かり易いけど、「衣冠束帯」と言うように、律令時代以降江戸時代に至るまで、「冠」は基本は(朝廷に出仕出来るような一族の)成人男性の証しであって、「冠」を被っているのは天皇のみならず皇親、人臣等朝廷に出仕する全員が「被冠」状態で、天皇や皇親等に特別なものではなかった。
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
「戴冠」というか「加冠」と言った場合、「冠をかぶる」事それ自体は即位云々とは全然関係なく、「加冠」=「成人の儀式」であって国王や天皇に特別に授けられるような種類ではなかった。朝廷に出仕出来る人物は(幼帝でも無い限りは)上下親疎に関わらず全員「加冠」済みという感じだった。
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
「即位」に類する語彙が「登位」だったり「登極」や「踐祚」と言ったりするが、「その地位に登る、その場所を占める」的な意味合いが用いられており、「冠」そのものはまず語彙として出て来ない。つまり、欧州における throne にあたる単語で表現されるのが一般的だった。
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
>日本においても太極殿や紫宸殿に置かれた高御座(たかみくら)で即位式を行うのが基本的に必須だった訳だが、そこら辺のニュアンスを思い起こされると分かり易いだろうか
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
実はイスラーム社会というか、(少なくともイスラーム時代以降の)アラブ世界やイラン世界においても事情は似たり寄ったりな感じで、一応「王冠( تاج tāj)」という単語はあるのだが、即位そのものには余り関係がない。>ぶっちゃけ、即位した後のせいぜいが「君主の威信アイテム」の一つに過ぎない
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
イスラーム社会での「即位」に関わる表現は、大きく分けると 1)「(君臣間で即位の)契約が結ばれる」 2)「(即位にあたって受け継ぐべき)場所を占める」 の2種類がある感じだった。
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
ムスリム君主の場合、その権力や地位については預言者性(権) نُبوّة nubuwwa/nubūwa 、カリフ権 خلافة khilāfa やイマーム権 إمامة imāma、スルタン権 سلطنة salṭana、アミール権 إمارة imāra、王権 مُلك mulk、統治・監督権 ولاية wilāya、君主・帝王権 پادشاهى pādshāhi 等々の単語が用いられるが、
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
その地位を襲う時、即位する場合、君臣間で未来の君主に対してお互いがその即位を認め合う事を表明する「バイア契約」が結ばれた。 そのため、歴史書でカリフやスルタン達、アミール達がその地位に就く時は、「(彼への)バイアが行われた」とか「(バイア)契約が結ばれた」的な表現がされた
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
バイア契約( بيعة bay`a)の儀式次第は、合意の証しとして列席者全員が手を打ち合わしたり君主と列席者個々人に対して握手したり色々あるそうだが、ともかく、そのバイア契約が結ばれた証しとして、金曜礼拝にて説教・フトバにおける平安の祈禱中で君主の名前が読み上げられたり、
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
貨幣(ディーナール金貨やディルハム銀貨等)の銘文に君主の名前が刻まれたりするが、基本は即位にあたって君臣間でバイア契約が結ばれた事に全て依拠する。 単に「契約( عهد `ahd)がされた」的な表現も歴史書では極々一般的に見られるが、
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
「バイアの契約( عهد بيعة `ahd-i bay`a)がされた」と分かり易く表現される事も割と良く見られる。この「契約」という単語が「(君主の)治世」とほぼ同じような意味でも使われていたようだが、「帝王の契約( عهد پادشاهى `ahd-i pādshāhī)がされた」的な表現も割と普通に見られ、
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
意味する所は「帝王としての(バイア)契約がされた」的な感じだろうか。 君主が勝手に即位した訳ではなく、君主本人とそれを支える臣下達が彼を君主となさしめている、というニュアンスが潜んでいると見て間違いない。 (そして多分そこには、神が彼に統治する権能を授けているというニュアンスもある)
OOEDO @OOEDO4
「バイア」ってイスラム国ISが隆盛のとき、各地のテロリストがISの自称カリフにバイアした、って報道がありましたね。http://news.liv.. togetter.com/li/1270873#c54… 「「登極」「践祚」「戴冠」「君臣契約」‥‥世界や時代で異なる、君主の即位で重要..」togetter.com/li/1270873 にコメントしました。

http://news.livedoor.com/article/detail/13292708/

6月16日、ロシア国防省は空爆によりISの指導者アブ・バクル・アル=バグダディを殺害した可能性があると発表した。これはいったいどんな意味を持つのか?

中東の事情に詳しい国際ジャーナリストの河合洋一郎氏はこう解説する。

ISの国家樹立宣言の際、カリフ・イブラヒムを名乗ったバグダディは、すべてのスンニ派イスラム教徒にバイア(臣従の誓い)を立てることを要求し、世界の多くのジハード組織がそれにならいました。バイアはカリフとの間に交わされる誓いですから、もしバグダディの死が事実なら、新たなカリフがいなければISは組織的に立ち行かなくなってしまいます。

かつてアフガニスタンの反政府勢力タリバンが、総帥であるオマル師の死を二年間隠したことで求心力を失ったことを考えても、ISは二代目カリフの“襲名”をきちんとやろうと考えるはずです」

もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
>2)「(即位にあたって受け継ぐべき)場所を占める」 そして、「即位」を意味する二つ目の表現は (その地位の"場所"に)「立つ」あるいは「座る」といったもので、特にペルシア語の場合は「(玉座に)座る」で表現するのがより一般的だった。 twitter.com/mongkeke_tarik…
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
君主やカリフ等の「世継ぎ」とか「皇太子」と言った場合、 アラビア語では ولي العهد walī al-`ahd とか قائم المقام qā'im al-maqām 等と表現した。 >サウジアラビアでは現在でも用いられている
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
前者「ワリー・アル=アフド」が「(来たるべきバイア契約の、もしくは次代のバイア契約を約束された)契約(アフド)の保持者、持ち主(ワリー)」という意味なのに対して、 後者の「カーイム・アル=マカーム」は「(立つべき)立場所(マカーム)に立つ人物(カーイム)」という、屋上置くを重ねるような表現だがw
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
「カーイム」も「マカーム」も「立つ」 قام qāma という極めて一般的な動詞に由来する語彙・表現だ。 どういうニュアンスかというと、礼拝の時に信徒集団の「先頭に立って」、信徒集団を先導する感じになろうか(或いは隊商や戦列の先頭でも良いけど)。
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
そういった「信徒集団のリーダーとして先導すべき"場所"に立つ」という含意がある単語と見て大過ないように思う。
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
一方で、ペルシア語の場合、(「アフド」系「カーイム」系、「〜になる」系以外だと) 「玉座の上に座る(座らせられる)」بر تخت پادشاهى نشستند bar takht-i pādshāhī nishastand 「帝王の地位(場所)に座る(座らせられる)」بر جاى پادشاهى نشستند bar jā-yi pādshāhī nishastand 等といった表現がされる
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
>玉座の上に座る なかなか良い画像が見付からず集史パリ本のチンギスカン即位場面だけを上げるが、つまりはこういう感じになる(^^; >自分が朱線を引いた部分は「(チンギスカンは)福徳によりて、玉座の上に座った(即位した)」( بمباركى بر تخت نشست bi-mubaraki "bar takht nishast")とある pic.twitter.com/Q1KvOX71Tp
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もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
総じて、アラビア語では「立つ所」、ペルシア語では「座る所」と違いはあるが、「(ある特定の)場所を占める」という事では共通しており、ペルシア語の表現は「(座るべき)場所の上に座る」というニュアンスがあり、漢語でのいくつかの表現とも共通している。>ここは欧米での throne の発想とも同じ
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コメント

ろんどん @lawtomol 2018年9月27日
プロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム4世が、議会からの皇帝贈位を拒否したとかいう話を思い出した
文里 @wenly_m 2018年9月27日
日本の場合、皇位が継承される象徴の儀式は即位礼ではなく「剣璽等承継の儀」だからなぁ。まとめの中でもあるように、皇位の象徴が冠ではなく「三種の神器」だから。
はよ @hayohater 2018年9月27日
ベルギー国王の正式な言い方は「ベルギー国民の王」だっけか。
さとうあきひろ @akihirosato1975 2018年9月27日
途中「今日項羽が〜」の下りで「なぜ項羽がカール大帝に戴冠させる?」と本気で悩み、「今日項羽」が「教皇」の打ち間違いであることに気づくまで数分かかったのは私です
はよ @hayohater 2018年9月27日
オランダの即位の映像をみたけど、新国王に国会議員が一人一人宣誓をしてたね。言葉が分からなかったんだけど、2通りの言い方してた。あとで調べたら、主を絡めた言い方と、あくまで王に対して契約するって言い方だったようだ。 https://is.gd/2hEsTP あとは「憲法に忠誠を誓ってるんであって国王に対してではない」って理由で欠席した議員もいたとか
OOEDO @OOEDO4 2018年9月27日
「バイア」ってイスラム国ISが隆盛のとき、各地のテロリストがISの自称カリフにバイアした、って報道がありましたね。http://news.livedoor.com/article/detail/13292708/
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