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2011年5月1日

リスク評価・リスク管理における社会経済的視点の重要性

リスク評価リスク管理について、GMOや風評被害を巡るあれこれを例にした @hirakawah さんによる連続ツイート。
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Hideyuki Hirakawa @hirakawah

さきほど入浴中に思ったこと。これまでリスク管理の世界では人の健康や環境に対する生物学的影響にもっぱら焦点が当てられ、社会的な影響は度外視される傾向があった。たとえば遺伝子組換え生物(GMO)の国境移動に伴う生物多様性影響を規制する生物多様性条約カルタヘナ議定書というのがあるが・・

2011-05-01 02:50:21
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

(続)議定書で各国に義務付けられてるリスク評価・リスク管理の対象は生物多様性に対する影響のみで、とくに途上国が主張していた「社会経済的影響」は、義務ではなく輸入国側が「できる(やってもよい)」ということだけが第26条で定められている。交渉初期には8箇条あったのが削られたのだ。

2011-05-01 02:55:44
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

(続)社会経済的影響をリスク評価・管理の対象から外すことを主張したのは先進国・GM輸出国・産業界。根拠としては、例えば「リスク評価の基準は、調和した手続きに基づくものであり、社会経済的考慮を含めることは、そのプロセスを堕落させてしまう」ということが言われた(交渉の議事録より)。

2011-05-01 02:58:05
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

(続)また日本の社団法人農林水産先端技術産業振興センターが、1999年の特別締約国会議に向けて農林水産省・通産省(当時)・外務省に提出した「生物多様性条約バイオセイフティ議定書に関する意見書」でも次のように言われている。「社会経済的考慮に関する条項については・・・

2011-05-01 02:59:29
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

(続)「社会経済的考慮に関する条項については、その影響が国の状況によって異なり、客観的な尺度により評価することができないことから、本議定書に規定しないこと。」これらは、よくよく考えると、「科学的とは何か」に関してかなり奇妙な論理なのだが、とにかくそういう理屈が持ち出された。

2011-05-01 03:01:02
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

(続)同じようなすれ違いは、議定書交渉以外の場でもよく見られている。農水省が2000年に開いた「遺伝子組換え農作物を考えるコンセンサス会議」という市民参加のテクノロジーアセスメントの会議もその一つ。

2011-05-01 03:03:08
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

(続)コンセンサス会議は4回ほどの週末を使って開催される。会議で対象となっている技術を評価するのは、公募で選ばれた一般市民(市民パネル)。評価に当たって市民パネルは、専門家に聞いてみたい「鍵となる質問」というリストを作る。これに基づいて回答者の専門家が後日集められる。

2011-05-01 03:05:55
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

(続)そして、その専門家たちが集められた会合でのこと。社会科学系の専門家がGM作物を栽培したときの(主に途上国での)農業経済や貧富格差問題をもGM作物のリスクに含めるべきだと主張したのに対し、理系の専門家は「それらはGM技術そのもののリスクではない」として除外することを主張。

2011-05-01 03:08:49
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

(続)これに対し社会科学者は、「『技術そのもの』という想定自体が非現実的。技術はすべて何らかの社会関係の中で機能するのであり、そこまで含めた因果関係の中で生じる影響まで考えなければ無意味」と反論。結局、専門家間の意見の収束は見られなかったが、市民パネルは社会科学者の見方を支持。

2011-05-01 03:10:50
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

(続)そんなわけで、人文・社会科学的分析を必要とする社会経済的リスクは、リスクに関する理工系中心の世界では軽視されやすいのがこれまでの姿しかし今回の原発震災では、社会経済的影響の甚大なリアルさが誰の目にも明らかになったわけで、今後はそれ抜きにリスクについて語ることは許されまい

2011-05-01 03:14:26
Hideyuki Hirakawa @hirakawah

(続)ついでにいえば「風評被害」というのも、「正確な知識の欠如」のみが理由で発生するわけではないし、正確な知識を広めれば解消されるものでもないそれは個人および集合的・社会的なメカニズムによって発生するものであり、社会的リスクの一つとして考え、対処すべきこと。(とりあえずおわり)

2011-05-01 03:17:09

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