【冬の魔女ア合同】強襲!暗黒料理人邪苦!奪われた氷結包丁!その1
オレに合わせ、周りのヤツらもスゲースゲーと歓声を上げ始めた。 これだけの一体感、年に一度の祭りの時でもないかもしれねえなぁ。 深く感慨にふけるオレだったが… ドドン! 「うるさい! 静かにしろ、貴様ら!」 それも、また突然の騒音で邪魔されちまった。
2022-10-01 00:03:21チッ、またヤツか。 せっかく盛り上がってきたっていうのに… しかも、あの人殺し野郎、まだあの鈍器を使えていやがる。 まあさすがに、右手じゃ無理みてえだ。 あの時の傷は、まだしっかり残っている。 だがチキショウ、あの野郎は、左腕一本だけであの重そうな代物を使いやがった。
2022-10-01 00:03:22多少、音がブレたところからみるに、たぶん左は利き腕じゃねえんだろうが…… それでも、オレらを皆殺しにするなら、アレでも十分だ! チキショウ、オレたちがやったことは、全部無駄だったのか!?
2022-10-01 00:03:22「俺様は、この戦車を使って貴様らサルどもの村を全て支配してやる! そのアカツキには、サルどもは皆殺しだ!」 な、なんだって!? 馬のいななきを伴奏に、牛野郎は、演説を続ける。
2022-10-01 00:04:51曰く、これまで自分たち『牛人』が、いかに“虐げられて”いたか、とか。 曰く、いかにオレたち『猿人』(さるびと)が、“不正”に富を奪い取り、邪悪を為してきたか、とか。 それは、盛大にお涙ちょうだいの泣き言でデコレーションしたヤツ自身の恨み、そして劣等感の正当化だった。
2022-10-01 00:04:51自分が傷ついたこと、自分が負けたこと、自分が責任をなすりつけたいこと。 自分、自分、自分。 それは、自分のことしか頭に無いヤツが語る、自分自身をなぐさめるためだけの繰り言(くりごと)だった。
2022-10-01 00:04:51ああ、そういや栗なんて、もうずいぶん食べてねえなぁ…… つい、そんなことを考えてしまうほど、それは無意味で退屈な話だった。 その仕舞いにヤツは大きく叫んだ それは、これまでに増して、とんでもない宣告だった。
2022-10-01 00:06:54「よくやったハシバミよ!お前は、この戦車を見事に修理した! さあ、次はコレで他のサルどもをブチ殺すのだ! 俺様への忠誠心を見せてみろ!」 な、なんだと!? この野郎、オレのダチに何をさせる気だ!
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