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示準化石と示相化石のはなし

中学校理科で出てくる化石の話といえば、示準化石と示相化石くらいなもので。それらが実際の研究ではどのように使われるか、大学で二枚貝の化石を研究してたまとめ主がぐだぐだと語りました。
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職人/げるびらりあ @gervillaria
「示準化石・示相化石」の話、とかニーズはあるだろうか。
職人/げるびらりあ @gervillaria
さて、飯も食ったので久しぶりにセルフとぅぎゃの連ツイをしてみたいと。なお、過去のとぅぎゃ>togetter.com/id/gervillaria 質問等何でもok但し容赦無くリプライされ、ツイートがまとめに突っ込まれます。
職人/げるびらりあ @gervillaria
中学校の理科の地質単元で出てくる「示準化石・示相化石」(簡単な説明:benesse.jp/teikitest/chu/… , 難しい説明:kahaku.go.jp/research/db/bo… )って実際はどんなもんか、って話desu
職人/げるびらりあ @gervillaria
まず、学校では先のツイートの「簡単な説明」のような扱いがされていますが、実際に研究の現場ではかなり使われ方が異なります。簡単に言うと、「示準化石」は教科書とはほとんどのケースで別の種類を使いますし、「示相化石」なんかは、参考にはしても、論文で言及するようなことはまずありません。
職人/げるびらりあ @gervillaria
まず示準化石。現代の研究現場では、主に微化石(有孔虫や放散虫や珪藻などのいわゆる殻を持つ単細胞の生物プランクトン化石)が使われますし、火山灰や溶岩の層などに含まれる放射性同位体を使って何万年前、と具体的な数字で論じることの方が多いです。
職人/げるびらりあ @gervillaria
大型化石として、三葉虫やアンモナイトなどを使うのは、そういった過去にはなかった年代測定技術が使えない場合に限られます。加えて、地層の研究は累々と続けられており、基本的に「中生代か古生代か」なんて大きな時代区分で悩むような地層は、ごく一部の例外を除き、ありません。
職人/げるびらりあ @gervillaria
現代の地質・古生物研究における時代の精度は、もう3段階くらい細かい精度で求められます。中生代か古生代か、なんて話じゃなく、中生代の、白亜紀の、カンパニアンの、後期、とかそれくらい。時代レンジで数万〜数百万年くらいの精度になります。だから、示準化石の種類も種まで明らかにします。
職人/げるびらりあ @gervillaria
「アンモナイト」を例に出すと、アンモナイトと俗に呼ばれる分類群は、「アンモナイト亜綱」になりますが、こいつらはデボン紀から白亜紀まで、ざくっと3.5億年の年代を生きていました。大型化石5.5億年の歴史の中の3.5億年です。半分も絞りきれません。
職人/げるびらりあ @gervillaria
示準化石として教科書に出てくる「アンモナイト」は中生代の示準化石となっていますから、アンモナイト亜綱ではなく、おそらくさらにその中でもアンモナイト目、に絞られるでしょう。そうすれば中生代かどうか、までは絞れます。それでようやく1.5億年くらいの時代のどこか、って話になりますね。
職人/げるびらりあ @gervillaria
でもそれでもまだ、三畳紀かジュラ紀か白亜紀か、すら絞れません。ですが、アンモナイトの化石を種まで限定できれば、だいたいの種類では数百万年くらいの期間のどこかの時期の地層だ、ってとこまで絞りきることができます。ゴードリセラス・テヌイストリアータムだとかまで特定できれば、です。
職人/げるびらりあ @gervillaria
地層の年代はできる限り精度良く求める必要があります。そのためには、たった一種類の化石に頼るべきではないし、またその必要もありません。実際の研究現場ではアンモナイトも二枚貝も珪藻も有孔虫も放射性同位体も何でも使います。
職人/げるびらりあ @gervillaria
もちろん現代の研究現場では分野が細分化されており、それぞれの分類群や研究手法の専門家は別々の人になります。その複数の研究者が時にチームを組んで、それぞれにデータを出し合い、あるいは他の専門家が過去にその地域を研究した際に発表された論文を参考にしてクロスチェックしてゆきます。
らえらぷす/ジュラルC @GET_AWAY_TRIKE
アンモナイト…出る層準の偏りが激しい 二枚貝…同じく層準の偏りが激しい&保存が行くなかったりレンジが長かったり 微化石…出てないわけじゃないけどレンジが広いので使い勝手が悪い 放射性同位体…砕屑ジルコンだけ
職人/げるびらりあ @gervillaria
某ナカミナトエンシス産地を研究した方の実体験(なお、効果には個人差があります)
職人/げるびらりあ @gervillaria
ですから、ある意味で「示準化石」というのは、非常に単純化された考え方であって、実際には非常にデリケートな題材でもあります。そもそもとして、それらの「示準化石」が特定のどの時代にいたのか、というのは「誰が決めたの?」って話であって。
職人/げるびらりあ @gervillaria
古生物の世界は今でもザクザク新種が見つかりますし、特定の地域では、ある種類の古生物種が他の地域よりもより後の時代まで生きてた、なんて可能性も無視できません。クロスチェックのない、ただ一種で行われる年代特定なんて、危なくて話になんないのですよ、実際のところ。
職人/げるびらりあ @gervillaria
加えて、「二次堆積」なんていうめんどくさいケースもあります。一回化石になったものが、それの含まれる地層が侵食されてより新しい時代の地層に紛れ込む、なんてケースです。地殻変動の激しい地域では実際に起きています。新生代の地層にアンモナイトが入ってくる、なんてね。
職人/げるびらりあ @gervillaria
とはいえ、アンモナイトや恐竜みたいな大型化石を頼りにしなければ年代が決まらない地層なんてものもあるのですよ実際には。昨今だと東南アジアの新生代の陸成層(陸地;湖や河川などで形成された地層)なんかですね。陸成層は海みたいに世界中に繋がった生物分布の場ではないし、化石も残りにくい。
職人/げるびらりあ @gervillaria
そこで、東南アジアの新生代の陸成層は、哺乳類の歯(哺乳類は歯の化石が部分化石の中では一番確実に種類が特定できる)を示準化石として使用した研究がされています。
職人/げるびらりあ @gervillaria
この辺、難しいのはさ、「恐竜が出たら中生代の地層である」はまあ良いとしても、「中生代の地層であれば恐竜が出る」とは限らないこと。そんな単純な話なら苦労はないのだ。地層の形成場所や地層の性質(岩相)なんかでもめっちゃ出てくる化石は違う。湖の地層と深海の地層で同じ化石が出るわけねえ。
職人/げるびらりあ @gervillaria
更に言えば、現代の自然環境にあるような、「生物地理区」も当然古生物にもある。アフリカの恐竜とアジアの恐竜に同じ種類はない。そこに、数千万年という時間幅まで加わる。単純明快な「示準化石」の一般論なんて土台無理のある話であります。ただし、テストに出た時は教科書の通りに書くこと。
職人/げるびらりあ @gervillaria
そんなわけで、学校の授業では「示準化石」を習いはしたものの、教科書に書かれているような、一種で研究対象の地層の時代論やってよくできましたパチパチ、みたいな現実はどこにもなかった。とりあえず示準化石についてはこんなところだろうか。
職人/げるびらりあ @gervillaria
なお、そもそも出てくる化石の種類を明らかにすることそれ自体が極めて職人芸の世界であることは言い添えておきます。
職人/げるびらりあ @gervillaria
特定の地域において、何が示準化石として使えるかは、自分の研究素材(分類群や岩石種)、地域とその近隣の時代・産地の先行研究、そして対象の地層の種類によってまちまちです。
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