「ケーキの切れない非行少年たち」宮口幸治著(新潮新書)を読んで考えたこと、思ったこと

「ケーキの切れない非行少年たち」宮口幸治著(新潮新書)の内容から、著者開発のコグトレ、そして特別支援教育の現状について考えてみました。
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リグーリア2 @Ligulia1Ligulia

程度とか方向性も関係あるかもしれないが、「これを見てこう描く感性」を否定したら、絵画芸術はかなり貧しい世界になるだろう。

2019-08-13 09:28:16
リグーリア2 @Ligulia1Ligulia

正統的には、写実能力はちゃんとあって、見たままの形を描ける技術がありながら、独自の世界・作風として歪んだ像を描くのがあるべき画家・造形家の姿だけれども、性癖としてナチュラルに、例えばキュビズム的に描いてしまう場合も、味がある、個性的として評価されるのが現代のアートシーン。

2019-08-13 09:33:11
リグーリア2 @Ligulia1Ligulia

そして芸術家、特に絵画造形や映像作品のクリエイターには(付き合うのが)難しい人が珍しくないのはかなりの程度周知されている傾向だろう。音楽家も変わった人は少なくないと思う。

2019-08-13 09:36:04
リグーリア2 @Ligulia1Ligulia

「ケーキの切れない非行少年たち」で最も気になる点は、著者は医師なので、学校サイドの諸問題に疎い部分があるのではないかということ。

2019-08-13 11:31:46
リグーリア2 @Ligulia1Ligulia

p.95に、著者が少年院で会った16歳少年が 「もし特別に支援を受けていたら、ストレスがなまらなかったと思う。(療育)手帳が取れるなら取りたい」 と自ら言った話がある。 著者も“もし小学校で特別支援教育につながっていたら、彼も少年院には来ていなかったし、…”と書いているが、→

2019-08-13 11:45:29
リグーリア2 @Ligulia1Ligulia

私は複雑な思いを持った。 「特別支援教育」に繋がりさえすれば? 学校は「児童精神科に繋がれば何とかなるはず」と思い、病院は「学校で特別支援教育を受けられるようになれば良い方向にいくはず」と思っている。 必ずしもそううまくはいかない現実があるのに。

2019-08-13 11:49:04
リグーリア2 @Ligulia1Ligulia

学校で受けられる特別支援教育には、質の問題があるということを私は指摘したい。 特別支援教育に皆初めは大きな期待を寄せるが、個々に完全にカスタマイズされた教育あるいは配慮を全幅の信頼を寄せて受けられるものと思っていると、それが全くの幻想に過ぎなかったということは起きる。

2019-08-13 11:57:37
リグーリア2 @Ligulia1Ligulia

最悪の場合、単に人(介助員など)が週2,3日つくだけで、在籍学級で皆と同じことを同じようにやらされるだけということはあるし、支援学級・支援学校でも、通常学級で評判の悪い教師が送り込まれてくる事例は未だに絶えない。その場合、当然特別支援教育には素人。

2019-08-13 12:02:42
リグーリア2 @Ligulia1Ligulia

また、今まで確か文科省の調査だったと思うが、教師の側から見て学級に2人程度は授業についてくるのが大変そうな、「発達障害かもしれない児童生徒」がいるとされてきたが、宮口医師は、「軽度知的障害・軽度発達障害の児童生徒」が学級に5,6人いるのではないかと書いている。

2019-08-13 12:06:31
リグーリア2 @Ligulia1Ligulia

現在でさえ特別支援学級などが足らず、スペースが足りない上に、通級指導も希望者が多く、順番待ちを強いられている子どもたちさえいる。つまり、特別支援教育のための場所も人材も足りない。しかし、宮口医師の指摘では、今の倍近いニーズがあることになる。

2019-08-13 12:09:24
リグーリア2 @Ligulia1Ligulia

今までも、特別支援学校に軽度知的・発達障害の生徒たちが多く入学するようになり、重度障害の生徒たちへの対応が手薄になり始めたとか、軽度障害の子が重度障害の子を虐めるなどして不安定化し、安心して教育を受けられなくなったとの意見も聞いたことがある。

2019-08-13 12:12:44
リグーリア2 @Ligulia1Ligulia

公教育の中での特別支援は、現状ではそのリソースの奪い合いになりつつあるのではないか。そこまでの視点は「ケーキの切れない非行少年たち」にはない。

2019-08-13 12:15:44
リグーリア2 @Ligulia1Ligulia

「ケーキの切れない非行少年たち」については、読んでみて非常に重要なことが書かれている本だと思ったが、正直な話、内容を大々的にツイートして良いものか迷いがあった。伝え方にもよると思うが、受け止め方によっても良くない影響がありそうだという気がしたから。

2019-08-13 21:21:06
リグーリア2 @Ligulia1Ligulia

一冊の本から何を得るか、そこに書かれている情報のどの部分にフォーカスするかは、読み手が元々持っている問題意識や経験によって違いが出ることがある。たしゃのツイートを受け止める場合も同じようなことがいえる。そして、当然読み手の認知力も、読み取りに影響が出る。

2019-08-13 21:26:00
リグーリア2 @Ligulia1Ligulia

著者はしばらく少年犯罪者の更生教育に携わり、その中で気づいたことを本にして世に問うた。更生のために反省を促しても認知力が低いために実質の伴う反省に至らない少年たちがいることに気づき、彼らが通常教育の中で放置され忘れられてきたことに突き当たった。

2019-08-13 21:32:47
リグーリア2 @Ligulia1Ligulia

著者は既に犯罪を犯してしまった少年たちが、そうならないためにはどうすれば良かったかを逆算するような形で、通常教育の中で一見問題が無いと思われて手当てを忘れられている軽度知的障害・境界知能・発達障害の子どもたちへも支援教育が必要だと訴えている。

2019-08-13 21:37:29
リグーリア2 @Ligulia1Ligulia

しかし、「なんかこういうことが書いてある本が今売れてるらしいよ」と評判が広まるにつれ、「軽度知的障害・境界知能・発達障害児を犯罪者予備軍みたいに言わないで欲しい」という懸念を持つ人が現れる。

2019-08-13 21:40:22
リグーリア2 @Ligulia1Ligulia

また、「一学級に5,6人もの児童生徒に特別支援をするなんて無理。支援学級や支援学校のキャパシティを増やしてそちらで対応して欲しい」という意見もまた出てくる可能性がある。これは文科省が推進中のインクルーシブ教育に逆行し、むしろ通常学級からの排除の動きにつながっていく。

2019-08-13 21:45:10
リグーリア2 @Ligulia1Ligulia

また、本の最後の方で著者は「障害者を納税者に」的なことを書いているが、制度や国・自治体を動かすためには「見過ごされている軽度障害児にもっと広く支援教育を受けさせることで、福祉の受け手が納税者に変わるんです」とメリットを強調して、何とか行政を動かしたいという意図はあると推測する。

2019-08-13 21:51:50
リグーリア2 @Ligulia1Ligulia

「悲しい少年犯罪者も被害者も減らすため」ではまだ訴求力が足らず、「納税者が増えます」という形で訴えないと政治も役所も動かないとすれば情けない話である。一方で、働いて安定した収入を得られるようになれば、本人の自己肯定感も上がるだろうとの見込みもあるには違いない。

2019-08-13 21:55:24
リグーリア2 @Ligulia1Ligulia

さらに、昼間に別途ツイートしたように、軽度知的障害・境界知能・(知的遅れのないor少ない)発達障害児は障害児全体の相当な部分を占める上、そちらの方が納税者に転換させ易いと見られれば、障害児教育の限られたリソースがそちらに奪われてしまうのではないかと、重度障害者側は懸念を持つだろう。

2019-08-13 22:01:22
リグーリア2 @Ligulia1Ligulia

私は今まで何度も「国が特別支援教育を本気で進める気があるならば、国立の支援教育士養成所を作るなどして、支援教育ができる人材を育てなければならない」と言ってきた。各大学の教員養成課程や教育学部に補助金を出す形でも良い。支援教育を行える人材が圧倒的に不足している。

2019-08-13 22:05:47
リグーリア2 @Ligulia1Ligulia

「支援教育を行える場と人材が足りないから、軽度知的障害・境界知能・知能指数の低くない発達障害児が支援からこぼれるのは仕方ない、我慢すべき」ではないし、「軽度障害児がより支援を受けられるようにするため、重度障害児に割かれているリソースが軽度の方に行くのもやむを得ない」でもない。

2019-08-13 22:10:18
リグーリア2 @Ligulia1Ligulia

ましてや、「障害児が納税者になるのであれば行政が支援しても良い」のではなく、この世に生まれてきた人々が、できうる限り精一杯その生を全うするため、充実した幸せな人生を送るために、必要な公的支援に誰でもリーチできる成熟した社会を目指すのが、公的セクターの役割だと思う。

2019-08-13 22:14:49
リグーリア2 @Ligulia1Ligulia

頭の中に溜まっていたドロドロを、やっと半分くらい形にして出すことはできた。それでも、本の要約として一旦出した情報は独り歩きしないとは限らない。まだ気になる点はある。

2019-08-13 22:19:49