量子力学からのメッセージ

多世界解釈と観測問題 多世界解釈ははたして検証可能な科学であるか? 多世界解釈への強烈な批判
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この続きから

まとめ この世界の中の「存在」は観測者や測定機に依存した概念だった この世界の中の「存在」は観測者や測定機に依存した概念だった  心に響いた物理学の見識について、記録をとどめておきたくなりました。 ホッタ先生の説明はいつもわかりやすくていいですね。 27867 pv 212 5 users 190
Masahiro Hotta @hottaqu

局所的実在論はベル不等式の破れから否定されてるが、非局所的な実在論を議論する人も未だに居る。だがスピンを実在論的に、そして相対論的に考えるのはとても厳しい。例えば電子スピンは数学的にスピノルで記述されるので、360度回転では元の値に戻らず符号が反転する。720度回転で初めて戻る。

2019-02-24 10:08:11
Masahiro Hotta @hottaqu

そんなスピンを非局所的な素朴実在論で記述するのはmad。またベルの不等式の破れを実在論で説明したければ、非局所的な相互作用が観測者を含めて起こる必要も。宇宙に観測者の自由意志がない陰謀論的設定が必要だが、自分はそこまでして素朴実在論を守る必要性を感じない。単に捨てればいいと思う。

2019-02-24 10:13:05
Masahiro Hotta @hottaqu

現代量子力学で、もっとも数学的にも綺麗で単純なのは、決して非局所的素朴実在論なんかではなく、局所的認識論。波動関数はなんらかの「実在」なんかではなく、単に情報の束に過ぎない。

2019-02-24 10:14:49
Masahiro Hotta @hottaqu

スピンの値の実在性を否定する方法は、ベル不等式の破れだけでなく、コッヘン=シュペッカー定理でも良いし、素朴には電子スピンの方向量子化の議論でも十分説得力がある。連続的に測定方向を変えても、同じℏという単位でスピンベクトルの射影成分が離散化するのは、普通の素朴実在では説明できない。

2019-02-24 10:20:29
Masahiro Hotta @hottaqu

スピノルで記述されるフェルミオンを360度回転させて出るマイナス符号は物理的でないと言うのは誤解。走る1つの電子をスリットで2つの経路に分けて、片方だけ磁場をかけて回転させてから、2つの経路を合流させると720度周期の干渉縞ができる。360度周期ではない。twitter.com/hottaqu/status…

2019-02-24 10:30:01
Masahiro Hotta @hottaqu

720度周期になる実際の実験では、電子干渉計ではなく中性子干渉計を使って随分昔に既に行われている。

2019-03-04 04:43:50

多世界解釈批判:多世界解釈の問題点など

Masahiro Hotta @hottaqu

成功してる標準的コペンハーゲン解釈に比べて、多世界解釈は確率解釈やそのボルン則まで導こうとする無茶をする。その導出の露わな前提が単なる線形性だけなのだから、そもそも「無理ゲー」とも言える。だから議論の途中で、こっそりと観測者の意識の基底を導入する等の不誠実な論理しか組めないのだ。

2019-11-24 05:20:59
Masahiro Hotta @hottaqu

簡単のために宇宙の構成要素をアリスとボブだけにして、多世界解釈における下記のような宇宙の波動関数(量子状態)を考えてみよう。外部観測者はいない。この例だけでも、多世界解釈の問題点がいろいろ見えてくる。 pic.twitter.com/9W6dfHcyg3

2019-11-24 05:23:06
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Masahiro Hotta @hottaqu

今、この量子状態はアリスの2つの気もちで区別される基底ベクトルによって展開した表式になっている。これでエベレットの相対状態をいろいろ議論してみよう。 pic.twitter.com/BDwIiXI5jd

2019-11-24 05:24:50
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Masahiro Hotta @hottaqu

まず最初の可能性は、アリスの気持ちごとに分岐した2つの世界があるという場合。各々の世界で、ボブは2つの気持ちの量子的重ね合わせ状態になる。 pic.twitter.com/n3P0fPY8uK

2019-11-24 05:26:22
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Masahiro Hotta @hottaqu

全く同じ「宇宙の波動関数」を、今度はボブの気もちの基底ベクトルで展開してみると、下記のような表式になる。 pic.twitter.com/pOpRMdJzDJ

2019-11-24 05:27:43
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Masahiro Hotta @hottaqu

この表式から、同じ宇宙の波動関数に対して、別な世界に分岐の可能性が出てくる。ボブの気持ちに応じて世界は2つに分岐したと解釈され、各々の世界ではアリスが量子的重ね合わせ状態になってしまう。 pic.twitter.com/bTdfO73mTu

2019-11-24 05:29:35
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Masahiro Hotta @hottaqu

更に、同じ宇宙の波動関数を、下記のようにアリスとボブの気持ちが確定している基底ベクトルで展開してみよう。 pic.twitter.com/DHMrPUK7cr

2019-11-24 05:30:55
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Masahiro Hotta @hottaqu

すると多世界解釈の世界の分岐には、更に不定性が広がる。今度は下記のような異なる4つの世界に分岐したと解釈したくなる。 pic.twitter.com/pQhSUva3Qa

2019-11-24 05:32:13
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Masahiro Hotta @hottaqu

このように、全く同じな宇宙の波動関数から、異なる世界の分岐の仕方が出てくる。量子力学の線形性は各分岐の仕方の平等性も導くため、この3つの分岐の仕方のどれか1つが他より優位だとは言えない。つまり世界の分岐は不定であり、これも多世界解釈の重大な欠点の1つなのだ。

2019-11-24 05:35:11
Masahiro Hotta @hottaqu

また多世界解釈では、宇宙の内部の人間とスピンは基本的な差はなく、量子的な測定機や記憶装置とみなそうとする。しかし一方で、人間には意識で区別される特別な基底ベクトルがあるという、新たに仮定を加えて捻じ曲げている。

2019-11-24 05:38:18
Masahiro Hotta @hottaqu

例えば下記のような青い丸と緑色の丸の2個のスピンの量子状態を考えよう。ここでは敢えて、青丸の第1スピンはz成分ではなくx成分の基底ベクトルで展開してある。 pic.twitter.com/w5cKwB3QGW

2019-11-24 05:41:19
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Masahiro Hotta @hottaqu

この状態をスピン2つしかない宇宙の波動関数とみなして多世界解釈をすると、青丸スピンのx成分の値に応じて、下記のように世界は2つに分岐できる。 pic.twitter.com/FDV5DDLKtb

2019-11-24 05:43:05
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Masahiro Hotta @hottaqu

それでは同様のことを先のアリスとボブの宇宙の波動関数でやってみよう。先のスピンx成分の基底ベクトルのように、元の状態を「アリスの気もちの量子的重ね合わせ基底ベクトル」で展開してみると、下記の結果を得る。 pic.twitter.com/wAdl6HNEIw

2019-11-24 05:45:43
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Masahiro Hotta @hottaqu

アリスが、青丸スピンと同様な測定機であり、記憶装置ならば、スピンと同様の解釈を適用すべきである。つまり、下記のような世界の分岐が起きていることになる。これは先の3つの世界分岐とはまた違う分岐の仕方だ。 pic.twitter.com/cp04XqM7By

2019-11-24 05:47:42
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Masahiro Hotta @hottaqu

しかし多世界解釈者は、測定者アリスのこのような重ね合わせ基底ベクトルや、それに応じた世界分岐は存在しないと、強い根拠もなく後から付け加える。量子力学の線形性しか仮定しないのなら、これが禁止される理由は何もないのに。 pic.twitter.com/d3gv555O0d

2019-11-24 05:50:05
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Masahiro Hotta @hottaqu

多世界解釈者の多くは、当初の量子力学の線形性だけを仮定するという大前提を議論の中でどんどん自ら崩していき、測定者の意識の存在や、その意識にとっての自然な基底ベクトルの存在や、その意識は確率分布を理解できることもなども更に仮定してから、確率解釈やボルン則を議論し始めるのだ。

2019-11-24 05:53:50
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