【Lancet】感染性エアロゾルの粒子サイズ:感染制御への影響『呼吸器感染性の感染経路が主に大きな飛沫によるものというエビデンスはない』(2020.12.6作成)

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エアボーン空気感染#COVIDisAirborne#covidCO2#bettermasks @AirborneKanki

2020.7.24. THE LANCET 【感染性エアロゾルの粒子サイズ】 『感染制御への影響』 「ほとんどの呼吸器感染症が、主に大きな飛沫感染に関連しているという概念を支持する証拠はありません。現在のガイドラインに反して、小粒子エアロゾルが、例外ではなく支配的(the rule)です」 thelancet.com/journals/lanre…

2020-11-17 07:26:58
呼吸器内科医@ @neznezxmail

「感染性エアロゾルの粒子サイズ」(Lancet Res Med 9/1) 大切に思われる箇所を随時抜粋 ●感染性エアロゾルは物理/生物法則に従う、"空気における粒子内の病原体の懸濁(suspension)"である ●気流/希釈換気による除去がない限り5μm以下の粒子は無期限に空気中に残ることができ、下気道に沈着する (1) pic.twitter.com/qvEdFxdiyF

2020-11-28 00:22:13
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呼吸器内科医@ @neznezxmail

●エアロゾルプルーム(噴煙)の粒子濃度は最も高く長時間長距離にわたって空気に広がる、ときに7〜8m ●2m以内の地面に落ちる粒子径は60〜100μmであるが、くしゃみによって6mを超えて浮遊しうる ●重要な問題は、病原体がこれらのプルームに含まれているかどうか、大きさが伝播と一致するかどうか (2)

2020-11-28 00:26:37
呼吸器内科医@ @neznezxmail

●現在の主たる呼吸器感染症感染対策は咳やくしゃみによって生じる5μm以上の飛沫で感染する前提に基づく ●"指標症例への近接性は飛沫拡散と一致"という近接度はしばしば飛沫のプロキシと考えられてきた ●空気感染は浮遊飛沫が乾燥した飛沫核に起因し5μm以下と定義されてきた →引用? 「しかし」 (3)

2020-11-28 00:34:17
呼吸器内科医@ @neznezxmail

●様々なデータから感染性エアロゾルは研究/方法/病原体の違いはあれ、幅広い範囲の粒子径で存在し、ほとんどの呼吸器感染は主に大きな飛沫感染に関連するという概念を支持する証拠はない ●小粒子エアロゾルは例外ではない ●これらは"乾燥"と関係なく発生し、速やかに吸入されうる大きさである (4)

2020-11-28 00:39:15
呼吸器内科医@ @neznezxmail

●過去に提案された現在の二分法による感染制御ガイドラインを更新する必要があろう ●エアロゾルは患者近くで"最も濃度が高く"、離れるにつれ分散する ●近接した範囲の感染伝播が呼吸器飛沫拡散を定義するという論理は誤りである (5)

2020-11-28 00:42:25
呼吸器内科医@ @neznezxmail

●呼吸器病原体の感染伝播のばらつきは、患者が放出する"物理的な粒子径"に依存するだけでなく、病原体が乾燥やエアロゾル化および空気を介した伝達のストレスに耐える能力、空気の移動・温度・湿度などの環境要因、そして宿主防御といった生物学的要因に依存しているように思われる 以下具体例 (6)

2020-11-28 00:47:39
呼吸器内科医@ @neznezxmail

①結核 ●結核患者の咳エアロゾルを直接測定したところ、培養可能な結核菌の96%は4〜7μmより小さな粒子に含まれており、>7μmではほとんど認められなかった(A) ●ある研究では薬剤耐性結核患者のほぼ半数が咳エアロゾルを発生させており生菌数が最も多いのは2.1〜4.7μmの範囲であった (7) pic.twitter.com/89BTaj4in1

2020-11-28 00:56:59
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呼吸器内科医@ @neznezxmail

②緑膿菌(嚢胞性線維症患者より) ●結核菌患者で観察されたものよりわずかに大きい粒子径分布が得られた(B) ●ある研究では咳エアロゾルから生存可能な緑膿菌は4mを浮遊し、最大45分間培養可能な状態を維持できた (8) pic.twitter.com/G1cNqUu7no

2020-11-28 01:01:37
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呼吸器内科医@ @neznezxmail

③インフルエンザ ●ウイルスRNAの35%は4μm以上の粒子に含まれ、65%は4μm以下の粒子に含まれていた(Fig) ●ある研究では咳によって患者の82%がウイルスを含む小粒子(<4.7μm)を放出したのに対し、より大きな粒子を放出したのは57%であった (9) pic.twitter.com/eqIYRblNYv

2020-11-28 01:07:39
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呼吸器内科医@ @neznezxmail

咳エアロゾルに続き、次は呼気エアロゾルについて ●呼気エアロゾルの粒子径の研究では、病原体は一貫して<5μmの小粒子に含まれていた(Table) ●呼気に含まれるほとんどの粒子は4μmより小さく、中央値は0.7〜1.0μmであった (10) pic.twitter.com/eodlgGIR5z

2020-11-28 01:13:45
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呼吸器内科医@ @neznezxmail

●ある研究ではインフルエンザウイルスRNAを含むほとんどの粒子(87%)が1μmよりも小さいことが判明した ●また「呼気」のインフルエンザウイルスは「咳」よりも"より小さな"粒子に含まれていることも示されている(Fig) (11) pic.twitter.com/nSQf1hRlEE

2020-11-28 01:18:46
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呼吸器内科医@ @neznezxmail

●「呼気」における病原体の存在を説明する最も可能性の高いメカニズムは、虚脱した細気管支開口部がエアロゾルを発生させることであるが、声帯閉鎖や声帯振動などの説もある (12) 次はRoom airサンプルについて 後日

2020-11-28 01:21:31
呼吸器内科医@ @neznezxmail

以下Room airサンプルについて重要と思われる箇所を抜粋する ●まず概略であるが、水痘帯状疱疹ウイルス、麻疹ウイルス、結核、インフルエンザウイルス、RSウイルス、アデノウイルス、ニューモシスチス、SARS、MARS等の"RNA"が、固定サンプラー、医療者が装着したサンプラーから検出されている (13)

2020-11-28 09:53:55
呼吸器内科医@ @neznezxmail

●その粒子径は1〜4μm以下も少なくない ●この論文で記載されている研究で、空気サンプルから「培養」、「生存可能な」病原体が検出されたのはRSウイルス、MERSの2つである ●空気感染の代名詞である麻疹ですら患者ベッド周囲の空気サンプルの4.7μm未満の粒子でRNA陽性だが、培養は"陰性"とある (14)

2020-11-28 10:02:05
呼吸器内科医@ @neznezxmail

さてここでSARS-CoV2 の他の研究を再確認してみる(私見が入る) ●検索する限り現実世界の空気サンプル研究は3つ ●2つは正式にpublish、1つは7月にmedRxivに投稿されているが恐らくは正式にpublishされていない ●しかしこのプレは上記の論文のSci Repのfirst authorのDr.Santarpiaが著者だ (15)

2020-11-28 10:09:10
呼吸器内科医@ @neznezxmail

以下にそれぞれの概略を述べる ①「隔離病棟のCOVID19入院患者13人における空気と表面のウイルス検出」 ●廊下の空気サンプル→CPE+ ●病室窓台→CPE+、培養+ (16) pic.twitter.com/bnMs1cqXgt

2020-11-28 10:19:07
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呼吸器内科医@ @neznezxmail

②「COVID19病室の空気における"生きた"SARS-CoV2の証明」 ●空気サンプル→CPE+、培養+ ●エアサンプルの入口ノズルにHEPAフィルターが設置された箇所からの空気サンプル、培養液からはCPEは観察されず、ウイルス検出/分離はされなかった (17) pic.twitter.com/B90kOUSBcD

2020-11-28 10:23:44
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呼吸器内科医@ @neznezxmail

③「SARS-CoV2エアロゾルによる感染性」※プレプリント ●空気サンプル全ての粒子サイズからRNA+ ●18サンプルのうち3つにVeroE6細胞で6日後にウイルス増殖、1〜4μmサンプルのうち2つにウイルス増殖 (18) pic.twitter.com/3bSrFHwWxV

2020-11-28 10:30:41
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呼吸器内科医@ @neznezxmail

●ウイルスは1μm未満の飛沫核に多く含まれている(黒)→「この表現に注目!」 ●培養で有意なものも1μm未満 ●1〜4μmサンプルでも観察されたが有意ではない(赤) ※黒.左縦軸:空気1m3あたりのウイルス量、赤.右縦軸:ウイルス培養後の増殖比 (19) pic.twitter.com/cjOkwbQNQo

2020-11-28 10:36:04
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呼吸器内科医@ @neznezxmail

まとめ(私見です) ●「乾燥した飛沫核による感染」とは結局は粒子径で決めているのでは?と思った ●飛沫感染のエビデンスが明確でないこともわかった ●そしてかなり小さな粒子に病原体が存在 ●この論文にある麻疹の研究でも、空気サンプルのRNA+でも、培養陰性 ●しかし、SARS-CoV2はどうだ? (20)

2020-11-28 10:40:02
呼吸器内科医@ @neznezxmail

●SARS-CoV2は空気サンプル培養陽性の報告がある ●もちろん麻疹と感染力の違いはあるだろう ●しかし、この一連の検討を見ても、SARS-CoV2は空気感染しないということを専門家は果たして言い切れるのか?  ●なおこの論文にはマスクの記載もあるが省略する 以上です (21/21、終)

2020-11-28 10:42:36
mm @tyonarock

@neznezxmail お疲れさまです🙇 これを見ると、インフルエンザも緑膿菌も空気感染てことですね(で良いですか?)

2020-11-28 16:50:24
呼吸器内科医@ @neznezxmail

@tyonarock ええ。そう考えます。 そもそも飛沫感染とは何なのか? 飛沫核って何なのか? そして乾燥した飛沫核の件、この論文で引用はありません。定義されていると。どこでどのように定義されたのか? それらが自分の中で揺らいでいます。

2020-11-28 16:53:06
呼吸器内科医@ @neznezxmail

@tyonarock こうなってくると、みんな空気を介して感染し得て、広がり具合は、病原体と宿主免疫による反応による感染力の違いだけなのかなとも、考えてしまいますね。。。加えて様々な状況における浮遊距離の違い。

2020-11-28 16:56:23