共同体から発生する貨幣が共同体を自壊させる矛盾とそこから考える経済政策

今後の経済に活路があるとすれば共同体と貨幣/市場経済の間の緊張関係、綱引きの最中にあるのであって、その両端には無いように思う。
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望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

昔すでに考えた人が居るんだろうけど、貨幣というシステムとそれにあくまで依拠して経済政策を考える仕組みそれ自体に限界というか矛盾を感じる。 貨幣史を見れば明らかなように、貨幣の起源は無機質な交換経済ではなく、有機的な共同体内部の贈与/貸借関係にあるが、

2022-10-01 10:18:57
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

そうした贈与/貸借関係の複雑化に対処する形で、貨幣が信用単位として需要されることになる。 こうして貨幣化(主として貨幣による単位付け)が進行することで、そこに市場経済がようやく醸成されるというのが、現在我々が目にしている経済の成立史なのであるけれども、

2022-10-01 10:22:09
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

貨幣単位による標準化によって、(何ほどか)公平な市場が出現するという事態は、大なり小なり有機的関係を切断可能にすることになる。人間関係やそこに紐づいた貸借関係を清算するのは概して容易ではないが、市場において貨幣単位で売買する際に一度限りの関係に済ませることは不可能ではない。

2022-10-01 10:25:30
nyun @erickqchan

貨幣と貨幣以外の関係を問わないで貨幣の話ばかりになっちゃう人たちへの苛立ちが「MMTは貨幣の話ではない」っていうフルワイラー発言に現れたのだとわたくしは思っております。 twitter.com/motidukinoyoru…

2022-10-01 10:29:06
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

無論、貨幣化(正確には貨幣単位付け)による遊離や切断に対して、我々は陰に陽に相互のコミットメントを張り巡らせることで、漂流しないよう抵抗しているわけである。これは明らかに非市場/反市場的な力学であり、見方によっては癒着なり談合なりとなってくるのであろう。 話が逸れたがとにかく、

2022-10-01 10:29:12
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@erickqchan 浅学で恐縮です。フルワイラーの当該発言についてご教授賜れば幸いです。

2022-10-01 10:30:01
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

貨幣は共同体的な力学から発生してくるものであるにも関わらず、それによる貨幣化は共同体の紐帯を離断する反作用を有している。貨幣といういにしえのイノベーションは、共同体より生まれ出づるものでありながら、共同体を自壊させるという危険な性質を持っているわけである。

2022-10-01 10:33:18
nyun @erickqchan

@motidukinoyoru こちらですー (っていうかすべてを知っている人はいないでご謙遜なさらず) twitter.com/erickqchan/sta…

2022-10-01 10:34:13
nyun @erickqchan

@sorata311 Twitter で時々言っていましたがアカウントを消してしまいましたね。 2020のこの論文に以下の表現があるようです。 “Ultimately, MMT is not about ‘money,’ but rather about a government freed from standard conceptions of its financial limits to serving its people.” onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.111…

2022-09-02 17:31:20
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

このような貨幣による共同体の自壊という構造を織り込むなら、昨今の経済政策論において貨幣支出の如何に執着されがちであることは、滑稽かつ危険かもしれない。 そうした文脈から、例えばBIが(主唱者の意図とは裏腹に)実質的に捨て扶持として機能するという話が出てくる。 twitter.com/motidukinoyoru…

2022-10-01 10:39:01
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

あるいはJGでさえ、共同体に繫ぎ止めるための役割の提供を意図しているという意味では反市場的でありながら、バッファーストック(緩衝在庫)やビルトイン・スタビライザーの機能を期待するという面では、極めて市場親和的な文脈の政策だ。 「金さえ出せば解決」と期待すること自体が落とし穴含み。

2022-10-01 10:48:12
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

貨幣化と市場経済による利便性をラディカルに破棄するべきとは毛頭思わないが、それらが共同体を離断し自壊させるという副作用について意識的に対処すべきと理解しているか否かで、経済政策の考え方は根本的に変わってくるのであろう。貨幣のみによって解決するべきではない問題も多々あるであろうし、

2022-10-01 10:54:19
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

少なくとも、市場による貨幣単位付け(価格付け)を拒否することでようやく守られる共同体的利益もあるだろう。 昔の人々は、理屈ではわかっていなくても本能的にそれを感じ取っていて、反市場的なメカニズムを経済の隅々に忍ばせていたのかもしれない(日本的企業もその一つなのかも)。しかし、

2022-10-01 10:56:48
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

不完全な理論に依拠するインテリゲンチャは、市場化の徹底と共同体の離断こそ厚生を最大化すると信じた。(外部性の議論を考えれば本当は理論的な正しさすら若干怪しいように思えるが) それが現代先進国経済のこの有様を作り出したと思うし、まだ各国が虫の息ながら生き長らえているとしたら、

2022-10-01 11:02:47
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

それは反市場的な抵抗力が各所にまだ生き残っている限りにおいてのことであろう。 ただ、同情するとすれば、とかく共同体からの疎外や嫌悪感に晒されがちなインテリゲンチャや、共同体の”副作用”に苦しむ人々にとって、貨幣化と市場化はある種の福音のようにも感じられるのであろう。そのこと自体は、

2022-10-01 11:06:25
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

正直なところ、個人的な心情としても大いに共感するところでもある。 しかし一方で、人間は”土から離れては生きられない”とも思われるのである。 今後の経済に活路があるとすれば共同体と貨幣/市場経済の間の緊張関係、綱引きの最中にあるのであって、その両端には無いように思う。だとすれば、

2022-10-01 11:09:33
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

経済政策の主眼が、貨幣支出の多寡に(あるいは、金をいくら配るかという些か低俗な話に)集約されるようなことはあってはならず、いかに人々を相互に繋ぎ止め、庇護するかという具体的な話にフォーカスされるべきだ。 あえてこういう言い方をすれば、現代人は既に消極的自由に対して疲弊しており、

2022-10-01 11:17:06
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

はした金を持たせて自由を与えることを称揚する人々は、自身が相当の強者であることに無自覚であるか、あるいは、自分が知らず知らずの内に反市場的なもの(地域連帯はもちろん、家族親族含めて)に手厚く守られていることに無知であるかのいずれかなのではないだろうか。だとすれば、

2022-10-01 11:21:03
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

そうした経済政策論は、庇護に対する幼若な反抗に過ぎない。かつて私は現代先進諸国、特に日本に訪れているのは大いなる「反抗期の時代」であると論じたが、まさにその延長線上に、「貨幣さえ支出せしめれば」という低俗なタイプの積極財政論は属するのでないかと思われてならない。

2022-10-01 11:26:13
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

観念的な話に終始したので、具体的に例えて言えば、 ・まずはいかに人々を社会に繋ぎ止めコミットさせるかに重心を置く。具体的には雇用政策の先行、そして(現在のような受け身なものではなく)積極的な公共サービスの提供が必要となってくる。 ・自由な購買力を確保することも重要だが、それ以上に

2022-10-01 11:44:50
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

必要な財・サービスへのアクセスを確保することを優先する。具体的には、インフラや医療、福祉がリーズナブルに利用できる状況の確保や維持に注力する。これは近年、市場化の波で次々に破壊されるようになってきている。これが破壊されては、少々の積極財政では補填が効かない。

2022-10-01 11:48:13
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

・市場的に取引すべきでないと社会的に思われるものは、市場経済から取り除くこと。ポジティブなものとしては文化、芸術、科学を公的に定めた価格で提供することだし、ネガティブなものとしては特定の薬物等を取り締まること等が該当する。ただこれも色々と一筋縄では行かなくて、

2022-10-01 11:58:38
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

文化や芸術、科学技術を広く提供しようとすればするほど、それを生業とする人々への公的資金は増える。現在は、貨幣/市場的価値観の定着により、安易なB/Cの理念により商業化を余儀なくされる一方となっている。 ネガティブなものはさらに厄介で、ここまで市場化が進んだ経済では、単なる禁止は

2022-10-01 12:02:19
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

地下マーケットを肥大化させるだけになりかねない。違法薬物くらいは警察力に尽力いただくとして、例えば賭博を完全に禁止するのは現実的ではないだろう。その意味で、積極的に称揚するわけではないが、公営ギャンブルが一定のプレゼンスを持つことはある種の妥当性を持つかもしれない。しかし、

2022-10-01 12:10:29
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

そうではあっても、目先の金銭的利益に釣られて、今更大規模カジノを誘致するというような奇妙な政策を擁護することは、些かならず困難であるように思われる。

2022-10-01 12:11:50
かしわ @Kashiwa0903

@motidukinoyoru 昔読んだサンデルの「それをお金で買いますか」で、金銭による解決は社会の善き行為を取引に堕落させ行為の本質的価値を毀損する危険があるという話があったのを思い出しました。当書籍では市場化による非市場領域における善や道徳の侵食が主題でしたが経済政策でも同じ問題があるのかもしれませんね

2022-10-01 13:21:57