なんとなくつけたNHKで「縄文時代の人たちは、芸術に理屈は必要ない、感じればいいってことをよく分かっていたんだね」などと言っていて、こういう不見識を電波に乗せて拡散しないで欲しいと、縄文人の名誉のためにも憤ったのであった。
2023-01-04 11:42:54だいたい芸術なんてのは18世紀後半以降の西洋の考え方であって、縄文人は芸術のことなど考えてない。逆に、縄文人が考えていた宗教や生活習慣があったはずで、それらを無視して現代の定規で評価をくだすのは著しく不当なことです。
2023-01-04 11:47:47また、西洋の芸術に限っても、芸術が本当に「感じるままに」やるものならば、注文主の予算と納期な合わせ、一定水準の作品を生み出し続けたバッハ、ヴィヴァルディ、テレマンなどの創作活動が説明できません。個人的な生活上の事件はほとんど作品の性格に影響していない。
2023-01-04 11:52:22「感じるままに」という感性至上主義は、西洋の芸術思想史の中でも19世紀に少し流行っただけの特殊なものです。その影響は今もあるとはいえ、縄文人の土器にかこつけて時代遅れの近代主観主義芸術観を広めるディレクターだか脚本家だかは、誠に不見識・無教養と言わざるをえない。
2023-01-04 11:57:28最近も、新しいものを生み出すのに知識は必要か?といった話題がTLを騒がしていましたが、主観主義・感性主義は、形を変えて何度でも話題になります。アホらしいことです。
2023-01-04 12:01:59知識や経験があればより深く感じられるし、感性が鋭ければ同じ知識や経験にもより深い理解を得られるもので、総合的な眼力は、知性と感性を両輪として成長するものです。両者は相補的にして不可分。
2023-01-04 13:27:55知性と感性を対立的にまで分離して二者択一を迫るような問題設定自体が非常に間違っていて、恐らく、間違ったデカルト理解に基づく妄想の枠組みです。
2023-01-04 13:31:07知識や理論を敵視して、やたらと感性を偏重する意見に一定の人気があるのは、「あんたは勉強が足りない」と言われると全人格を否定されたように感じ、感性での勝負ならワンチャンあると勘違いする人がいるからでしょう。面接で、学歴はダメでも人物評価ならワンチャンあると思ってしまうような。
2023-01-04 13:39:57過剰な競争原理に煽られ、勝ち負けや優劣の評価に翻弄される現代社会では、ありのままを認めてくれる反知性感性主義みたいな思想にも需要と必要性があるのかなとも思います。しかし、それは本質的には社会問題であるので、芸術がそのはけ口になるのも論点が逸らされているとは思うけど。
2023-01-04 14:29:52いずれにせよ、縄文土器を近代主観主義で解釈するなんてのはとんでもない傲慢な態度であって、縄文土器に我々が感動するのは、そこに本質的な真理を考えさせる〈視点の差異〉が含まれているからだし、芸術はあくまでも真理の開示でなければなりません。連投終了
2023-01-04 16:08:16音楽・文学・美術のつぶやき専用です。政治・宗教の話題は絡まれても議論しません。musica speculativa の伝統への回帰を掲げ、自ら「完全なる楽長」になるべく日々勉強中。独仏羅伊英日韓希波丁語ほか。ストア派の隠者。