「私たち縄文時代から入れ替わってた!?」亀はモンゴル語で「骨付き蛙」と呼ぶらしい、から始まった「カエルとカメ」の奇想天外な関係が、人類最古の神話を解き明かす?

言語学/神話学/考古学の研究成果から、「人間にとってカエル/亀とは何だったのか」を見つめ直す。
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巫俊(ふしゅん) @fushunia

井本英一氏の論文「蛙神事の源流」は、蛙が諏訪の祭神の「他我」だとしてる。「祭神が年末になって活力が衰えたとき,祭神の他我があの世からやって来て祭神に神饌として食べられ,祭神に新しい力を与えた」とあり、これはあの世から来たスクナヒコナのような別人格のことです core.ac.uk/download/pdf/2…

2022-05-10 04:45:12
巫俊(ふしゅん) @fushunia

あの世からやってきた「もう一人の私」を食べることで生命の存続が可能になるという思想は、ユーラシア北方に分布してる「熊送り」の神話などと通じ合ってるもので、狩猟の対象となる獲物が「人間や神の仲間」だと考えられてたこと、その大切な仲間を食べないといけないことを説明したものです。

2022-05-10 04:47:30
巫俊(ふしゅん) @fushunia

弥生時代の銅鐸・土器の絵画から復元された「鹿送り」も、おおよそこれと同様の発想のもので、「食べられる鹿」が、神話的な次元では祭司の子どもを妊娠し、出産によって生命を存続させる「女性」でもあると認知されてたことと、関連があります。

2022-05-10 04:50:43
巫俊(ふしゅん) @fushunia

諏訪では、蛙を串に刺して、それを諏訪の神(諏訪の神は蛇体だとされる)に捧げてた訳ですが、長野県の縄文土器においては男性の象徴であるヘビが女性の象徴であるカエルに噛みつき、カエルが出産する様子が絵によって描かれてます。この縄文土器の神話は小林青樹『倭人の祭祀考古学』に掲載されてます

2022-05-10 04:55:20
巫俊(ふしゅん) @fushunia

そして、日本やチベット・モンゴルには、「亀」が「猿」の生き胆や心臓を欲して猿を水の中に連れ去り、奪おうとする民話が伝わってます。これはインドの文献に出てくる神話だとされ、仏典の翻訳を通じて伝わったものとされる新しいものですが、よく見るとより古い形式の神話が隠れてるように見えます。

2022-05-10 05:00:00
巫俊(ふしゅん) @fushunia

2018年の論文「日本とモンゴルに伝承された説話の比較対照研究」に、この「亀」と「猿」の故事が説明されてますが、モンゴルではその「亀」が「蛙」に変化した話も伝わってます。また、日本では「くらげ」が生き胆を奪いそこなった罰を受けて骨を抜かれる話も派生してます。 opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/105…

2022-05-10 05:02:44
巫俊(ふしゅん) @fushunia

「くらげ」の骨が抜かれた話は、チベット語やモンゴル語で「亀」が「骨付きの蛙」と表現されてたことを思い出させます。また、世界各地の言語で「亀」と「蛙」は類似する生物だとされていて、縄文土器の蛙も姿が似た亀に変化した例が知られてます。

2022-05-10 05:05:39
巫俊(ふしゅん) @fushunia

「亀」が失敗したのに、手伝った「くらげ」が骨を抜かれるのはやや不自然なので、本来は「亀」が骨を抜かれて「蛙」になったという話だったのでは?という気がするのですが、クラゲは成立時期が新しい日本の戦国時代に出てくる話なので、はっきりしたことは分かりませんでした。

2022-05-10 05:07:30
巫俊(ふしゅん) @fushunia

インドでは「亀」が「ワニ」になってるのですが、インド及び日本では「ワニ/亀の妻が子どもを出産するために、猿の心臓/生き胆を食べたくなって、夫のワニ/亀に、猿を騙して水の中に連れて来させようとする」話になってます。

2022-05-10 05:18:54
巫俊(ふしゅん) @fushunia

比較神話学者の篠田 知和基氏の論文「メリュジーヌ伝承から異類婚説話へ―罪とあやまち―」には、 「ナルト神話でヘミッツは海底の世界から蛙娘をつれてくる。人にののしられてはいけない。集会につれていってののしられ、海底へ帰る。そのまえに腹の子をヘミッツの肩にうえつけてゆく」とありまして、

2022-05-10 05:21:51
巫俊(ふしゅん) @fushunia

「インド神話でシャンタヌ王はガンガー女神のすることに異をとなえてはならなかった。うまれてくる子供を川に投ずるのをみて止めようとすると、それまでと言って去ってゆく。この物語ではガンガーは美しい女としてあらわれるが、鰐にのった姿であらわされることもあり、鰐女神ともみられる」と続いてる

2022-05-10 05:24:42
巫俊(ふしゅん) @fushunia

蛙と亀の共通点は、「冬眠をする」「脱皮をして再生する」「卵を産む」です。蛇との共通点でもあります。古代の蛇の神話ではこれらの要素が重要視されてたことは以前からツイートしてきましたが、蛙と亀でも同じだったのかもしれません。

2022-05-10 05:27:17
巫俊(ふしゅん) @fushunia

蛙や亀が「出産する女性的性格を持つ神話上の存在」だったとすると、夫婦の蛙や亀が出てくる仏教時代のモンゴルや日本の説話(インド由来)よりも、スキタイの子孫とされるオセット人のナルト神話などに出てくる「海底から来た蛙の女神」の方が、ユーラシアに広まっていた先史時代の神話だったはずですね

2022-05-10 05:31:48
巫俊(ふしゅん) @fushunia

こうした異界から来る女性との交流を話す先史時代に由来する神話が「メリュジーヌ神話」と呼ばれてて、ケルトやスキタイ、日本に共通してるとされてます。その対象となる女性の動物も鮭だったり鹿だったりと、様々です。

2022-05-10 05:34:22
巫俊(ふしゅん) @fushunia

バドラズは英雄である父ヘミュツと海神の娘の間に生まれるのですが、生まれ方が変わってて父の背中の瘤(こぶ)を切開すると、その瘤の中から火花を散らしながら真っ赤に焼けた姿で出てきました。鋼鉄の身体を持つバドラズは悪魔の討伐を続け最も誉れ高い勇者に選ばれる運命でしたが、運命が暗転します

2021-10-06 00:21:28
巫俊(ふしゅん) @fushunia

@hBAHroX4b7Pt5Nz お母さんが植え付けた記憶があります。ツイートでは省略してしまったのかも。

2023-01-26 11:55:25
巫俊(ふしゅん) @fushunia

ナルト叙事詩 「ヘミュツ  ゼラセとエクセルテグの子供。バトラズの父。妻は異種族であるビセンタ族の女性でありカエルの姿をしていたが、彼女はシュルドンに笑われたことで村にいられなくなり、ヘミュツの背中に赤子を植え付けて海に戻る。」 twitter.com/hBAHroX4b7Pt5N…

2023-01-26 12:00:16
巫俊(ふしゅん) @fushunia

篠田氏の論文にも「蛙娘」とありますが、フィリップ・ヴァルテールは「娘は海亀の甲羅を着ていないと地上の暑い気候では生きていけない」と説明していて、その甲羅を燃やされてしまった海神の娘は地上にいることができなくなったと書いてました。ナルト叙事詩は、日本神話との関係が指摘されてます。

2023-01-26 12:02:26
巫俊(ふしゅん) @fushunia

フィリップ・ヴァルテールの論文「スキタイのメリュジーヌ」を読んでたら、スキタイの子孫だとされるオセット人のナルト叙事詩において、ヘミッツの肩に子どもを産み付けていった「蛙娘」は、海神の実の娘にあたり海亀の甲羅を夜間に眠るときに脱ぐとありました。 twitter.com/fushunia/statu…

2022-05-10 13:40:06
巫俊(ふしゅん) @fushunia

娘は、海亀の甲羅を着て無いと地上の暑い気候では生きていけないのですが、火の中に甲羅が投げ込まれて燃やされていまい、娘はヘミッツの元を永遠に離れることになったとありました。

2022-05-10 13:42:19
巫俊(ふしゅん) @fushunia

この娘を篠田氏は「蛙娘」と呼んでるということのようです。

2022-05-10 13:43:00
巫俊(ふしゅん) @fushunia

グーグルで検索してても、このナルト神話の「海亀の甲羅を夜間に眠るときに脱ぐ」娘の話が全然出てこないので、この論文を国会図書館で複写してたおかげで見つかりました。 twitter.com/fushunia/statu…

2022-05-12 02:00:28
巫俊(ふしゅん) @fushunia

最近はネットで論文とか探すだけでも、それなりの情報があったり、古典とかの全文を入力してるwikiがあったりするので、手早く探すにはそれらの手段が有効なのですが、限界もあります。

2022-05-12 02:14:56
巫俊(ふしゅん) @fushunia

ウィキペディア「ナルト叙事詩」 「ヘミュツ  ゼラセとエクセルテグの子供。バトラズの父。妻は異種族であるビセンタ族の女性でありカエルの姿をしていたが、彼女はシュルドンに笑われたことで村にいられなくなり、ヘミュツの背中に赤子を植え付けて海に戻る。」

2022-05-12 02:18:37
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