三国志こばなし集2023年11月号(上)三国時代編

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黄月英「また失敗を…」 孔明「あなたなら大丈夫」 黄「孔明様」 孔「我ら夫婦と親友は一蓮托生ですから」 龐統「素敵な夫婦愛と友情だねえ…」 黄「ええ！」 徐庶「平時なら大いに結構なんだが…」 孔「…」 龐「明日が期限で着手したのがいつだって？月英さんよ」 黄「…十日前」 孔「昨日ですよね」

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徐「俺たちの命をなんだと思ってるんだ！」 黄「三月もあると思ってたらつい油断してしまって…」 龐「子どもが宿題ほったらかしてるのと訳が違うんだよ？」 孔「月英。落とし前を」 黄「！」 龐(さすがに怒るね) 徐(珍しいな) 黄「…かくなる上は」 孔「？」 黄「！！！」 龐「わ！」 徐「なんだ！」

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劉琦「黄月英！約束の期限だ！父上の所に」 黄「はて？」 孔「それは一体」 龐「誰のことかね？」 徐「…」 劉「まさか新野にまで蔡瑁細胞が浸透してしまったのか！」 黄「月英さんは江夏の方に逃げましたよ」 劉「くそっ！荊州を蔡瑁まみれにしてたまるか！」 孔「…」 龐(こんな時間稼ぎ嫌だなあ…)

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黄月英…追い込まれた挙句、蔡瑁細胞をばら撒く無差別テロに打って出た。 孔明…これが、蔡瑁の気持ち… 龐統…同じ顔まみれの世界ってこんなに気持ち悪いのかい。 徐庶…顔から体型から完璧な蔡瑁じゃないか！ 劉琦…劉表の長男。蔡瑁は生理的に無理。蔡瑁アレルギーといっても過言ではないほど。

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黄月英「私たちが蔡瑁になることで時間を稼ぐことはできる様になりました」 孔明「ならば一刻も早く蔡瑁細胞を死滅させる物質を作り上げなさい」 龐統「蔡瑁の声で孔明の口調って、すごく腹立つねえ」 徐庶「士元のそれもな」 黄「おや？」 孔「どうしました？」 黄「劉琦殿が来た道に仕掛けていた…」

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龐「そんな罠を用意するんじゃないよ！」 徐「罪を重くするぞ！」 黄「静かに！」 孔「…確かに蔡瑁に言われたみたいで腹立ちますね」 黄「これだわ！」 龐「説明しな」 黄「劉琦殿の唾液が蔡瑁細胞を死滅させる効力を持っています！」 徐「…なぜ？」 黄「劉琦殿の唾液と接触した箇所の蔡瑁細胞が…」

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孔「見事に死んでいますね…」 黄「まさか劉琦殿の唾液が蔡瑁細胞の特効薬になるなんて！」 龐「じゃあさっさとやりな！」 黄「…私が蔡瑁に命令されたみたいでやる気が失せました！」 徐「言ってる場合か！」 孔「月英。速やかに」 黄「…はい」 龐(…やっぱ孔明が怒ると怖いね) 徐(今は蔡瑁なのにな)

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黄月英…劉琦の唾液から採取した物質で蔡瑁細胞の駆除に成功して元通り。 孔明…今すぐ大量生産して襄陽の皆さんを元に戻しなさい。 龐統…蔡瑁になった後だからか、今のあたしの顔が男前に見えるね。 徐庶…あんな贅肉まみれで生きてて苦しくないのか…

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甘寧「いい加減淩統の小僧と決着をつけさせやがれ！」 呂蒙「ならん」 男「オイ！そこのミチいくオッさんども！」 甘「ああ？」 男「オレはシルクロードからタビしてきたユカイなショウニン！」 呂「ほう！」 男「オレのアイスをトルコとができるかな？」 甘「面白え！俺にやらせろ！」 男「グッド！」

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男「サンカイショウブね」 甘「いいだろう」 男「はいどう」 甘「舐めんな！」 男「ぞ！」 甘「!?」 呂「見事な技だ…」 男「こっちだ」 甘「おら！」 男「よ！」 甘「…俺をコケにすんなよ商人」 男「ごめんな」 甘「らあ！」 男「さいっと！」 甘「」 男「オレのカチ！」 甘「ぶっ殺」 呂「させん」

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呂「俺も」 男「はいどう」 呂「！」 男「ぞ！」 呂「…ふむ」 男「おてもとにどう」 呂「む？」 男「ぞ！」 呂「あっ！」 甘「何してる阿蒙！」 男「プレゼン」 呂「！！」 男「ト!?」 呂「見切った」 男「マケたわ〜」 呂「美味そうな…!?」 甘「おい！」 呂「あ…」 男「…オトすなよ、モーちゃん」

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呂蒙…トルコアイス屋さんの技を見切ってゲットするも、直後に転んで落としてしまい涙目。 甘寧…もう一回やらせろ！ 男…シルクロードから旅に旅を重ねてやってきたアイス屋さん。呂蒙の半べそ顔が可愛かったから代わりをあげた。

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孫権「孫呉餅つき大会！」 諸葛瑾「餅つき…」 孫「おおよそ起こりうる事態は想定してある！」 甘寧「…」 呂蒙「…」 淩統「…」 諸「あの二人に杵を持たせたら…」 孫「だから呂蒙にこねる役を担わせたのだ」 諸「…ですが」 甘「おら！」 淩「喰らえ！」 呂「餅をつけ！」 孫「丸腰だった！」

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呂「…」 甘「」 淩「」 孫「餅ではなく甘寧と淩統の急所をついた…」 諸「その怒りで餅を突いてましたね」 孫「じゃあ食べよう」 歩練師「召し上がれ！」 孫「おお！一口サイズで食べやすいな」 諸「歯ごたえがありますね」 歩「呂蒙殿のお怒りが込められてますから」 ？「！！」 孫「さあ出番だ」

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張昭「」 孫「参加者全員が想定していたであろう事態だが…」 諸「様式美ですね」 顧雍「小さなお餅を口一杯頬張っておりました」 歩「卑しい…」 孫「潘璋！」 潘璋「え〜」 孫「貴様の肺活量の使い所だ！」 諸「何を？」 顧「管？」 潘「吸〜〜！」 張「!?」 孫「見事だ潘璋！」 潘「」 孫「おっと」

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孫権…潘璋は頑丈だ。殴り放題で餅を吐き出させてやれ。 諸葛瑾…一個飲み込むことすら大変なくらいの歯ごたえが… 呂蒙…怒りを餅に叩き込みすぎました… 甘寧…杵で潘璋の背中を強打して吐き出させた。 淩統…ついでにもう一撃尻を強打しといた。 歩練師…義姉上たちと美味しく作りすぎちゃった！

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顧雍…ゆっくりじっくり味わって食べればよいものを… 張昭…君臣の誰もが予想していた通り、喉に詰めて急死に一生。歯もしこたま餅に持っていかれた。 潘璋…孫呉一の吸引力を誇る肺活量で張昭を救ったが、張昭の食った餅が喉に詰まるわ、歯まで飲み込むわ、甘寧と淩統に殴られ放題で散々。

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呂岱「殿！ようやく！本当にようやく！やっとのこと士燮が！」 孫権「死んだか！」 呂「死にました！」 孫「あいつが死んだ時蘇生させたという丸薬は？」 呂「それを飲もうとして窒息死したそうです！」 孫「なんとまあ…」 呂「享年九十だと」 孫「あいつが降伏してから十五年は死ぬのを待っていた」

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呂「交州を我らの手にできる好機ですぞ！」 孫「…まあ待て。士燮がしぶといを超越した長寿で交州に残した影響力をみくびってはならぬ」 呂「ですな」 孫「だがあんな妖怪をも上回る器の倅はいない様に見受けたが」 呂「おっしゃる通りです」 孫「…よし。交州を分割する策を検討しようか」 呂「ほう」

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孫「士燮から降伏した手前、交州刺史のお前に逆らえるわけあるまいが」 呂「忍従とは無縁の小倅共ですからな」 孫「任せたぞ呂岱！」 呂「はっ！」 孫「齢九十で死んだか…」 呂「なにか？」 孫「士燮の寿命を公瑾や公績らに分けてやりたいと思わんか？」 呂「全く…」 孫「お前の分もな」 張昭「!?」

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孫権…お前もこれから三十年は長生きしそうな顔してるな呂岱。 呂岱…座右の銘は無事是名馬ですので健康にはことのほか気を遣っております！ 張昭…こいつもなかなかな爺なのに、主君によるストレスフルな環境と理不尽な目に遭いまくってるにも関わらず死ぬ兆しがまるで見えない。

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士燮…孫権に降伏した時に七十五歳ほどだったが、そこから十五年も長持ちして交州の主導権を手放さず孫権をヤキモキさせたエグい長寿。死んだ時に飲んだら蘇生する丸薬を持っていたとの噂が…

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孫仁「…甘露は治りますか李孚殿？」 李孚「ああ！薬草が間に合ってて良かったぜ！」 孫「良かった…」 李「一緒に作るかい？」 孫「教えてください！李孚殿！」 李「任せろ！」 孫「根っこを粉末にしました！」 李「俺の葉っぱもバッチリさ！」 孫「これをどうするんです？」 李「この油と混ぜて…」

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孫「…こうやって作るんですね」 李「塗ってあげな孫仁ちゃん」 孫「はい！」 甘露「…」 孫(…思い出すなぁ、甘露) 甘「…」 孫(…こんなにお婆ちゃんになってたなんて、知らなかった) 甘「…ごめんね、ごめんね甘露」 李「孫仁ちゃん」 孫「なに？」 李「そういう時はよ。謝られるより…」 孫「…」

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甘「…」 孫「ありがとう、甘露。ここまで連れてきてくれて…」 甘「…」 孫「甘露？」 李「!?」 甘(ありがとう、尚香) 孫(え？) 甘(今は、仁かしらね？) 孫(…どうしたの？) 甘(あなたと走れて、幸せでした) 孫(…うん！ありがとう！) 甘(…) 孫「…」 甘(さようなら) 孫(大好きだよ、甘露) 李「…」