中近世貨幣・国家権力・徴税権確立のはなし

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ISHIZUKA RYOUJI @R__Ishizuka

クロッカードcrockard:「13世紀に、エドワードⅠ世のスターリング銀ペニーのヨーロッパで鋳造された劣化版偽造貨幣。最初は半ペニーとして合法的に受け取られたが後に禁止された。」 (ウィキペディア)en.wiktionary.org/wiki/crockard 王のコインとは別のコインが、納税には使えなくとも流通していたのか。

2023-10-11 15:28:00
ISHIZUKA RYOUJI @R__Ishizuka

大陸での模造コインについては、「コンチネンタル・スターリング」などという言葉があるようだ。detectingfinds.co.uk/continental-st… pic.twitter.com/v0tIR4TnD7

2023-10-11 15:38:54
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ISHIZUKA RYOUJI @R__Ishizuka

我々が想定するような国家が昔からあったと錯覚しているひとがいるかもしれないが、主権国家ができたのは近代においてであり、直接の起源は絶対王政だろう。その主権が王権から国民に替わったときに、国民国家ができた。(図式化するとそうなる。)それまでは、国家というのは事実上首都と同じで、→

2023-11-25 13:35:09
ISHIZUKA RYOUJI @R__Ishizuka

周縁部に明確な国境線が引かれていたわけでは無かった。 租税国家が生まれるのもその時期なので、我々が想定するような税システムと一体となった貨幣制度が生まれたのもその時期だろう。中央銀行もまたその時期に生まれた。

2023-11-25 13:37:20
ISHIZUKA RYOUJI @R__Ishizuka

そこは気をつけなければいけないところで、数百の貨幣が発行されていた、と言うのではなく、沢山発行されていたのは、コインなどの具体的な支払手段であって、計算貨幣(貨幣単位)は、統一されていた場合が多い。同じ貨幣単位を用いた複数のコインが流通していた。もちろん、貨幣単位も複数存在→ twitter.com/KeitaFuruya061…

2023-11-25 17:48:11
KF0612 @KeitaFuruya0612

日本は江戸時代、約300種類の貨幣が存在し、中世イギリスは33種類、合衆国になる前のアメリカに至っては5000種類存在した。 どの国も金銀で基準レートを定めてたが、地域間で為替レートが存在した様なので、近代以前は価値単位を国家が独占してたとは言い難いかな。 twitter.com/KeitaFuruya061…

2023-11-24 23:43:40
ISHIZUKA RYOUJI @R__Ishizuka

しうるのだけれども、原理的には、権力が徴税の単位として貨幣単位を定めるとしたら、その徴税権力がおよぶ範囲では、貨幣単位も統一されているはず。ただし、王権がかならずしも市場での需要に応えるだけの十分な造幣能力をもっていない場合があったのではないか。

2023-11-25 17:50:21
ISHIZUKA RYOUJI @R__Ishizuka

貨幣への需要といっても、民間の場合、たとえば飲み屋ではツケで飲んでたわけで、現金が必要だったわけではない。ましてや蓄蔵手段としての貨幣など、庶民には無縁だったのではないか。

2023-11-25 17:54:24
ISHIZUKA RYOUJI @R__Ishizuka

もうひとつ。「価値」単位という言い方にはすこしひっかかる。私の考え方からすれば、債務(の大きさの)単位とすべきところ。価値の大きさならわかるが、債務の大きさって何よ、という話しになるかもしれないが、だからこそ、債務の大きさは徴税権力としての国家によって定められる。一方的に→

2023-11-25 17:57:43
ISHIZUKA RYOUJI @R__Ishizuka

人々に国家が定めた納税単位をひとびとに課す。そのことによって不定形の「債務の大きさ」に形が与えられる、というのが(あまり要領を得ないかもしれないが)私の理解。「債務の大きさ」を価値とよぶのだ、と言われれば、そうですか、と言わざるを得ないのだけれども、それを「価値」と→

2023-11-25 18:00:35
ISHIZUKA RYOUJI @R__Ishizuka

よぶべきではないだろうと私は考える。 なぜなら、その起源を遡ると、たとえば、誰かを殺傷したりしたような人は、債務を負い、その債務を祓うために、あらかじめ決められた単位のなにものかを払うことが定められていた。そのような債務からの解放の手段、クナップに言わせれば、「身代金価値」、→

2023-11-25 18:03:39
ISHIZUKA RYOUJI @R__Ishizuka

それを払うことで、債務から解放される、その大きさを表す単位なので、「価値」という言葉はそぐわないように思う。価値というのは何か、良きことを指すのではないか。国家によって一方的に課せられる納税債務のおおきを「価値」単位とよぶのは何だかなぁ、と思うのです。

2023-11-25 18:05:40
ISHIZUKA RYOUJI @R__Ishizuka

シュンペータ『租税国家の危機』をみると、独・墺の話しだが、14、5世紀にはまだ、国家権力というべきものは成立していなかったと考えているようだ。ケインズが『貨幣論』の冒頭で「4000年間、国家が云々」と書いているが、ケインズ流のレトリックとして注意して読まなければならないのではないか。→ twitter.com/R__Ishizuka/st…

2023-11-26 08:54:17
ISHIZUKA RYOUJI @R__Ishizuka

シュンペータの言うことを、単純化して要約すれば、近代にいたってはじめて、今日我々が考えるような国家権力が生まれ、徴税権が確立したことになる。それまでは、特定の領域内で恒常的に徴税を行う国家なるものは存在しなかった。強いて言えば、都市国家がそれに近かった、ということか。

2023-11-26 08:57:42
ISHIZUKA RYOUJI @R__Ishizuka

そのあたりを簡潔にまとめた文献があると良いのだけれども不勉強でしらない。しかし、ウィキをみるだけでも参考にはなる。たとえば、"Sterling" is the name of the currency as a whole while "pound" and "penny" are the units of account.いつ頃からかは、→ en.wikipedia.org/wiki/Pound_ste… twitter.com/R__Ishizuka/st…

2023-11-26 09:21:41
ISHIZUKA RYOUJI @R__Ishizuka

はっきりしないのだろうが、同じくウィキの「ペニーの歴史」をみると、サクソン王国時代とのこと。つまり、ポンドやペニーという計算貨幣unit of account は当時から現在まで、一貫して使われ続けてきた。それに対し、それに対応するコインは、時代ごとに変遷を遂げている。twitter.com/R__Ishizuka/st…

2023-11-26 09:34:37
ISHIZUKA RYOUJI @R__Ishizuka

デーンゲルドDanegeld:中世イギリスの地租。元来は、デンマーク人のバイキングに支払ったみかじめ料。 後に、ヘレゲルドheregeldとなり、常備軍の給料支払いに充てられたと。 thehistoryjar.com/2019/01/06/dan…

2023-09-19 11:25:38
ISHIZUKA RYOUJI @R__Ishizuka

ウィキをみていて知った。英語でペンスをdと書くのが不思議だったけれど、デナリウスに由来するとのこと。中世以来の歴史が現在まで続いているということか。

2023-11-26 09:41:51
ISHIZUKA RYOUJI @R__Ishizuka

当時は国境など無かったのだろうし、庶民にとってはどちらでもよかったのではないか。王様が貨幣単位を定めた、まではいいとして、そのためにコインを造幣し、それで徴税した、などという話しは慎重にしたほうがよい。 twitter.com/R__Ishizuka/st…

2023-11-26 10:11:54
ISHIZUKA RYOUJI @R__Ishizuka

イギリスなどでは、金属探知機で地面の下のコインを探しているひとが多いのだろう。現在も昔のコインが発掘され続けている。「アレクサンドルⅢ世のペニー」ってなんだろう。スコットランドで作られたようだ。 detectingfinds.co.uk/penny-of-alexa…

2023-11-26 10:22:40
ISHIZUKA RYOUJI @R__Ishizuka

アレクサンダー王はスコットランドの王だった。知らなかった。

2023-11-26 10:26:05
ISHIZUKA RYOUJI @R__Ishizuka

本棚にあった『お金の歴史全書』、湯浅赳男訳だけど大丈夫かな。中世ヨーロッパについて以下のように書いている。「新しい銀貨の普及は各地のコインの状況に変化を与えたが、銀貨を各地のペニーの12個分の価値をもつものとする強い傾向がまず生まれていた。つまり銀貨を、12デナリウス(デナーロ、→

2023-11-26 11:26:27
ISHIZUKA RYOUJI @R__Ishizuka

ドニエ、ペニー)を1ソリドス(ソルド、スー、シリング)とし、20ソリドスを1リブルム(リラ、リーブル、ポンド)とする、広がりつつあった計算制度にとりこむということであった。この制度は計算貨幣を作り出し、計算上の便利さを越えて、中世末期のマネーにおいて重大な役割を果たしたのであるが、→

2023-11-26 11:29:33
ISHIZUKA RYOUJI @R__Ishizuka

それはヨーロッパのマネー制度がより多様かつ複雑になるにつれて、変化するコインの価値にとって共通の貨幣単位として機能したのである。」(p.115) 徴税のための計算貨幣を国家が定めた、というよりも、国家は既存の計算貨幣を利用した、というイメージだろうか。

2023-11-26 11:32:15
ISHIZUKA RYOUJI @R__Ishizuka

たとえば、「国の借入や王の借金」と横並びにすることはできない、ということ。「王の負債=国債」などと考えてはいけない。その間には質的な断絶がある。それを作り出したのが、後に中央銀行となるイングランド銀行を中核に据えた財政と金融の仕組み。 pic.twitter.com/0aBb6qsbuS

2023-11-26 11:50:39
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nyun @erickqchan

17世紀の英国では、王によってコインが徴税で回収され、新貨幣が兵士たちに支出された。 経済学者に騙されないためにはこの時代の話をどんどんやった方がよい。 ブルジョワ国家と国債の成立過程の理解が深まることでしょう。 twitter.com/r__ishizuka/st…

2023-11-26 11:55:55
ISHIZUKA RYOUJI @R__Ishizuka

イギリスでは現在でも、王が貨幣を造幣し、それで徴税している、と(形式上は)言えるのかな。King-in-Parliament。

2023-11-26 12:12:09