死刑制度に犯罪抑止効果はあるか?:大阪ミナミ通り魔殺人事件(2012年06月10日)を巡って
- MinoruSawada
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今回の通り魔事件を指して「こういう事件を抑止するためにこそ死刑は必要だ」という人は、彼のこの事件を起こした理由が「死にたいから」であったという点についてはどう考えるのだろう。むしろ死刑制度があるからこそ彼はこの事件を起こしたというべきではないのか。
2012-06-11 23:19:07大阪府知事の発言(死にたいなら一人で勝手に)について、「多くの人がそう思っているだろうが、政治家としてそれを口にすべきではないだろう」と思ったあとで、いやそもそも「多くの人(自分も含めて)」がそう思うこと自体が問題なのだよな、と反省。
2012-06-11 23:24:17「死にたい人は勝手に死ねば、ただ人に迷惑かけないでね」と互いに思っている(と互いに思っている)社会は、たぶん自殺願望のない人にとってもそれなりに息苦しいものになりそうだ。中央線が人身事故で止まるたびに、イライラしながら、他方ではそんなことも思う。
2012-06-11 23:27:49@shinichiroinaba そうでしたね。他の通り魔事件についても、死刑制度が抑止機能を果たしているとは考えにくいものが多いように思います。
2012-06-11 23:32:53@tasano 死刑という制度が殺人の動機に使用されているのが考慮すべき点ですよね。(本音かどうかは分りませんが)こーゆー自爆型の事件の場合、死刑は抑止力になり得ない、という事実は認識しておかないといけないのかもですね。池田小のもそうだったような・・・
2012-06-12 06:17:44@mituki_ootani 池田小の事件の場合、裁判過程でも一貫して「殺してくれ」という主張だったので本音だったのでしょうね。自爆型に対しては抑止機能が無効化されてしまうのはもちろん、ほんとうに抑止効果があるのかどうか自体、十分な検討がなされていないと思います。
2012-06-12 08:04:39@tasano 刑罰の最高として死刑をおくことの是非はともあれ、抑止力としての死刑は以前から疑問に思わなくもなかったので、この際誰か調べてほしいですね。個人的には今回の事件、亡くなった男性が関わったゲームを知っている(というか、積んでいる)ので、もう何といってよいのか・・・。
2012-06-12 08:14:57@tasano なるほどその通りだ。が、問題は死刑制度があるからと殺人を犯す人間と、死刑制度があるので殺人を思いとどまる人間のどちらが多いかということだ。
2012-06-12 02:39:11@Mikoyan29 @tasano 犯罪学者ですが、おそらく、前者のほうが多いと思います。殺人(とその動機)は(報道を通じて)模倣されるからです(実証研究が出ています)。一方、死刑制度による抑止効果については膨大な研究がありますが合意はありません。
2012-06-12 09:31:00@Mikoyan29 @tasano より一般的にいえば、刑罰の「重さ」には抑止効果はない(しばしば、犯罪を増やす可能性すらある)というのは、犯罪学の基本的合意です。一方、刑罰の「確実さ」「早さ」には抑止効果が認められています。
2012-06-12 09:32:50@htsutomi 専門家の観点からのご教示ありがとうございました。刑罰の「重さ」と「確実さ」「早さ」との効果の違いにはなるほどと思いました。
2012-06-12 09:38:06@tasano いえいえ、犯罪学では1970年代後半から、何十本もの研究を積み重ねて、定見となっています。優れた研究者たちのおかげです。
2012-06-12 10:01:06@tasano 今、スウェーデンの犯罪学シンポジウムに来ていますが、スウェーデンの司法大臣が、こういう事件の際に、メディアが厳罰を求めたとしても、刑事司法制度にそれを期待してはならないと伝え、メディアと対峙するのが、政治家の使命だと言っていたのには感動しました。
2012-06-12 10:01:52少年法「改正」のときにも強く感じたことだが、犯罪学や刑事政策論の知見が一般の人々の耳に入る前に強力なフィルター(あるいはバリアー)が存在しているかのようだ。不安に駆動されているように思われるこのフィルターを突破するためには知見を不安馴致の言葉とともに届けるべきなのだろうな。
2012-06-12 10:02:17他方で、一昨年注目を集めた「非実在青少年」問題における前田雅英さんのように、異なった方向から強力な影響力を発揮する刑法学者もいるという点にも注意が必要だが。
2012-06-12 10:04:20例えば沢登俊雄さんと前田雅英さんの本を読み比べ、二人の影響力のあり方を見比べるといろいろ考えさせられるところがあります。
2012-06-12 10:06:04@htsutomi 被害者感情の重視という流れもそうですが、日本ではメディア(ある種の「世論」)と司法との間に本来あるべき距離が小さくなりすぎているような印象を持っています。
2012-06-12 10:10:50政府による死刑制度存廃のアンケート調査について、その尋ね方にいろいろ批判がなされているがそれ以前にそもそも死刑制度について考える上で必要な情報が共有されていないよね。特に犯罪学・刑法学・刑事政策論の実証的な知見が。で、それを広めようとすると不安フィルターで聞いてもらえないという。
2012-06-12 10:39:49@tasano そうかもしれません。日本の場合は、世論そのものの質(や政治家そのものの質)も大きな問題です(それらは、長期的に形成されるものですが)。世論が平静であれば、距離は問題にならないかもしれません。
2012-06-12 11:38:18